国内ミステリー - 東京創元社作品一覧

  • 算盤が恋を語る話
    3.8
    “乱歩の前に乱歩なく、乱歩のあとに乱歩なし”と称される巨星が、こよなく愛した純粋本格に果敢なアプローチを試みた佳品「一枚の切符」を始め、「黒手組」「日記帳」「盗難」「夢遊病者の死」など執筆活動最初期の試行錯誤を通して生み出した色とりどりの短編十編を収録。

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  • 續・日本殺人事件 〈トウキョー・サム〉シリーズ2
    -
    1巻605円 (税込)
    〈私立探偵 東京茶夢――よろず相談承ります〉。憧れの日本にやって来たトウキョー・サム。来日早々、立て続けに遭遇した三つの不思議な事件と、日本人を理解できないという悩みを乗り越え、遂に探偵事務所を開業したのだ。その記念すべき最初の依頼人は、死霊に怯えるリキシ。サムは捜査に乗り出すが、事態は予想もしない展開を見せ、なんと一晩で三度リキシの死体を発見することに……。スモウ・レスラー連続殺人事件「巨人の国のガリヴァー」と、ウンスイの怪死を契機に勃発する、極限の論理対決「実在の船」を収録。『日本殺人事件』の続編にして、山口ミステリの精華たる傑作集。

