鈴木幸一の作品一覧
「鈴木幸一」の「自伝エッセイ」「日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「鈴木幸一」の「自伝エッセイ」「日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
2015年発売の書籍とは思えない。事業立ち上げ時の話に留まらず、未来の懸念事項が的確。今も課題は継続中だ。
ゼロから立ち上げた経営者というのは、他人には見えないものが見えるのだろう。
数々の経営者の自伝本を読んできたが、そのどれもが本当に興味深い。
本書もその例に洩れず読み応えのある一冊だった。
我が国「日本」にとって「インターネット」とは一体何だったのだろうか。
本当にこのことを深く考えたことがなかった。
物事は「基本が大事」というが、まさにその通りだ。
今のように複雑化された社会では、それこそ基本を見つけ出すのは本当に難しい。
基本を知らずに表面だけで理解しようとしても、この複雑な世界を解読できるはずもない。
そういう意味で、インターネットが無かった時代から生きている我々世代は、基本を知る機会があったはずなのだ。
しかしながら、やはりここまでその本質を理解している人は稀なのだろう。
インターネットがなぜ生まれたのか。
どのような理由で、どのように発展していったのか。
これらを追いかけることで、今の社会の状況を少しでも理解していける。
更に言えば、これからの未来を予測することにも利用できる。
今の日本の、そして各会社の迷走は、これらを疎かにしたことも原因の一つなのではないだろうか。
日本は経済的に停滞してすでに30年以上が経過している。
これはそのままインターネットの歴史と言える。
つまりインターネットによって世界は大きく発展したが、日本はそこまで発展できなかったという歴史でもある。
厳密に言えば、日本もインターネットによって発展したのであろうが、世界の発展と比較すれば小規模なものに留まったということだ。
現実的にGAFAMのような企業を日本は国内で一つも生み出せていない。
ハードウェアの製造は得意であったはずなのに、結果的にスマートフォンを生み出すことは出来なかった。
これらの原因は本当に何なのだろうか。
一つの原因は、新しい技術に対する寛容さがあると思う。
日本人は真面目な性格だけに、既存の仕組みを過度に守ろうとする意識が働いてしまう。
これは文化的な部分というか、日本人の気質とまで言えることだろう。
新技術が既存の制度を破壊するポテンシャルを持っていればいるほど、それを推奨しようという思考にはなりにくい。
まさに「カニバリゼーション」であるが、本業を阻害してまで新事業を自社で立ち上げることはない。
自社に限らずその新事業が他企業発であっても、既存業界を脅かす存在であればあるほど、それは国や業界が全力でストップをかける傾向がある。
「石橋を叩いて渡らない」とはよく言ったものだが、日本人という国民性をよく表している言葉だろう。
本書は、そんな既存勢力と、破壊してでも新しい世界を作ろうと奔走した挑戦者との戦いの歴史を描いた物語だ。
自分自身を振り返ると、果たしてどちら側なのだろうか。
保守側なのか、挑戦者側なのか。
破壊する者がいなければ、新しい技術の発展、業界の発展、国家の発展はあり得ない。
守るのか、攻めるのか。
やっぱり自分は攻める方で居続けたい。
本書のように会社を立ち上げて、突っ走るタイプではないが、今の会社の中でも充分に戦えるはずなのだ。
既存勢力に迎合せず、新しい世界を作る方に奔走したい。
こういう本を読むと、正直胸が熱くなる。
IIJという会社があったから、今の日本のインターネットがある。
一生の内でそんな仕事に没頭できたらどんなに幸せか。
自分自身も50歳をとっくに過ぎているが、まだまだ挑戦しなければいけないと感じてしま
う。
この時代だからこそ、守りに入る訳にはいかないのだ。
(2022/11/18)
Posted by ブクログ
NHKのスクープドキュメンタリー平成史という番組をずっと楽しみに見ていました。令和になる直前の最終回は「情報革命 ふたりの軌跡~インターネットは何を変えたか~」というテーマで「Yahoo!JAPAN」を作り上げた井上雅博とファイル共有ソフト「Winny」を公開し、「情報」の所有/非所有の関係を一気に変えた金子勇という今は亡き二人の先駆者を取り上げていました。www(ワールド・ワイド・ウエブ)の発明が1989年、平成元年ということで、なるほど、この平成の30年はインターネットという嵐に日本というガラパゴスが翻弄され、負け続けた時間だったのだ、という総括が身に染みて、そういえば、ということでずっと積読だった2015年刊行の本書をやっと開きました。「Yahoo!」の井上さんも「Winny」の金子さんも死んでしまって今、語る言葉を持っていませんが、著者「IIJ」の鈴木さんは生きていて、その当時の苦闘を強い悔恨とともに振り返っている、それだけでも価値のある本だと思いました。ものすごい未来志向の楽観主義者である本人は、過去を振り返ることをかなり嫌がったようですが…この本の帯にある『インターネットは21世紀の産業のエンジンである。だが、日本に「IT産業」はない。あるには「IT利用産業」があるだけだ…』この惹句が、内容のすべてを物語っています。特にCWCの蹉跌の経緯は当事者による第一級資料だと思います。当事者としての夢とロマンと、そして歯ぎしりとため息が聞こえてきそうなストーリーです。「インフラ事業を貧乏人がやろうとしちゃいけないんだよ。~貧乏人にしては、よくやったけどさ。」NTT相談役の愛の籠った実直な言葉が日本の現状を表しています。日本のインターネット・ドン・キホーテの挑戦と悔恨についてのすがすがしい記録として楽しんでしまいました。でも一番楽しかったのは著者のキャラクターかも。
Posted by ブクログ
印象に残った点
・日本にはリスクマネーがない。辛うじて商社が若干供給している程度。その商社も,ITに関しては積極的に出資していたとは言いがたかった。
・新しい事業に対しては投資家も省庁も保守的に過ぎる面がある。郵政省(当時)との折衝で事業スタートが遅れたところなどは,ヤマト運輸の宅急便事業を彷彿とさせる。前項の点も併せて考えると日本で前例のない事業を起業するのは困難(巨大資本会社がバックアップしている場合は別)。
・通信は総務省,情報は経産省が管轄。通信と情報が一体化すべきIT業界において縦割りの弊害は根深い。
・インフラ事業を貧乏人が行うと破綻する(未来を見通せる投資家が集まれれば別)。
・ソフトウェア業界は人工単位で売上を計算しているが,そんなことをしている間は未来がない。