作品一覧

  • 無花果日誌
    3.9
    1巻462円 (税込)
    桐子はカトリックの女子校に通う高校二年生。家の近所のお下劣な環境を脱すべく、県内一のお嬢様学校に入ったのだけれど、お上品ぶった同級生や先生、修道女との毎日は、すっきりしないことばかり。大好きな母さんの死、郁クンとの恋、衝撃の事件。からまわりする自意識を抱えながら裸の自分に向き合い、明日へ走り出す桐子は――。みずみずしい十七歳の一瞬一瞬が輝く話題作。
  • 蜉蝣
    -
    1巻495円 (税込)
    「いとほしくて、可愛くて、切ないくらゐなんだよ、君をいとほしいと思へば思ふほど、虐めたくなる」無抵抗で脚を開いた帰依は、皮膚を抉る針の痛みが延々と続くのに朦朧としながらも、快楽の液体が滲み出て来るのを止められなかった……。  不穏な空気がたちこめる、昭和十年、上野。美校で裸体を曝すカフェの女給・帰依。繊細な画学生、謎めいた絵葉書屋、大きな屋敷を構える絵描きと耶蘇教の下男。男たちとの邂逅で、帰依の人生は捩れはじめた。官能と禁忌に弄ばれた女の性を描く、落涙の長篇純愛小説。 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。
  • 海馬の助走
    -
    1巻495円 (税込)
    盆用品を買ってくれそうな親戚は少ない上に、父親の件を尋ねられたら上手く答える自信がない。父親がいなくなってから十日が過ぎたが、具体的にいつ帰るとは言えず、ましてや磯十の家内との事を既に耳にしているかも知れないのだ。毎日、自転車を貸してくれる茂平伯父も、その妻のサダ伯母も、綜一が「貸してけらいん」と声を掛けると、以前のように「おー、綜一、アイスば仕入れたら、二、三本、置いで行げや」などとからかう事もなくなり、無言で頷くだけになった。(「海馬の助走」より)  漁港で逞しく生きる青年の成長を描いた2篇を収録。表題作は第24回野間文芸新人賞を受賞、「掌の小石」は第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれた。 *海馬の助走 *掌の小石 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。
  • 世閒樣かくありき
    -
    1巻495円 (税込)
    「一体、私が何の悪さをしたといふんです。」世間様というものは非難や侮蔑や罵倒のお口は達者だけれども、それさえ根拠不確かで、すべては自己都合の良し悪し次第。懸命に地べたを這って生きる者を見下す資格なんぞ、無いはずだ……。  盲目の息子・周一と生きる多惠さんに対する世間の風当たり。崩壊するモダン都市・東京。太平洋戦争前・戦中・戦後、激動の時代と運命に翻弄される女の一生を、正字旧かなの文章で濃密に描く。全3話で構成された連作短篇集。 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。
  • 腦病院へまゐります。
    -
    1巻495円 (税込)
    「おまへさま、まうやめませう、私達。私は、南品川のゼエムス坂病院へまゐります。苦しいのは、まう澤山だ。」御免ね、堪忍して頂戴ね。出会った最初が悪いのだから、もう出会いはなかった事にしておこうと決めて何度も堅く決めたのに、どうしてこうして今でも縁が続いているのか、苦しいばかりの縁なのに、なんで切れてしまわなかったのか……。  愛する男から虐げられつづける女にとって、魂の救済とは何だったのか。第86回文學界新人賞を受賞し、第119回芥川龍之介賞最終候補に選ばれた表題作と、第120回芥川龍之介賞最終候補となった「カタカナ三十九字の遺書」の中篇2作品を収録。 *腦病院へまゐります。 *カタカナ三十九字の遺書 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。

ユーザーレビュー

  • 無花果日誌

    Posted by ブクログ

    「日誌」とタイトルにもあるが、そんな簡潔な言葉で括られるのも憚られる位、過剰なまで饒舌に綴られる、カトリック系女子高生の内省。
    その内なる己への顧みは、痛いくらい滑稽であり僕を心から笑かしてくれるのだが、全体的に薄い爽やかな膜に覆われている。
    それが少し恥ずかしい。
    膜があるからこその青春小説、膜を破ってこその青春小説。
    とても面白かった。

    0
    2011年02月26日
  • 無花果日誌

    Posted by ブクログ

    カトリックの女子高に通う女の子の日常の一コマ。お母さんが死んだり、初恋をしたり、そうしながら、少し大人になっていく。と書いたけど、この人の書く話はどこか遊びがあるので楽しいです。

    0
    2009年10月04日
  • 無花果日誌

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    多分仙台の、お上品なカトリック系女子高に通う桐子(とうこ)は、ハイソなクラスメートとは違い、青果店の娘。
    近所のおじさんたちの下品でイヤらしい生態が嫌でお嬢様学校に通ったというのに、上品ぶっても品性下劣な同級生や、向上心も親切心も感じさせない修道女や教師たち、非寛容で罰を与えることしかしないキリスト教の神などに疑問を感じる毎日。

    亡き母の高校時代の友人だったという加代子さんの息子、我孫子郁(あびこかおる)と恋愛中。
    耳年増だけど実際は初心な桐子は、郁のペースについて行くので精いっぱい。
    とはいえ郁も初めてなので、まあいろいろあるわけです。

    で、この本、平成14年に刊行された本なのですが、読

    0
    2025年08月29日
  • 無花果日誌

    Posted by ブクログ

    初読の作家。検索してもほとんど本が見当たらないので、寡作の作家の模様。

    海の近くのいなか街で暮らす桐子は、中学の時に母親を乳がんで亡くし、八百屋の父と弟に対して母親代わりで生活する。とはいえ、多感な中学3年から高校2年までであり、友達はどんどん初体験を済ませ、退学処分を受け…。

    日記らしく、時にはライトノベルのように、書き文にも自分の感情を隠さず描くタイプの小説である。裕福でない家柄とは別に、家の外ではミッションの女学校に通ったり、亡き母の病室の友であり、高校の同級生でもあった加代子の裕福な生活と、よくある貧乏に対する恨みつらみという部分が中盤以降出てこないので、かなり読みやすい。

    女子

    0
    2019年12月21日
  • 無花果日誌

    Posted by ブクログ

    十代の世界は狭い。しかし、世界なんてものは、そもそもがある程度は狭い方がいいのかもしれない。狭く深く。そのほうが、惑わされずに疑うことが出来る。「広い世界を知れ」なんて、それがさもいいことのように喧伝されるけれど、その結果、処理しきれなくなって、ぜんぶ世界に丸投げにしてしまう人には、正直なところ、辟易する。抱えきれない荷物に潰されて、さあどうだ、重いんだぞ、と息巻く大人の滑稽さを、「だったらその荷物、降ろしたらどうです?」と言ってしまえる。それが疑問というものだし、案外、核心だったりするのだ。
    ポップな文体の青春小説だなあ、と思って読んでいると、いつの間にか、そんなふうなことを考えさせられてい

    0
    2012年12月20日

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