山本松季の作品一覧
「山本松季」の「異法人」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「山本松季」の「異法人」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
完結した、この巻で
何度も読んでみた
時間、流す音楽、精神状況が違う時に
その都度、肯定または否定を示したい台詞、心を打ってくるシーン、同じじゃなかった
けれど、このレビューを書く事を決めた今でも、この作品の内容、もしくは誰が、正しいのか、それとも、間違っているのか、決められていない
多分、これからも、結論は出ないだろう
知らない誰かを殺した事も、知っている誰かを殺された事もない私には、きっと出せない
願わくば、ずっと悩み続けたい
一つ言えるのは、この作品の隅々まで、己が思っている事、考えてきた事、伝えたい事を詰め込み切った山本先生を、私は漫画家としても、人間としても尊敬する
読みきり、拙くも、こうやって感想を書いた者としては年代の違う多くの人に手に取って欲しいが、やはり、最も読んでほしいのは、アオナと同じ年の子だ
これを読んで、世間一般的に正しいか、歪んでいるか、そこは脇に置いても構わないから、自分だけの論を持って、友達や先生、親とぶつけあって欲しい
全巻通して、面白い、でなく、自分と会話をしたくなる、この『異法人』は私は己の中の殿堂入りにする
Posted by ブクログ
初版の帯に中村光さんのコメントと「聖☆おにいさん」のカットがあったので、ギャグマンガだと思って手に取ってしまいました。が、シリアスでした!
高校生・青南の前に現れたバビロニアの王・ハンムラビ。彼は日本の法律では無く、己の法で人を裁く。「人の骨を折った者は、骨を折られなければならぬ」では、人を殺した者は?殺された者は?
深く考えさせられるテーマです。
赤い髪をしている・アッカド語に通じている…という理由で、青南の祖母から「アカ」と呼ばれることになるハンムラビ王。このあだ名を受け入れるあたり、器がデカいなと思うけど、こんなところでギャグを入れられたら、雰囲気台無しだったので、そんな展開にならなくて良かったと心底ほっとした。
Posted by ブクログ
自分の中にある『何か』が根本から揺るがされる
ファンタジー感が強まり、ハンムラビ王とシャイールの過去から始まった確執が絡み合う事で、重々しい雰囲気のストーリーの芯が更に太くなり、読み応えと、読み手を世界観に引き摺り込む腕力が単純に増している
帯にある、「死刑とは“正しい殺人”なのか」と言う問いかけ
私はNOだと思う。殺人は全て間違った行為だ。その動機が、大事な人間を殺された事に対する怒りや憎しみで、真っ当な復讐であろうとも、自身の手で凶器を握り、血で汚したが最後、金銭目的やイジメの延長線上の殺人と同じになる
しかし、NOだと思う反面で、死刑は必要だ、とも考えている自分がいる
人を殺した人間は、その最も重い罪を、自分の命で贖うべきであり、死刑も、死刑を執行する人間は必要であり続けるべきなのだ。むしろ、人を殺して、のうのうと生きていられる現代社会にこそ、目を逸らしてはならないイビツさがあるのではないか?
非の打ちどころが一つとしてない『正しい』人間がいない以上、間違いを犯し、人が超えてはならない一線を越えて境界を侵した人間は、正しくない人間からの罰を受けなければならない
もちろん、『正しい』人間がいない以上、『間違いつづける』人間もいない事になる。生き続けていれば、いつか、自分の犯した罪の重さと真摯に向き合い、本当に反省し、後悔する瞬間は来るのかも知れない。けれど、その一瞬が来ない可能性もあり、そちらの方が遥かに高いとすら言える
人を殺した時点で、その者は自分も殺している、それは過言じゃない。死刑は罪人を救う行為ではないが、人でなくなった者を救えるのは人であり、その者を許す唯一の行為は、やはり、死刑しかないのではないか・・・・・・
仮に、死刑を“正しい殺人”と定義した場合、それは見せしめになるよう、冷酷かつ残忍なモノにすべきなのか。それとも、死刑を課す者の苦しみを軽減するために、罪人の命の重さを極力、感じないようなモノにすべきなのか
そんな、どんなに真面目に考えても、揺るがない正答を導き出せず、グルグルと思考の迷宮に読み手を誘い込む漫画
罪人を赦せるのが「強い」と言えるのか、逆に、罪人を罰したいと願うのは「弱さ」なのか
