オウィディウスの作品一覧
「オウィディウス」の「変身物語」「恋の技法」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
『アルス・アマトリア』ではなんのことか分からない人も多いだろうし、「愛する術」と言われて恋愛小説かと思えば著者が紀元前43年生まれと知って困惑するだろうし、やはり『恋の技法』しかないかもしれませんね、邦題。
表紙にあるように「千変万化の恋の手管」と言われれば、古代ローマの恋愛指南書あるいは愛し合うときのHow toものか、と分かってもらえるでしょうから。
訳注も懇切で『カーマ・スートラ』よりはよっぽど読み易く、なるほど、と思われる方も多いでしょう。
沓掛良彦氏の解説どおり(こちらを先に読んだほうがいいかな)、「ローマ恋物語絵巻」です。
私はこれを「詩」として読みたい。堕淫からは程遠い、「恋する者たちの技」を謳う詩として。
もちろん如何様に読まれても大歓迎、とオウィディウスも言うと思うけれど、さてどうでしょう。
愉しんで読むためには、ローマ史の概要とギリシア・ローマ神話の基本的お約束に親しいほうがいいのは確かですが、それはまあ、後世のあらゆる作品についても同じことだし。
たまに読むと、とっても愉快な気分になります、私は。
Posted by ブクログ
変身物語下巻。物語が世界創造からトロイア戦争、ローマ建国へと歴史の流れに沿って進んでいることに途中でようやく気付いた(笑)。トロイア戦争やローマ建国あたりになると叙事詩っぽくなり話にもまとまりが出てきたけど、ファンタジー感というかワクワク感はその分薄れてしまったような気もする。女ながら男として育てられ、女性を愛してしまったために神に願って自分の体を男性にしてもらい無事結婚する話が面白かった。
オウィディウスはその軽薄な文体から当時としては好まれず、恋愛の手練手管から性交の技法まで指南する「恋愛の技法」を書いたことが(少なくとも建前として)原因となって追放の憂き目にあったということだが、そうでなかったらもっとたくさんの作品を後世に残しただろうと思うともったいなく感じる。変身物語はほんとうに面白いし、天地創造からの叙事詩に寄せて変身譚を語りつくすという壮大な試みを成功させているのがなによりすごい。
Posted by ブクログ
面白い。「変身譚」を中心にギリシアやローマに伝わる神話・物語を次々と語っていく内容なのだが、血縁や登場人物などをたどるようにしてシームレスに次の話へと話題が移っていくという高度な語り方をしている。それのみならず、恋愛に燃える乙女の心境から血なまぐさい戦闘、人の体が獣に変身していく様まで臨場感たっぷりに語っていく表現力があって目が離せなくなる。こんな本が2000年も前に書かれていたと思うと途方もない気持ちになってしまう。人物名がとにかく多くて、全然覚えられないけど…。
ナルキッソスやイカロスなど超有名どころの話からこの本にしか典拠がない話までとにかくたくさんの話があるが、神々、特にユピテル(ゼウス)とユノー(ヘラ)夫妻があまりに自分勝手で傲慢なことに驚く。ユピテルが逃げ惑う娘を無理やりレイプして、さらにユノーがそれに嫉妬して娘や親族まで悲惨な目に合わせる、みたいな話が多すぎる。
でもやはりこういう神話は、神様というか超自然的な存在に世界や運命の理不尽さ・残酷さを託してストーリー状にし、何とか飲み込もうとする人間の営みなんだろうかとも思える。神には神なりの物事の帰結というものがあるが、それは人間の論理とは相いれないというのが肝心なところなのだろう。切なくとも、そこには想像力とユーモアがあふれていて美しい。
鳥や動物、昆虫たちは、悲劇の果てに変身させられた人間なのかもしれないという数々の物語。そんな発想も、人間には理解できない生き物たちを人間の側へ引き寄せる試みであるのだろうか。それがこんなにもたくさんのバリエーションを持っているのがすごい。ギリシアの文化的な豊かさを存分に感じられた。