子供の頃に社会制度としての露骨な人種差別を経験した著者が、公民権運動は失敗だったと断言する、にわかには信じられない本。
民主主義の原理原則から逸脱した人種主義を掲げてきたという矛盾から、それを是正しようとした白人は「白い罪」を背負うことになる。本当の意味で差別を無くすのではなく差別から距離を取ると
...続きを読むいう方法をとってきたのだ。
これはどんな世界のどんな差別にも当てはまるすごい分析な気がする。俺は女性差別してないとあけひろげに主張されて嫌な気分になるのは、相手は単に距離感のことを言っていたのかと納得したし、わたし自身が属していないマイノリティについてわざわざ白い罪を感じようとしていないかと考えたり。
一方著者はどこでもまず左翼とみなされ、「黒人らしく」振る舞うことを要求され、精神分裂のような生活を強いられることになる。この最後の告白のような章は正直言ってまだよくわからない。少し時間を置いて再読したい。