目次:
第1章 自治会・町内会のお悩み、課題・トラブル
・入会・退会にまつわるトラブルや嫌がらせ
・不透明な運営、役の押し付けトラブル
・役員の飲食や資金流用など、お金にまつわるトラブル ほか
第2章 自治会・町内会のお悩み・課題解決
・時代は次の御代なのに自治会・町内会は昭和のまま?
・これからの
...続きを読む自治会・町内会2つの転換
・開かれた自治会・町内会運営の見直しポイント ほか
第3章 先進事例に学ぶ、実践法、進め方
・目指すのは「ご近所力」を強力にすること!
・新たな参加を呼び込む、新会長の挑戦
・道に愛称、絆を結び、花が開いた! ほか
第4章 今、求められる開かれた自治会・町内会の運営(基礎)
・会の憲法「規約について」
・自治会・町内会の役員について
・総会について ほか
ピックアップと一言:
・任意団体である自治会・町内会には指導監督権限を持つ所管庁も存在しませんが、様々な事業を委託したり、活動に対し、補助金や助成金を出している自治体にはもう少し当事者意識を持ち、リーダーシップを持ってこうした地域課題への対処、解決に向けた役割を果たすことが期待されます。特に積極的に移住を呼び込んでいるような自治体においては、誠意ある対応が求められます。
→東広島市では、転入者に住民自治協議会のパンフレットを配り、住民自治協議会や自治会(区)の役割を紹介しています。また、地区によっては(選択式)、住民自治協議会が市の広報紙を全戸配布しており、市民の身近な存在として認知されるよう力を入れています。
・全てを会で抱え込み、会が企画し運営する活動ではなく、会は場を提供、コーディネートする役割を主とし、会員があったらいいな、やってみたいなを実現する場とし、会員有志やボランティアが企画し、運営する会員が主役の活動の場を増やしていくことです。たとえば、自治会・町内会が担う役割は自治会・町内会でなくてはできない防災や防犯などに特化。一部の親睦や交流事業などは会員有志ボランティアが企画し、運営する活動へ委ね、自治会・町内会の役割をミニマムにして負担を減らしていく。
→自治会・町内会が責任をもって担う活動と、有志ボランティアを募って行う活動をきちんと区別することが大事ですね。有志ボランティアの活動は、ボランティアが集まらなければ思い切って活動しないという選択もあり得るということで、そう思うだけでも気持ち的に負担が軽くなるというものです。
・効果を上げている対策がオープンな場所でのソフトな声掛けです。お祭りやイベントでは、相手もオープンマインドになり警戒心も低くなります。明るい笑顔で声掛けすることで親しみも沸き、ちょっとした挨拶や会話で顔見知りになって、後日訪問した際もスムーズな勧誘ができ、加入してくれる人も多いという声は、加入率を伸ばしている団体の会長や役員の方からよく聞く話です。祭りやイベントではいつでも渡せるよう、案内文書などを用意。来てくれた人にはできるだけ声をかけ、興味を持ってくれたら渡してみましょう。
→三ツ城自治協議会は会費がないので、入会という手続きもありませんが、その反面、1万もの世帯に、情報をどうやって行き届かせるかという課題があります。回覧、掲示板、地域メール、Facebookなどの取り組みをしていますが、なかなか広まっていきません。今後は、お祭りなどでも積極的に自治協の案内チラシを配るようにしていきたいと思います。
・最も重要なことは、自治会・町内会の役員や活動メンバーがお世話に終始せず、来てくれた人と会話をしたり、顔見知りになることで、会に親近感を持ってもらったり、活動に共感してもらえるようにすることです。全てお膳立てして相手を客扱いするのではなく、準備や片付けも含めて楽しめるよう事業を組み立てることも大切で、イベント開始時には事業の趣旨や進め方、この日のゴールなど、簡単なオリエンテーションを入れて理解してもらいます。参加者の自己紹介なども入れ、参加してくれた親子を孤立させず、何組かの親子を一組としてグループで活動してもらい、イベントの間に仲良くなってもらえるように工夫をしましょう。
→確かに、三ツ城自治協議会で行っているお祭りやサロンなど、ほとんどの活動は、全てお膳立てして、参加者をお客扱いしていると思います。どうやって運営側の経験をしてもらえるか、工夫していく必要がありますね。
・パソコンが使えれば、マイクロソフトが無料で提供している自治会・町内会の活性化に向けた「街活 オフィステンプレート」を利用してみては。いろいろな書類やポスターなどのひな形があり、会報やポスターも簡単につくれます。
→町内議事録ノート、会計報告書、会報、活動計画書、行事案内ポスター、ゴミ出しマナー喚起ポスター、三角くじ、出店用看板、チケット、スタンプカード、レクリエーションしおり、などのテンプレートがダウンロードできます。
・子育て中の現役世代なら保育園や学校、結婚してこれから子どもが生まれるカップルなら産婦人科、新たに転居してくる人なら不動産屋、若い人が立ち寄ることが多いコンビニやスーパー、多くの人が利用する自治体の施設など、ターゲットがよく行く場所などに協力してもらい、会の情報を掲示させてもらったり、資料を渡してもらったり、地域のまちづくりに協力してくれるパートナーを増やしましょう。
→自分たちで案内を配るのはとても大変です。かといって全戸配布しようと思えば郵便代も馬鹿になりません。著者がおっしゃるように、もっと地域の人に頼ってもよいのではないでしょうか。
感想等:
・著者の前著「運営からトラブル解決まで自治会・町内会お役立ちハンドブック」では、自治会・町内会の運営に関する基本的な事項を広く浅く取り扱っており、とりあえずこういったことを行う必要がある、ということを知るために頭出しとして最初に読んでおくとよい本であったが、今回は、著者の経験から、多くの課題についての具体的な対応方法をたくさん紹介されており、自治会運営における、まさに実践的な本となっている。
・特に自治会・町内会への入会・参加を促す様々な方法を重点的に取り上げているので、多くの自治会・町内会に参考になると思う。
・加入要項、広報のポイント、企画書、規約例、総会の案内、議事録、個人情報、会計事務、領収書、予算書、決算書、財産目録、貸借対照表などの様式や事例が載っており、これらにピンポイントでニーズがあるだけでも読んでみてもらいたい。