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  • 太鼓叩きはなぜ笑う
    3.9
    数寄屋橋近くの三番館ビル六階にバー〈三番館〉がある。落ち着いた雰囲気の、いい店だ。少し早い時間に行くと、達磨大師然としたバーテンがひとりグラスを磨いている。常連の私立探偵は、依頼された仕事を持て余すたび、雑学の大家であるこのバーテンに知恵を借りに来る。どんな事件も、たちどころに解き明かしてくれるのだから!本格ミステリの巨匠が生んだ安楽椅子探偵、ここに登場。最終行の切れ味が素晴らしい「竜王氏の不吉な旅」など5編を収録。収録作品=春の驟雨/新ファントム・レディ/竜王氏の不吉な旅/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う/解説=白峰良介
  • 退職刑事1
    3.6
    かつては硬骨の刑事、今や恍惚の刑事になりかかった父親が、捜査一課の現職刑事である息子の家を頻々と訪れる。五人いる息子のうち、唯一同じ職業を選んだ末っ子から現場の匂いを感じ取りたいのだろう。その息子が目下捜査中の事件について話を始めると、父親はあれこれと突っ込みを入れ、あげく真相を引き出してしまうのだった……。記念すべき第一作「写真うつりのよい女」をはじめ、推理の過程が秀逸な「ジャケット背広スーツ」など、七編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。/【収録作】「写真うつりのよい女」/「妻妾同居」/「狂い小町」/「ジャケット背広スーツ」/「昨日の敵」/「理想的犯人像」/「壜づめの密室」/あとがき=都筑道夫/解説=法月綸太郎
  • 退職刑事5
    3.5
    父が状況を聞いて事件を再構成する力に、私は幾度舌を巻いたか知れない。硬骨の刑事魂は、退職したところで一向錆びつきはしないのだ。私の現職刑事ぶりが気になって、足繁く団地へ話しに来るのもわかる。しかし「わたしが俳句に凝ったりしたら、お前が困るだろう、事件の解決が長びいて」などと言われると立つ瀬がなくなってしまう……。退職刑事若かりし頃の事件「凧たこあがれ」や、何とも皮肉な結末に問題発言が飛び出す「Xの喜劇」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第5集。/【収録作】「落葉の墓」/「凧たこあがれ」/「プールの底」/「五七五ばやり」/「闇汁会」/「遅れた犯行」/「あくまで白」/「Xの喜劇」/解説=津田裕城
  • 退職刑事3
    3.0
    話半ばで目を閉じ、眠ってしまったかに見える父だが、油断はできない。こうしているときに思考回路はめまぐるしく動いているに違いないのだ。それが証拠に、私にはおよそ目鼻をつけられなかった事件が、鮮やかに解きほぐされていく……。ダイイング・メッセージから犯人を割り出す「乾いた死体」や暗号もどきを解読する「筆まめな死体」など、現職刑事の手に余る難題に往年の辣腕を揮う、退職刑事の事件簿7編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第3集。/【収録作】「大魔術の死体」/「仮面の死体」/「人形の死体」/「散歩する死体」/「乾いた死体」/「筆まめな死体」/「料金不足の死体」/解説=新保博久
  • 退職刑事2
    4.3
    退職後も刑事かたぎが抜けない父親に、捜査一課の現職刑事である息子の五郎は、親孝行を兼ねて今日も目下の懸案を語り始める。時に水を向けられ、時に相談を持ちかけて口火を切り、事件を詳述していくと退職刑事の眼光は鋭さを増し、やがて意想外の真相を浮かび上がらせる。団地の四階で父子が対話する基本形式に加え、「四十分間の女」「真冬のビキニ」では、第三者が持ち込んだ地方都市の謎に現職退職両刑事が挑む。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第2集。【収録作】「遺書の意匠」/「遅れてきた犯人」/「銀の爪きり鋏」/「四十分間の女」/「浴槽の花嫁」/「真冬のビキニ」/「扉(ドア)のない密室」/解説=新保博久
  • 退職刑事4
    4.0
    推理作家の椿正雄さんには、元刑事の父が何かとお世話になっている。ダイイング・メッセージだの殺人予告だの、父の衰えを知らない好奇心を満たすような話の相手も、少なからず務めてくれているらしい。その椿さんがわざわざ一席もうけるという。非番の日を見繕って現職刑事である私まで招ぶからには、魂胆ありと見たが……。現職退職両刑事と推理作家が故人の梗概(ミステリ)を巡って文殊の智慧を絞る「あらなんともな」など、退職刑事の健在ぶりを示す8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第4集。/【収録作】「連想試験」/「夢うらない」/「殺人予告」/「あらなんともな」/「転居先不明」/「改造拳銃」/「著者サイン本」/「線香花火」/解説=田中博
  • 退職刑事6
    4.0
    私が概略を話すと、父は目を閉じて首を垂れる。ややあって顔を上げたときには、まず事件は解決したと思っていい。父のお蔭で迷宮入りを免れた事件もかなりの数になり、老いてなお旺んな好奇心と推理力には脱帽するしかない。推理作家の椿氏も、父の安楽椅子ならぬ炬燵探偵ぶり、窓がまち探偵ぶりに惚れ込んでいる。退職刑事が調べて現職刑事が寝台探偵を務めるという逆の構図で描かれる「拳銃と毒薬」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第6集。/【収録作】「つまらぬ事件」/「桜並木の一本の桜」/「死は木馬にのって」/「拳銃と毒薬」/「耳からの殺人」/「馬の背」/「針のない時計」/「昔の顔」/あとがき=都筑道夫/解説=西澤保彦
  • タイトルはそこにある
    3.8
    謎の人物が主催する、行方不明の女性の誕生会。そこで浮かび上がる醜い人間関係――第一話「主役のいない誕生会」。クリスマスイブの夜、ホテルで繰り広げられる過去の暴露大会――第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」。互いに何かを隠しつつ進む、二人の男の愛憎渦巻く会話劇――第三話「おしゃべりな男たち」。あなたは必ずやり直せる。さあ立って。自首する前に、ご家族に会いに行きましょう――第四話「雪月花の女たち」。大女優の舞台出演を実現させるため、大御所脚本家が遺した最後のクイズに五人の男女が挑む――第五話「タイトルはそこにある」。編集者が次々繰り出す難題に、鬼才はどう応えたか? ベストセラーとなった『公開処刑人 森のくまさん』の著者が贈る、全編書き下ろしの作品集。巻末には本書の成立過程を記したあとがきを収録する。
  • 太陽が死んだ夜
    4.0
    ニュージーランドの全寮制女子校に、親友のバーニィと共に編入してきたジュリアン。彼女は同校を卒業した祖母が遺した手記と、古い手紙を携えていた。手記には、第二次大戦中に同校の教会堂で起こった残虐な殺人事件が、手紙には復讐をにおわせる不吉な一文が書かれていた。教会堂にお籠もりするという伝統行事の夜、ジュリアンと6人の同級生に、過去の事件と酷似した状況で悲劇がふりかかる……。これは41年前の事件の再現なのか? 少女たちを脅かす封印された謎とは? 第20回鮎川哲也賞受賞作。

