山口義久の作品一覧
「山口義久」の「アリストテレス入門」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「山口義久」の「アリストテレス入門」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
アリストテレスに関する入門書は案外少ない。その著作を読むことが入門であるとはよく言われるものであり、確かにアリストテレスについて知ろうとすれば『ニコマコス倫理学』や『形而上学』を読むことに優る入門はないであろう。しかし古典と呼ばれるもの、特に古代哲学を学ぶ際には、テクストそのものへの理解や解釈についての見通しが必要となる。基礎的な理解がなければテクストを読み進めること自体に大きな困難が伴うであろうし、何をどう読めばよいのかを知るにもいくらかの道案内が必要となる。本書はそのような読者にうってつけの最初のアリストテレス入門にふさわしい一冊である。
英語ではその入りやすさ順に、ジョナサン・バーンズ、ジョン・アクリル、クリストファー・シールズ、W. D. ロスの入門書がある。Very Short Introductionsのバーンズはアリストテレス研究の地図を与えてくれるものであり、ロスは古典的なテクスト密着型の入門書である。シールズはケンブリッジコンパニオンと並行して研究の見通しを一人の研究者の視点から提示するラウトレッジの入門書のシリーズの一つで、現在のアリストテレス研究の到達点を示すものである。アクリルの入門書はアリストテレス研究が古代哲学という文脈からではなく現代のテクストとして読み解かれる趨勢の中で記されたものであり、藤沢令夫氏と本書の著者山口義久氏の共訳で刊行されている。本書はバーンズとアクリルの中間に位置する内容を蔵するものである。
本書の特徴は私たちの具体的な経験を掬い取るようにしてアリストテレスの洞察を引き出していくことにある。アリストテレスが経験をどのように捉え、この世界をどのように見つめていたのかが明らかにされていく。古代哲学と聞けば一見私たちの生活と関わりのないものと思われてしまうのだが、むしろ私たちの経験を豊かに捉え直す洞察がその叙述から導き出されていくのである。私たちがこの世界で生きる中でどのように物事を捉え、生きていくのか、その経験の判断をめぐる省察が積み重ねられていくのである。
本書の巻末にはアリストテレスの著作のみの出典一覧が付されている。本書の叙述の一つひとつの典拠となるテクストが具体的に引かれているので、アリストテレスの著作を読もうとする読者を確かに導く手がかりとなる。そして新書でありながら索引が付いていることからアリストテレスの基本用語についてのまとまった記述を本書の中に探すこともできる。アリストテレス哲学の説明であることを感じさせないほどの生き生きとした叙述に確かな典拠を記した巻末の出典一覧と索引とを通して、本書が実に痒い所に手が届くアリストテレス入門であることに気が付かされるであろう。
Posted by ブクログ
書名の通り、アリストテレスの入門書である。しかも、(専門家から見ればどうだか知らないが、素人の僕から見れば)この種の入門書に期待される諸々の基準を十全に満たした内容と見える。簡潔な文体で、アリストテレスの様々な業績を解き明かしていく。
ざっくりとした印象だが、アリストテレスは物事をやたらと分類するのがお好きなようで、この点現代のいわゆる「学者肌」の人物と通じるところがある。というか、実際のところ、彼が実践した分析思考という学術研究のアティテュードが現代にいたるまで引き継がれてきているというのが本当なんだろう。なにしろ彼は「万学の祖」と呼ばれる人物である。
それはともかく、彼はいろいろと分類し、その過程でいろいろと概念を発明している。したがって、本書にもそのような概念があちこちに出てくる。これらについて、逐一丁寧な説明はなされるものの、読み進めていくうちに説明された内容を忘れてしまったり、他の概念と混同して訳が分からなくなってしまったりというのは初学者の常である。というか僕がそうなりがちなのだが、その際には巻末についている索引を利用して、該当語句の初出箇所に立ち戻ってみるといいと思う。
新書に索引がつくのは珍しい。詳細な出典一覧もそうだが、大変配慮の行き届いたつくりだと思った。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。
彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。
いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。
われわれがさまざまな事柄を考える際の思考法そのものに関わる問題を、彼はどのように追求していったのか。
本書は、そのねばりづよい知の探求の軌跡をたどるアリストテレス再発見の試みである。
[ 目次 ]
序章 アリストテレス再発見
第1章 知への欲求
第2章 論理学の誕生
第3章 知の方法
第4章 自然と原因
第5章 実体と本質
第6章 現実への視点
第7章 生命の意味
第8章 善の追求
第9章 よく生きること
終章 アリストテレスと現代
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