由井りょう子の作品一覧
「由井りょう子」の「石巻赤十字病院の100日間 増補版」「黄色い虫 ―船山馨と妻の壮絶な人生―」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
1945年8月6日の朝、爆心地近くで被爆した11歳の少年が見たあの日のヒロシマの話。
作者は語り部として活動を続けてこられた米澤さん。
爆心地から700メートルほどしか離れていない、満員電車の中でその時を迎えた少年が見た、この世のものとも思えない光景。
この本を選んだのは、その前に原爆の詩集を読んでいたからでした。詩ではない、体験談の文章として読んでみたいと思ったためです。
出身県が広島でも、長崎でもなく、語り部の方の話を聴く機会は今までありませんでしたが、この本の文章は易しい言葉で、目の前にいる自分に対して語りかけてくださっているようでした。現地で体験した人にしか語ることのできない言葉で、感情的になるのではなく、訴えかける話でした。
まえがき、あとがきを含めて、どんな想いが込められているのか、その片鱗を感じるだけでこみ上げるものがありました。
自分だけが見た幻覚ではないのかと思うようなあの地獄絵図を、他の語り部や文芸作品として残しておられる方のことを知って、ああ自分が見たものも同じだったと改めて感じておられるところが、とてもリアルな感情であると感じます。
絵にも文章にもできずに亡くなっていったたくさんの方々のことを、思い出すのも気が狂いそうな恐ろしい記憶を掘り起こして伝えようとしてくださる方がいることを、戦争を体感していない世代だからこそ忘れてはいけないと、強く思います。
読めてよかった、知れてよかった一冊です。
いつか、姪にも読ませたいです。