松戸清裕の作品一覧
「松戸清裕」の「ソ連史」「ソ連という実験 ──国家が管理する民主主義は可能か」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
以前からソ連に興味があったものの調べもせずぼんやりと生きていたため、ようやく手を出してみました。ソ連史の全体について要点を抑えつつ多面的に書いてあり、良書でした。
実態が伴わないながらも一般的なイメージの一党独裁的なソ連というより、遥かに自由(統制しきれなかったとも言えるが...)で、国民の声を聞いていることに驚きました。
また、国民側も不満一色という訳ではなく、明るい未来を信じて共産主義建設のために献身した人々が少なからずいたことも驚きでした。
投票率の高さや国への投書の数はすさまじく、また国側も民意を組む意図があったというのは、政党を選べない一党支配だからこそ国民も「この政党に変わってもらわなければならない」という切実さがあるように思えました。
資本主義に対抗する崇高な理念だった社会主義がどうしてああも失敗してしまったのか。今日では資本主義でも社会主義でもない体制が模索されており、新しい理念というのはしばしば魅力的に映りますが、少なくともそうした対抗文明には一定の危機感も持たなければならないなと思わされます。
本書の締めくくりの言葉が非常に印象的だったので、以下に引用します。
─ソ連の歴史を研究する者としては、果たして「対抗文明」が現れることがよいことなのか疑問や不安を抱かないでもない。善き意図が善き結果につながるとは限らず、「対抗文明」のほうが優れたもの、善きものとなるとは限らないからである。こうした疑問や不安を払拭する意味でも、ソ連という強力な「対抗文明」の歴史、そしてソ連の存在した二〇世紀の歴史から学ぶべきことはまだ尽きていないのではないかと思う。