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  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    3.7
    昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、たった1年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で夏休み中の一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、中止となった修学旅行代わりの旅だった。そこで巻き込まれた密室殺人。さらにキティ台風が襲来する8月31日の夜に、学校隣の廃墟で首切り殺人にも巻き込まれる! 二つの不可解な事件に遭遇した少年少女たちは果たして……。戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す――。各方面から絶賛を浴びた長編、待望の文庫化。/解説=杉江松恋
  • 多重迷宮の殺人
    -
    首都圏を震撼させた地下遺構連続殺人事件。その犯人も被害者の共通点も不明のまま、捜査は暗礁に乗り上げていた──。そんななか、地下遺構探索サークルを主宰する大学生・藤間秀秋、名探偵・七ツ森神子都とその助手・風野颯平らは、令嬢・御坂摩耶の依頼で、彼女の祖父である有名政治家が遺した別荘を訪れる。そこに隣接する地下遺構を調査中に山崩れが発生、身元不明の屍蝋化死体、摩耶の祖父が金塊を残したと信じるグループとともに、内部に閉じ込められてしまった。脱出方法を探して地下遺構を彷徨うなか、何者かに一人また一人と殺されていく。七ツ森と風野たちは連続殺人犯を突きとめ、閉鎖空間から無事生還できるのか。
  • ただし、無音に限り
    3.4
    疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか? すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が――俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
  • ただし、無音に限り
    3.0
    推理小説の名探偵に憧れて開設した〈天野春近探偵事務所〉。主な依頼は浮気調査ばかりと理想どおりにはいかないが、ときにいかにも探偵らしい仕事が舞い込むこともある。しかしその大半は、春近の“霊の記憶が視える”という特異な能力を当てにした無茶なものだった。制約の多いその力に振り回されながらも、春近は霊と人を救うため調査を開始する。事件性なしと判断されたはずの資産家の死、二年前に借金を残して行方をくらましていた生死不明の失踪人の「死体」捜索――霊視探偵・天野春近が解き明かす二つの事件を描いた霊能力×ミステリ!/解説=大山誠一郎
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4
    3.8
    1巻605円 (税込)
    女子大生・三浦鈴女は、殺害された人気アイドル・神崎あやが中学時代の同級生であったことに衝撃を覚える。傷だらけの状態で発見されたあやには、刺青を消した痕があった。続いて、別の同級生が隅田川で水死体として発見される。彼女にもあやと同じ場所に、同じ刺青があった。2人の右肩にあった小さな薔薇の刺青。刺青同様に2人の同級生が消したかった過去とは何か。あやの事件の記事を依頼された柚木草平は、鈴女たちの中学時代に事件の発端があるとみて関連性を調べ始めた。事件の背後にある悲しい真実に二人は?《柚木草平シリーズ》番外編ともいうべき傑作。

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  • たまさか人形堂それから
    4.0
    人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々にのしかかる重圧は永久にわからない――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた玉阪人形堂の新人店主・澪。店にやってくる様々な顧客が持ち込む謎、そして人々との対話を通して、彼女は日々、人形に向き合う。少女たちが夢中になった国民的着せ替えドールを巡る騒動、髪が伸びる市松人形に隠された胸を打つ物語。当代きっての短篇の名手が贈る、『たまさか人形堂ものがたり』に続く珠玉のミステリ連作集。書き下ろし「戯曲 まさかの人形館」を収める。/解説=倉数茂
  • たまさか人形堂ものがたり
    4.4
    会社をリストラされ突如無職となった澪(みお)は、祖母が遺した小さな人形店を継ぐことにした。人形マニアの青年・冨永と謎多き職人・師村の助けを得て、いまでは人形修復を主軸にどうにか店を営んでいる──自分がモデルになったという、顔を粉々に砕かれた創作人形の修復を希望する美しい女性。だが、その人形が創られたのは、彼女が生まれた頃と思しい三十年以上前のことだと判明する(「毀す理由」)。ほか、伝統的な雛人形を有する旧家の不審死、チェコの偉大な人形劇団の秘密など、名手が人形を通して人の心の謎を描く珠玉の短編を収める。書き下ろし短編「回想ジャンクション」を収録。/解説=紅玉いづき
  • タラント氏の事件簿[完全版]
    3.5
    メトロポリタン博物館から忽然と消えた古写本、ペントハウスで起きた密室殺人、乗る者を次々死に追いやるボートの怪、古詩のとおりに消失と出現を繰り返す竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当てて真相をあばくのは、日本人執事カトーを従えた謎の紳士トレヴィス・タラントである。巨匠クイーンが「当代におけるもっとも想像力に富んだ探偵小説」と評し、〈クイーンの定員〉に選出した傑作短編集に、その後に発表された「消えたスター」「危険なタリスマン」など4編を追加収録し、不可能趣味に満ちたシリーズ全作品を網羅した文庫決定版!/解説=千街晶之
  • 探偵は教室にいない
    3.7
    わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校に入って以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩(とりかいあゆむ)は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女たちが新たな扉を開く瞬間を切り取った、4つの物語。第28回鮎川哲也賞受賞作。
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3
    3.3
    1巻550円 (税込)
    柚木草平は今日も美女に振りまわされつつ、事件調査に励む。エステ・クラブの美人オーナーからは、義妹に係わる依頼をされるが・・・・・・。芸能プロダクションの社長からは、失踪した女優の捜索依頼を受けるが、美人マネージャーに振りまわされ・・・・・・。雑貨店の美人オーナーからは、死んだはずの夫から送られてきた手紙についての調査が迷い込むが・・・・・・。柚木を憂鬱にさせる、美女からの依頼の数々。「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の三篇を収録した、人気私立探偵シリーズ第三弾。

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  • 大暗室
    3.8
    飛行競技大会で超絶技巧を披露する二青年。正義を旗幟に掲げる貴公子と、帝都に大暗室と呼ぶ王国を築き全世界の覇者たらんと欲する地底魔との凄絶な戦いの火蓋が切って落とされた!

