チェック項目23箇所。本書では「人」の問題に悩むミドルマネージャーにとって、「これは現場で使える」と思う理論を紹介していきたいと思います。本書では「どう指示を出せば人は動くか」という手法だけでなく、組織とは一体どういうもので、マネージャーとは何を求められている存在なのか、という経営的な視点から「人と...続きを読む組織のマネジメント」について押さえていきたいと思います。「人」の問題にフォーカスし、みんなが気持ちよく効率的に、そしてクリエイティブに働けるようにするための方法について、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。組織が違えば、発揮すべきリーダーシップも違う、会社のようなピラミッド型組織と、任意で集まった町内会のようなフラットな組織では求められるリーダーシップがまったく違うのである。組織において、「情報」はパワーを意味する、相手が知らない情報を、自分が知っていれば、それだけで優位な立場に立てる、ところが最近はインターネットによって、自社の経営分析や評判、ライバル会社などの情報もネットで簡単に検索できる。多くの人は基本的なニーズが満たされると、仕事に”意味”や”意義”を求めるようになる。生き残るためには、基本的に二つの戦略しかない、徹底的に安く売るか、またはコモディティ(汎用品)化を避けて、他がマネできない高付加価値なサービスや商品を高価格で売るかのどちらかだ。まだ仕事への当事者意識がない部下に「どうやったらいいと思う?」と質問しても、「わかりません」とか「それを考えるのは私の仕事じゃありません」という反応になるのがオチだ。通訳で言えば、プロの通訳者は相手がしゃべったことをそのまま直訳しない、その人が言わんとするところを深いレベルで理解し、違った文化的背景を持つ人でも理解できるように見事に言い換える、マネージャーに求められていることも同じで、抽象度の高い「戦略」をほどよく噛み砕き、トップと現場の間に立つ「通訳者」となって、現場のスタッフが具体的に何をすればいいのか、行動できるレベルまで落とし込むのである。良い組織では、トップのメッセージがそれぞれのレベルでタスク(業務)に分解され、具体化していく。小売の世界は競争が激しい、素人が思いつきでゼロから考えて勝てるような世界ではない、だからこそ、百戦錬磨のプロは、やるべき行動を徹底的に絞り、確実にそのハードルをクリアさせる、その積み重ねの先に、目指すべきゴールがあるのだ。マニュアル=台本は、多くの人により何千回も演じられ、その効果が実証されている、いってみれば、絶対にウケることがわかっているロングランのミュージカルか古典落語みたいなもので、きっちり演じれば成功は保証されているのだ。業務を外に出す前に、「何が自分たちにとって重要な業務なのか」「どの業務は社内で経験を蓄積する必要があるのか」について、よく検討する、それができればアウトソーシングは強い味方になる。あらゆる仕事の標準化は時間の問題であり、避けられないものだと覚悟するしかない、それを前提で、標準化を上回るだけの価値が出せる能力を身につけられるよう、常に自己研鑽するしか生き残る道はないのである。「ビジネスを将棋にたとえると、3手先を読むだけだったらすぐに誰かにマネされる。でも5手先を読んで行動すれば、誰にもマネされないのでうまくいく。ただ10手先だと、早すぎてお客さんに理解されないのでビジネスにならない」。「うちはフラットで自由な社風ですから」と言う会社ほど、内部では人間関係がギスギスしているということはよくある、「結果コントロール」では、会社や上司、同僚への依存度が減って自由度が広がる分だけ、個人主義に陥りやすい、その結果、助け合いの精神が失われて、社内の雰囲気がギスギスしてしまうのだ。多くの企業で、社員旅行や運動会といったアナログな活動が見直されているのも、グーグルのような最先端IT企業が無料で社員食堂を開放しているのも明確な狙いがある、それは「福利厚生」などではなく、「ソーシャルラーニングを促進する」という経営戦略なのだ、そしてそのような貴重な情報を得られる「場」こそが、人を組織に引きつけておくための磁石のような役目を果たすのだ。リーダーは未来のストーリーを語り、社員だけでなく、それを応援する出資者や、お客さんを巻き込む、それには覚悟が求められる、途中で「やーめた」と言い出す人や、苦しくなったら逃げる人だったら、周りの人は安心してついていけない、だからリーダー自身が本気なのか、そして人生を預けられるのかを周囲は慎重に見ている。経営者が本気で経営理念を掲げ、さらにマネージャーもそれを実践していれば、それに合わない人は居心地が悪くなり、自然に辞めていく、そして価値観に共感する人だけが残り、新しく「適切ではない人」が入っても自然に排除される「自浄作用」が働くようになる、それが組織委の本来の姿である。「夫婦関係を幸せなものにするためには、お互いを見つめ合う恋愛フェーズである”Face to Face”から、尊敬し合う”Side by Side”の関係にすることが大切です。時には見つめ合い、横に並んで遥かな地平線に向かって歩いていく。そうすればお互いの違いは制約ではなく、力になっていきます」。サービス業に「ここまでできたら完成」というゴールはない、お客さまを喜ばせるために何ができるかを考え、そのサービスを安定供給できるように標準化を行い、さらに標準化を乗り越えるような創意工夫を重ねる、まさにそのような改善のなかに、真の成長があるのだ。