改めて、『正義』の二文字は生半可な覚悟で振りかざして良い物じゃない、と実感
正義は、違う面から見れば、圧倒的な悪でもあるのだから
裁かれるべき、死で償うべき罪に、『緊急避難』、しかも、最も、それの是非が話しやすい『カルネアデスの板』を用いている点に、ホント、驚嘆させられた
多を救うために、個を犠牲にする、それが「正しい行為」として許されるか、「非難される悪行」として罰せられるか、極端なトコ、ケースバイケースで、私には何とも言えない。一人を切り捨てないと、自分が助からない、そんな極限状況に追い込まれた事がないから、安易な想像で答えを出せないし、むしろ、出しちゃならないと思う
ただし、この男は許されないし、許せない。こればかりは「思う」と付けたくない。
『緊急避難』が正しい、正しくない、はこの際、関係ない
自分が助かる為に、他人を犠牲にした、その行為に対して、悪びれもせず、自身の行為を正当化しよう、と他者を恫喝する。罪を犯した事を自覚せず、良心の呵責を一欠けらも持ち合わせていない以上、それは最早、まともな人間じゃない・・・・・・死刑になるべきだ
また、このエピソードで改めて、ハンムラビ王の『王』としての凄さと怖さを直感したのは、廣治に『処刑』を一任した点。同時に、彼から任された廣治が、その瞬間、濁った私情を挟まず、負の感情にも飲まれず、本当に淡々と刑を執行したシーンにも、足元から震えが駆け上がってきた。少年に、そこまで腹を据わらせ、罪を負い続ける覚悟を背負わせるハンムラビ王は、やはり、「カッコいい」などと陳腐な一言で表してはいけない凄味を秘めているように思える
自分が全力を出し切ってすべき事を知り尽くし、その行為を一切の非の打ち所がない大義と信じ切った上で、己の行う業に対して「NO」を刃と共に突きつけてくる相手の存在すらも「正しい」と受け入れるハンムラビ王。国のトップに立って欲しいけど、仮に国権を掌握されたら確実に今の日本は終わるな、けど、彼ほどの『器』の持ち主になら潰されたもしょうがない、と一人の読み手に本気で思わせる、尋常じゃないまでの歪な個性の保有者。恐らく、長い歴史の中でも、彼に匹敵する古今東西の偉人は片手で数えられるしかいなくて、日本人で最も感性が近いのは、かの織田信長だろうな
ここまで長々と語ってしまったが、どうしても、最後に言いたい事が一つ
これは、今年末に出る『このマンガがすごい!』のベスト3、いや、第一位を獲得しても不思議じゃない漫画ってコト、それだけは言っておきたかった
Posted by ブクログ
久しぶりに、背中に寒いものが走り、鳥肌が起こる青年漫画だった
高い画力や練り込まれたストーリー、緻密なキャラ設定が理由でなく、ただただ、理屈抜きで、この漫画の世界に引きずり込まれた
音も匂いも、あらゆる物がシャットダウンされるほど集中されて読んだからか、結構な疲労感に襲われた
面白い、云々の前に、怖い、とすら感じてしまった
ハンムラビ王の、王である、少なくとも、チンケな常識で器を計り切れない大人物、と初見で見抜けるほどの、物理的な物すら帯びる圧迫感がページ越しにも伝わって来たからかも知れない・・・・・・
「目には目を歯には歯を」、やられたらやり返していい、そんな子供じみた理屈の法でないのは頭で理解できるが、いざ、やられた側になったら、理性なんて吹っ飛んじゃうんだろうな
法律とも呼べぬ、原初の『取り決め』を定めた王が、現代の日本に顕現したのは、神の悪戯か、悪魔による奇跡か。何にしろ、白と黒に分けられなくなった、灰色の社会を王としての直感に従って、善悪を見極め、裁きを下すんだろう
中村先生が、ここまで力強く推薦してくれる理由が、一読すれば理解できる
これは、シンプルに凄い漫画だ
Posted by ブクログ
設定は至極SF的だが、底辺に流れるテーマは現在も毎日のように誰にでも問いかけられている「何故人を殺してはいけないのか」「人を殺した者は死刑が妥当な刑罰なのでは?」だ。
律の「意志をもって相手を許そうとすることは‟無抵抗”じゃない!」「どんなことがあっても人を殺すという選択をしないことが 僕の戦いだ!」…律が辿り着いた答え、それは何があろうと誰もが人を殺さないという法。
単純に思えるが、誰もが「他者を殺さない」を遵守すれば、死刑制度も復習も必要が無いのだ。机上の空論かもしれないが、考える事を放棄すれば人は簡単に殺す方にも殺される方にもなってしまう、と言う事を考えさせられた。答えは出てない、が考える、考え続ける事の重要さに気づく。