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  • 第三閲覧室
    3.0
    誠和学園大学図書館の第三閲覧室は、大学の正式な施設でありながら、内実は学長の稀覯本コレクションを収めた個人的な書庫と化していた。その室内で有毒ガスを吸い込んだ死体が発見される。事件の背景にあるのは学内の複雑な人間関係か、それとも膨大な数の稀覯本か? 図書館運営主任に嫌疑がかけられるなか、彼の無実を確信する古書店主が事件の調査に乗り出す。第三閲覧室周辺で目撃された謎の女性や奇妙なダイイング・メッセージなど、事件には不可解な点が散見されて……。本に関するさまざまな情報のなかに緻密な企みを埋め込んだ、紀田ミステリを代表する傑作長編本格推理。
  • ダイヤル7をまわす時
    4.0
    かつて戸根市に存在した暴力団・北浦組と大門組は、事あるごとにいがみ合っていた。そんなある日、北浦組の組長が殺害される。鑑識の結果、殺害後の現場で犯人が電話を使った痕跡が見つかった。犯人はなぜすぐに立ち去らなかったのか、どこに電話を掛けたのか? 正統派犯人当て「ダイヤル7」。船上で起きた殺人事件。犯人はなぜ死体の身体中にトランプの札を仕込んだのか? トランプの名品〈ピーコック〉をめぐる謎を描く「芍薬に孔雀」など7編。貴方は必ず騙される! 奇術師としても名高い著者が贈る、ミステリの楽しみに満ちた傑作短編集。/【目次】ダイヤル7/芍薬に孔雀/飛んでくる声/可愛い動機/金津の切符/広重好み/青泉さん/解説=櫻田智也
  • だから殺せなかった
    4.0
    「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」大手新聞社の社会部記者に宛てて送られてきた一通の手紙。そこには、首都圏全域を震撼させる無差別連続殺人に関して、犯人しか知り得ないであろう凶行の様子が詳述されていた。送り主は自ら「ワクチン」と名乗って、ひとりの記者に対して紙上での公開討論を要求する。「おれの殺人を言葉で止めてみろ」連続殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。果たして、犯人の真の目的は――劇場型犯罪と報道の行方を圧倒的なディテールで描出した第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
  • ダブル・ミステリ
    3.0
    1巻1,934円 (税込)
    直球のフーダニットとトリッキーなサスペンス、二本の中編を収録。驚愕の結末は、巻末に──。数々の不可能犯罪を解決してきた弁護士・森江春策。彼は幻の映画の上映会に招かれ、潮が満ちると孤島と化す地・天眼峡に建つホテル《月琴亭》にやってきた。しかしそこに集った他の四人は、それぞれ異なる理由で呼び出されたことが判明する。クローズド・サークルで起きた殺人事件に名探偵が挑む直球のフーダニット!(「月琴亭の殺人」)磯島健太が死んだ。いい加減なのに憎めない、わたしの元恋人が――。頼りない恋人を見切ってシングルマザーという選択肢を選んだライターの“わたし”は、妊婦が電車内でトラブルに見舞われて急死した事件を取材中、奇妙な違和感を覚えた。被害者女性の周辺では事故死が相次いでいるのだ。この不気味な事実に着目したわたしだが……。(「ノンシリアル・キラー」)2つのミステリが重なるとき、世界は反転する──芦辺拓、一世一代の大仕掛け!※収録しております「ノンシリアル・キラー」「解決編」は、電子書籍版収録にあたり、紙書籍版と仕様が異なる部分がございます。
  • ダミー・プロット
    3.5
    自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。/【目次】[ダミー・プロット]序章/第一章 奇妙な契約/第二章 犯行以前/第三章 首/第四章 二つの死体/第五章 アリバイ/第六章 殺意の接点/第七章 昏迷/第八章 録画は語る/第九章 壬庚子の秘密/終章/[推理クイズ]賭博/おんぼろバス/探偵学初歩/アリバイ/[エッセイ]本格のトリックは出つくしたか?/トリック問答/想い出五十年/編者解題=戸田和光/盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
  • 誰もわたしを愛さない 柚木草平シリーズ6
    3.8
    1巻715円 (税込)
    桜の花びらが散りさわぐ春。月刊EYESから、新担当の美女・小高直海の紹介と新たなルポの依頼を受けた柚木草平は、行きずりの犯行と思われる女子高校生殺人事件に気乗りがしないものの、原稿料のアップを約束されてしぶしぶと依頼を受けることに。被害者の同級生である女子高校生に圧倒されつつ調査を進める柚木は、事件が怨恨によって引き起こされた事実に気づく。哀しくも、周到に仕組まれた事件のからくりとは何か――?メガネ美女の新担当、美人エッセイスト、そしておなじみ吉島冴子や娘の加奈子にふりまわされる、人気私立探偵シリーズ第六弾。

