≪2023年2月号≫月刊 書店員すず木

≪2023年2月号≫月刊 書店員すず木
この道10年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • 18=80(エイティーン エイティ)(1)

        18=80(エイティーン エイティ)(1)

        完結

        飴屋幸子、80歳。楽しく穏やかに過ごす老後の日々。 しかし、今際の際に胸を埋め尽くしたのは、会うべき大切な人たちに会わないまま死んでいく自分の臆病さへの、強い後悔だった。 「まだ会いたい人がいる。あたしは生きたい。」 だれがその思いを叶えたのか、幸子は18歳へと突如若返り、覚束ない足取りで第2...

        80歳が18歳に若返り!?幸子のバイタリティが眩しい!様々な気づきを与えてくれる物語。

        主人公は飴屋幸子(あめや さちこ)、80歳。
        死を目前にやり残したことを考えたら海外旅行や勉強でもなく、すべて人への執着でした。
        臨終の間際、大事な人間に会うのを避けてきた臆病な自分に気づき、心から「どんな姿でもいいから、もっと生きたい!!」と強く願ったところ、なんと18歳に若返ってしまったのです!!

        ふとしたことで仲良くなった隣のアパートに住む、胡桃仙太郎(くるみ せんたろう)に助けてもらいながらなんとか第2の人生を歩み始めた幸子ですが、仙太郎に命のリミットがあることを知り、お互いがやり残したことをふたりで協力して叶えることを提案します。
        80歳が18歳に若返るとだけ聞くと、若返って色々できて良いことづくめ!と思ってしまいますが、実際にはそんな単純な話ではないようです。
        幸子がバスに乗ろうとするも小銭を出すのにまごついてしまった際、80歳の時は動作が遅くても周りはそれを許してくれていたのに18歳の姿で同じことをしたら「ちっ!早くしろよ」と言われてしまったり、駅で道を聞いた際も、お年寄りには親切丁寧に教えてくれるのに、18歳の姿の幸子には「自分で調べてよ」と言われて終わってしまったり…。
        「突然若返るとこんな問題が発生する」ということを老人視点から描いており、それが妙なリアル感があるのです。
        もしや作者の岩渕竜子先生は本当に若返った方なのでは…!?と思ってしまうほど、読者側に様々な気づきを与えてくれます。

        若返ったことで様々な問題にぶつかる幸子ですが、諦めずに立ち向かう姿は読んでいて勇気を貰えます。
        中でも
        「やればできるんだって思いたい 心まで老化させちゃ駄目なんだ」
        というセリフが胸に突き刺さりました。
        何歳でも新しいことにチャレンジできるとは言いますが、心が老化してしまうとチャレンジしたいとも思わなくなってしまいます。
        この発言に至った幸子のバイタリティは眩しいほど!
        恐らくはそんな幸子と一緒にいることで、体が弱い仙太郎も救われているのだろうと思います。

        心が疲れてしまった方、心の老化を感じる方は、彼女の前向きな姿を見て元気を貰ってください!

少女・女性マンガ

      • やも男と女形 1

        やも男と女形 1

        完結

        妻と子を亡くしてから、独りで純喫茶を営んでいる幸一。彼がある日出会ったのは、家出中だという謎の美少年。その正体は、大衆演劇の女形スターであり、世間から行方をくらましている喜多川艶之助だった。艶之助は、幸一の店でしばらく住み込みで働きたいと幸一に提案する…。父親になり損ねた幸一と、世間から身を隠...

        心にぽっかりあいた穴を埋めてくれるのは、美味しいごはんと同居人。

        妻と子を交通事故で亡くしたショックから立ち直れず、営んでいた喫茶店も閉店しようとしていた伊丹幸一(いたみ こういち)。
        彼がある日出会ったのは、世間から行方をくらましている大衆演劇の天才女形役者・喜多川艶之助(きたがわ えんのすけ)でした。
        家に帰りたくない艶之助は、幸一の店で住み込みで働かせて欲しいと頼みます。
        じゃぁ1日だけと承知した幸一ですが、艶之助の接客は素晴らしく、店は大繁盛。
        父親になり損ねた「やも男」幸一とワケアリな「女形」艶之助の、奇妙な同居生活がスタートします。
        相手が望んでいることを瞬時に察して応える才能がある、艶之助。
        自分の気持ちを素直に言葉に出すことができないからこそ、料理で対話していた幸一。
        年齢も違えば立場も全く異なるふたりですが、共通点は心にぽっかり穴があいているということでしょう。

        艶之助の15歳ながらもしっかりしたところは、幼少の頃から舞台俳優として叩き上げられてきた賜物だとは思いますが、そこに至るまでの気持ちを考えると切なくなります。
        また、一度幸せを失ってしまった経験があるため再び失うのが怖くて幸せを掴むことができない幸一。ちょっと強引でありながらも適度な距離を取る艶之助のおかげで次第に気持ちが変化していきます。
        ふたりの生活を見ているとうまい具合にお互いが補い合っており、その絶妙なバランスは危うくも微笑ましく感じます。
        どうかこの生活が続いてふたりが幸せに過ごせますように…と願わずにはいられません。

        『恋する仏像』(講談社)や『写楽心中 少女の春画は江戸に咲く』(秋田書店)など、色気のある繊細なタッチで心の機微を描いてきた会田薫先生。
        それらは今作でも遺憾なく発揮されておりますが、そこにポップさが加わって、よりテンポよく爽快に読み進められるようになっています。

        バディものが好きな方はもちろん、心の奥から温まりたい方に読んでいただきたい作品です!!

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:
最近色々な方にインタビューをする機会が増えました。
事前にシミュレーションする派なのですが、実際にはそんな上手くいくわけもなく…インタビューをするのって難しいですね…。
「人の話を聞く」奥深さを感じています。

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