「新しいこと」「変えること」に無条件に価値を見出す人々がいる。
品のない価値観だな、と思うことがなんどかあった。
この本では、公家の価値観は「『昔からそうしてきたから』でけっこうやないですか」というところにある。と紹介している。
それがまつりごとを運営する力、有職故実というものであり、公家の力の源
...続きを読む泉である。といういうことらしい。
しかし、それはそれでいやなものだなぁ、とも思う。
是々非々が「いい加減」じゃないだろうか。
一般に男子男系で代々継ぐ、というのが「家系」というイメージがあると思うのだが、著者自身が養子をとって冷泉家を繋いだ、という人。
「冷泉家800年の『守る力』」というタイトルだが、著者は血脈と家は違うもの、という感覚を持っているように感じられた。
また、冷泉家は、元々は藤原氏の一人の後添いが、先妻との子供に渡すはずだった資産を、60歳近くの当主との間に作った子供に渡すよう遺言状を書かせ、裁判沙汰のあげく立ち上げたお家柄、と紹介されている。
立ち上げ、守る力。けっこうえげつない力だったんだなあ、と感じた次第。