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  • 誰もわたしを倒せない
    3.6
    後楽園のゴミ捨て場に遺棄された死体は、なぜか頭頂部の髪を無惨に刈り上げられていた。事件を担当するのは所轄の刑事三瓶と格闘技マニアの新人・城島のコンビ。被害者はカタナという名の気鋭レスラーではないか――城島の推測を元に二人は事件関係者の聴取に奔走するが、次いで被害者の出自を知る男が自殺を遂げ、捜査は難航する。老練の刑事である三瓶も頭を抱える最中、城島は不思議な魅力を湛えた新人レスラー・犬飼の鋭い指摘を受けて事件を追ううちに、意外な目撃証言を手にするが……。覆面レスラー殺人事件と、容疑者の怪死が描く構図が推理を経て鮮やかに反転する「覆面」ほか、トリッキーな試み溢れる本格推理連作集。

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  • 團十郎切腹事件
    3.9
    江戸川乱歩に見いだされ、旧「宝石」誌に掲載された「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎役者・中村雅楽の推理譚。複雑な人間模様の歌舞伎界、芸能界を中心に起こる様々な事件や謎を竹野記者が持ち込むや、鮮やかに解き明かす。美しい立女形の失踪事件を解決する「立女形失踪事件」。旅先の旅館で自刃を遂げた八代目市川團十郎の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編。立風書房版作品ノートをはじめ、講談社文庫版後記なども併録。ミステリ史に燦然と輝く、中村雅楽の名推理の数々を完全収録する《中村雅楽探偵全集》堂々開幕!【収録作】「車引殺人事件」/「尊像紛失事件」/「立女形失踪事件」/「等々力座殺人事件」/「松王丸変死事件」/「盲女殺人事件」/「ノラ失踪事件」/「團十郎切腹事件」/「六スタ殺人事件」/「不当な解雇」/「奈落殺人事件」/「八重歯の女」/「死んでもCM」/「ほくろの男」/「ある絵解き」/「滝に誘う女」/「加納座実説」/「文士劇と蠅の話」/河出書房新社版『車引殺人事件』 序=江戸川乱歩/旧「宝石」所収各編解説=江戸川乱歩/立風書房版『團十郎切腹事件』 作品ノート=戸板康二/立風書房版『奈落殺人事件』 作品ノート=戸板康二/講談社文庫版『團十郎切腹事件』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 血染めの旅籠 月影兵庫ミステリ傑作選
    -
    徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を伯父にもつ、明朗で人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は伯父の秘命を帯びた道中や、相棒の安との旅路で様々な事件に遭遇する。その度に、兵庫は鋭い洞察と上段霞切りを始めとした武芸を駆使し、解決していく。大雨で足止めを食らった人々が滞在する旅籠で、殺人が起こる「血染めの旅籠」。盗賊が豪商から盗み出した千両箱の在処を探す「偉いお奉行さま」。行方不明になっていた村で評判の美人が4年ぶりに帰還。それを機に奇怪な殺人が起きる「帰ってきた小町娘」など、傑作17編を収録する。/【収録作】「上段霞切り」/「通り魔嫌疑」/「血染めの旅籠」/「首のない死体」/「大名の失踪」/「二百両嫌疑」/「森の中の男」/「偉いお奉行さま」/「帰ってきた小町娘」/「掏摸にもすれないものがある」/「私は誰の子でしょう」/「鬼の眼に涙があった」/「乱れた家の乱れた話」/「ただ程高いものはない」/「理窟っぽい辻斬り」/「殺したのは私じゃない」/「殺しの方法は色々ある」/編者解説=末國善己
  • 血の色の記憶
    3.5
    色覚障害者のサイト〈ランボー・クラブ〉。仲間を探す不登校の中学生・菊巳が偶然見つけた、そのサイトのトップに掲げられたアルチュール・ランボーの詩。フランス語など習ったこともないのに、なぜ僕はこの原語の詩を読めるのだろう? 「Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青……」。その時、僕にあるはずのない、鮮やかな血の色を見た記憶が蘇った。そして後日、何者かによってサイトの詩が書き換えられ、詩になぞらえた死体が発見された! 色覚障害の少年をめぐる事件の、驚くべき真相とは? 鮎川哲也賞受賞作家が贈る、傑作本格ミステリ。/解説=大矢博子
  • 蝶の墓標
    3.7
    1巻1,799円 (税込)
    半身を覆う蘇芳色の痣と虚弱な心臓を持ちながら、同級生からの揶揄に対して苛烈なまでの矜持を示した少女・夏野(かや)。小学校時代、ほんの一瞬だけ彼女と交流を持った瑞葉(みずは)は、高校生となって再会したとき、さなぎから蝶に羽化したような夏野に魅了された。数年前に奇妙な自殺を遂げたかつての同級生の死を調査するなかで、二人は距離を縮めていく。自殺した少年・要(かなめ)は夏野の痣の絵を描いたという理由でいじめを受け、それを苦に死を選んだと思われていた。彼を罰するかのように、要の死体は肌の半分を赤い絵の具で痣のように汚されていた――。
  • 追憶の殺意
    3.6
    年もおしつまったある日、埼玉県岩槻市の川土手で、自動車教習所の配車係が死体で発見された。男には職場の同僚と悪質なギャンブルを行なっていた疑いが浮上する。そして年が改まったとたん、教習所の技能主任が密室状況下の建物の中で撲殺される。さらに指導員の男が自宅マンションの駐車場にカバーをかけて駐めてあった自分の車の中で殺されていた!! 自動車教習所に通う教習生と指導員――その絡み合いの中からあぶり出される複雑な人間関係。やがて捜査線上に浮かんだ容疑者には、二重三重の鉄壁なアリバイがあった……!? 『模倣の殺意』の著者・中町信が本格ミステリの王道〈密室+アリバイ破り〉に挑んだ傑作長編推理。

