天皇制についてのタブーや忌憚のない鋭い論評。本書の初版の昭和27年だからこそ執筆されただろう幻の天皇論。
日本のマスコミ論やノンフィクションの話になると必ずこの名前にたどり着く評論家大宅壮一の作品。
終戦直後、国体の護持だったり昭和天皇退位論だったり、そもそもの天皇制の廃止の意見まで出ていた頃。
...続きを読む¨人間¨となった天皇。こんな時代だからこそ生まれた作品だろう。
皇位継承について「血のリレー」と割り切った発想。皇位継承問題が近年騒がれているが、やはり宮家がなくては皇位が途絶えるのも時間の問題、左派はそれを狙っているようにも思えてくる。
江戸幕府の始めであったり、マッカーサーのGHQ など、皇室の諸制度を説明する比喩が何より絶妙。
今、このような作品を執筆すれば、右派からも左派も叩かれることだろう。
時代のスキマに生まれた奇跡の一冊、奇書であろう。