片山若子の作品一覧
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
息子が中学生になったので、「中学生の子どもに」というカテゴリを増やしました。
さて、息子が「永遠の0」を読みたいから買って、と言われ、すぐに買ってあげたのですが、まだ少し難しいかも?戦争を題材にした物語を読みたいなら、もう少し読みやすいのもセレクトしておこう…と思って、児童文学で定評のある作家さんを調べ、本書を購入しました。
そしてまず自分が読みました。
息子はまだ「永遠の0」に食らいついているので、次、これを勧めたいと思います。
さて、本書の感想↓
戦時中に、東京の下町で、父親と、祖母と暮らしていた少女、イコの物語。
お母さんが病気で亡くなり、お父さんは再婚する。戦局が悪化していく中、お父さんは出征し、祖母と継母、そして生まれてきた異母弟との暮らしが始まる。
小中学生が読んで、戦時中の社会の雰囲気が想像しやすく、とても良いと思う。社会科の教科書で、「ぜいたくは敵だ」「パーマネント禁止」などと言われ始めたことや、家族が出征するときに悲しい顔をしてはならず、うっかり悲しんでいるところを人に見られたら「非国民」と言われた、ということが書いてあるが、そういう時代の雰囲気が、小学生のイコの目線で書かれているので、子どもにとってわかりやすい。
もちろん大人の私が読んでも、胸が締め付けられるような思いがする。
徐々に情勢は厳しくなり、食べるものもなく、東京も空襲されるようになって、イコは疎開する。
当時、東京からちょっと離れただけで、子どもたちの方言や文化もだいぶ異なり、お父さんもおらず、祖母とも離れ離れになってしまい、イコがどんなに心細かったか…
しかし、当時の小学生にとって、「学校に行かない」とか、「わがままを言って継母に迷惑をかける」という選択肢はなく、どんなに辛くても歯を食いしばってガマンし、学校でいじめられてもなんとかして自分の居場所を見つけ、他の子どもたちになじもうとするしかなかった。
今の子は「無理して学校に行かなくてもいいんだよ…」って言われるし、私もまぁ、それも悪くないとは思うけど、やっぱり読書を通して、昔の子どもの暮らしぶりを知ることで、現代の生活のありがたさがわかるっていう側面はあるよね。それってとても大事なことじゃないかな。
大人は、「昔は・・・だった、今はこんなにモノがあふれて、ごはんも食べられて、感謝しなきゃいけない」なんてことを言うけど、子どもたちは昔の暮らしを知らないんだから、感謝のしようがないよね。だけど、読書習慣がある子どもなら、読書を通して昔の子どもの暮らしぶりを想像できる子どもなら、感謝することができる。だから読書って大事だと思う。
イコの継母との暮らし、貧しさ、異母弟をおぶって学校にいく姿…、父親を心配する気持ち…、我が子にも想像してほしい。
お父さんは、大けがを負って帰って来る。
それまで、疎開先で踏ん張っていたイコは、だんだんと強くなる。怖かったトンネルも、そこに潜んでいるように感じられる「兵隊さん」も、怖くなくなってくる。
イコの成長や、祈るような気持ちに共感できる、良い作品だと思いました。
Posted by ブクログ
【『魔女の宅急便』の著者が描くトンネルの
向こう側】
ラジオから流れる戦争に祭りのように浮かれる大人たち。
「お国のために、陛下のために、贅沢はしません勝つまでは」
そうして少しずつ我慢が増えていく。
いつしか食べるものもなくなり、大切な物、大切な人が周りから居なくなっていく……。
孤独感や寂しさ、不安が、ページをめくる度にひしひしと伝わってきました。
9歳の少女の目線で描かれていたのは、戦争という時代の息苦しさ、生きづらさ、そして目を背けたくなるほどの過酷な現実でした。
先の見えない真っ暗なトンネルの森。
森の中に現れる謎の兵隊さん。
「イコが通ります」の呪文は、未来が見えない暗闇を進むための心のバリア、そして魔法の言葉。
一見あっけなく終わってしまったように感じますが、これが時を経て、あの『魔女の宅急便』のキキの「魔法」へと繋がっていくのだと思うと深すぎます。
戦争という暗いトンネルの中で「自由」を奪われた経験があるからこそ、角野栄子さんは、ほうきで空を飛ぶキキのような「どこへでもいける自由」を願いあんなにも生き生きと描けたのかなと思いました。
最後にイコちゃんが掴んだあの光が、どうやって『魔女の宅急便』のキキの飛ぶ空へと繋がっていくのか。彼女のこれからを、続編の『イコ トラベリング 1948-』で追いかけてみたいと思います。