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  • 月夜の晩に火事がいて
    3.3
    月夜の晩に 火事がいて/水もってこーい 木兵衛さん/金玉おとして どろもぶれ/ひろいにいくのは 日曜日――わらべ歌の歌詞どおりに、木兵衛屋敷が火事になり、屋敷の当主は顔を潰され、金玉をとられて死んでいた! 被害者の許には事前に事件を予告するかの如く、この歌の歌詞が届けられていた。調査に当たるのは、東京に出て私立探偵事務所を開いているぼく、山浦歩。旧友からの依頼を受けて久しぶりの故郷、善音寺市に帰ってくるや、待ち受けていたように事件が相次いで起こり、おかげでぼくはすっかり容疑者扱いだ。『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』の主婦探偵シリーズでお馴染みの著者、初の本格長編推理。

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  • 翼をください
    3.5
    愛らしい笑顔と親身な気遣いで、周囲の男たちから好意を寄せられる女子大生・石元陽菜。だがその本性はきわめて自己中心的なものだった。最近ストーカーの無言電話に悩んでいた陽菜は、受話器に罵詈雑言をぶつける中で憂さ晴らしに、周囲の人びとから聞き出した「秘密」を暴露するようになる。一方電話の向こうでは、信頼して打ち明けた自分の秘密を軽々しく漏らされたストーカーが怒りに震えていた。この秘密を守り抜くためには、彼女を殺さなければならない――あまりに意外な犯人の正体、そして戦慄の真相。濃密な人間関係に仕掛けられた大胆なトリックをあなたは見抜けるか?
  • 定価のない本
    3.6
    神田神保町――江戸時代に旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年を経て復興を遂げつつあった。その街の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰され、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが――直木賞作家である著者の真骨頂とも言うべき長編ミステリ。/対談=門井慶喜×岡崎武志
  • 帝都一の下宿屋
    3.2
    1巻1,731円 (税込)
    銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。若き大家の梨木桃介は無類の世話好きだ。家事万端を見事にこなし美味しい食事を作ってくれる桃介の元を追い出されるわけにはいかぬと、小説家の仙道湧水は我儘を封印して生活している。ある日、湧水は馴染みの記者から粗悪品の醤油を打っている店があるという噂を聞きつける。それは桃介とも縁の深い店だった。桃介の曇った顔は見たくない。湧水は探偵のごとく真相解明に乗り出すのだが――。明治の下宿屋を舞台に贈る、心あたたまるミステリ。
  • 帝都探偵大戦
    -
    半七、銭形平次、顎十郎ら捕物帖でおなじみの“名捜査官”が江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちの活躍を描く空前絶後のパスティーシュ三編に、「黒い密室――続・薔薇荘殺人事件」を特別収録する。
  • 帝都大捜査網
    3.2
    昭和11年、夏。死体が発見されるたびに、なぜか刺し傷の数がひとつずつ減ってゆく。殺された男たちのあいだに交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくが――。捜査隊隊長が目の当たりにした、事件の異様な構図とは? 『黒龍荘の惨劇』が話題を呼んだ時代推理の雄が満を持して放つ、全体像を最後まで掴ませない油断厳禁の長編推理!
  • 哲学者の密室
    4.3
    三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博
  • 掌の中の小鳥
    4.3
    1巻495円 (税込)
    たぶん僕は変わったのだ。四年前にはとてもできなかったことが,今の僕にはできる。――本書全体のプロローグといえる第一話「掌の中の小鳥」で真っ赤なワンピースの天使に出逢った主人公は,一緒に退屈なパーティを抜け出した。狂言誘拐の回想「桜月夜」で名前を教わり,御難続きのエピソード「自転車泥棒」や不思議な消失譚「できない相談」を通じて小さな事件に満ちた彼女の日常を知るにつれ,退屈と無縁になっていく自分に気づく。小粋なカクテルの店〈エッグ・スタンド〉を背景に描かれる,謎を湛えた物語の数々。巧みな伏線と登場人物の魅力に溢れたキュートなミステリ連作集。

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  • 手のひらアストラル
    3.6
    高校二年生の夏、私は自身の進むべき道が決められず悩んでいた。将来を見定め進路を決める友人たちの姿にますます焦る私の前に、次々と謎が現れる。三年生の生徒手帳を持ち歩く同級生。追試でもないのに一人だけ試験を受ける先輩。少年の言う「全部黄色い駅」とは? 真相に辿り着けない私が相談するのは、ひょんなことから知り合ったQ大大学院生の飛木さんだ。彼はその知識と論理的思考でどんな謎も解き明かしてみせる不思議な人だ。やがて夏が終わり、秋になる頃、私が見つけた進路の答えは――。福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
  • 手焼き煎餅の密室 美波の事件簿4
    3.7
    同じ中学に通う親友・直海の祖母の住む、浅草の家を訪問した倉西美波。落語の名人の妻だった彼女は、今でも弟子の面倒をみている。二人が訪ねたときも、ちょうど稽古の最中だった。突然の来訪も歓迎してくれた彼女は、お茶うけを出そうと台所へ向かうが、そこには近所の男の子が忍び込んでいた! 家主に見つかった少年はあわてて逃げようとするが、かなわないと見て、思いもよらぬ行動を……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、「水島のじいちゃん」は華麗に解き明かしていく。修矢編二作、美波・直海編二作に、書き下ろしのかのこ編一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚。

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  • 天啓の殺意
    3.6
    柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説――柳生の問題編に対し、タレント作家の尾道由起子に解決編を書いてもらい、その後に自分の解決編を載せる――要するに作家同士の知恵比べをしよう、という企画は順調に進行するかに見えたが……。問題編を渡したまま、柳生は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった。『散歩する死者』の全面改稿決定版! 著者あとがき=中町信

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  • 天国の破片
    4.0
    黒い革ジャンにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットを身につけた男は、ナイフを突き出して言った。「金を出せ」。だが、その声はまだ幼い。――午前二時過ぎ、コンビニの店番をつとめていた元警官・阿南は、店に押し入った若い男に自分の蓄えから五十万円を用立ててやることで、強盗を思いとどまらせた。しかし数日後、阿南は他所のコンビニで起きた強盗傷害事件のことを知り、男の行方を追うため、またも私立探偵まがいの行動をとることになる。その中で出会う孤独な人々との交流、そして意外な真実。著者のライフワーク・シリーズ、第3弾。解説=村上貴史
  • 天使が開けた密室 美波の事件簿1
    3.4
    行方不明になった父親を捜すための資金稼ぎに、高校一年生のわたし・倉西美波は日々アルバイトに励んでいる。ある日、バイト先で桐の箱に入ったお皿を割ってしまって、いきなり六十万円の借金を負うことに。そんなとき「寝ているだけで一晩五千円」というとってもオイシイバイトを紹介してもらったものだから、一も二もなく飛びついてしまったけれど、そこでわたしを待っていたのは、死体!? しかも密室殺人事件の容疑者にまでされてしまって・・・・・・。デビュー作「天使が開けた密室」に短編「たった、二十九分の誘拐」を収録した清新な本格ミステリ。

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  • 天使の歌声
    3.1
    身体も顔も河馬に似ている弁護士に案内され、一登はまだ見ぬ父親に会うため秋庭邸を訪れた。そこで一登は言語能力を持たない弟に出会う。彼は言葉を話せない代わりに、聞くものの心を癒す特殊な能力を持つ〈天使の歌声〉を発することができた。訓練では決して到達し得ない、澄みきった神秘の歌声。その弟をめぐってある悲劇が起きる。そして六年後、一通の手紙によって、一登はふたたび秋庭邸を訪れた──。静かな探偵・嶺原克哉が、調査依頼を通して出合った六つの難事件。不思議な親子関係と複雑に入り組んだ謎、多重どんでん返しが魅力の、著者初のシリーズ連作集。

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  • ディスリスペクトの迎撃
    3.5
    銀座の文壇バー『ミューズ』の常連客、サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。大御所ミステリー作家である彼は、ひとたび不思議な事件に遭遇すると、さりげなく推理を披露する、名探偵でもあったのだ! ライバル作家が持ち込んだ、チェスセットに仕掛けられた謎を解く「チェスセットの暗号」、サンゴ先生原作のドラマをめぐって起きた、奇想天外な“誘拐事件”の解決に乗り出す「ポー・トースターの誘拐」など、五つの事件を収録。『ミューズ』に勤めるボーイである「僕」の視点から、サンゴ先生の華麗な活躍を鮮やかに描く安楽椅子探偵ミステリー第2弾。
  • D坂の殺人事件
    3.9
    日本の推理小説界の礎を築き上げたのが江戸川乱歩であるのは異論のないところであろう。実作者としては「二銭銅貨」に始まる綺羅星の如き作品群を著わし、数多くのエッセイや論文によって内外の作家と作品を紹介し、かつまた<宝石>誌の編集などを通して、多くの新人作家を発掘、育成した。その巨人の短編小説の粋を収めたのが本巻である。 デビュー間もない時期に発表された「ニ癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき短編「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全十編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。

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  • デフ・ヴォイス
    4.3
    埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
  • 慟哭は聴こえない
    4.4
    旧知のNPO法人「フェロウシップ」から、民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が荒井尚人に舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤務先を「雇用差別」で訴えているという。かつて勤めていた警察で似た立場を経験した荒井の脳裏に苦い記憶が蘇る「法廷のさざめき」。何森刑事と共に、急死したろう者の男性の素性を探る旅路を描く、シリーズ随一の名編と名高い「静かな男」など、コーダである手話通訳士・荒井が関わる四つの事件。社会的弱者や、ろう者の置かれた厳しい現実を丁寧な筆致であぶり出した〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第3弾。/解説=池上冬樹
  • 【東京創元社無料読本】〈憧れの国〉へのガイドブック
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2016年5月中旬、カルチャーセンターで出会った少女4人が、講座で起こる事件の謎に挑む、校外活動青春ミステリ『日曜は憧れの国』を刊行いたしました。その魅力を多くの皆様に楽しんでいただくため、『日曜は憧れの国』収録の「レフトオーバーズ」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、著者のロングインタビューをあわせてお届けいたします。

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  • 【東京創元社無料読本】乾ルカからの招待 ここだけの『ミツハの一族』
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2015年4月、大正時代の北海道を舞台に、水辺を守る一族を鋭く描いた著者渾身の連作ミステリ『ミツハの一族』を刊行いたしました。その魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『ミツハの一族』収録の短編「水面水鬼」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、本作にも登場する北海道大学について語ったエッセイ「北海道大学とわたし」、メールインタビュー「ミツハを楽しむ十の質問」をあわせてお届けいたします。
  • 【東京創元社無料読本】スプリング・トレインが発車します。
    無料あり
    4.0
    春間近な2016年2月、福岡を舞台にした透明感溢れる青春ミステリ『放課後スプリング・トレイン』を刊行いたしました。その魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『放課後スプリング・トレイン』収録の表題作をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、メールインタビュー「『放課後スプリング・トレイン』について10のこと」をあわせてお届けいたします。

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  • TOKYO BLACKOUT
    3.7
    8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員1名殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う! 目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。気鋭が大きな飛躍を遂げた超弩級のクライシス・ノヴェル!
  • 東京ホロウアウト
    3.9
    コロナ禍の中、オリンピック開催が間近に迫る東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と発生。さらには鉄道の線路が爆破され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの人々がひしめく東京は陸の孤島に――。この危機から東京を救うため、物流のプロ・長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!/解説=大矢博子
  • 透明な一日
    5.0
    十四年前に発生した連続放火事件。その中で能勢幸春と竹島千鶴はそれぞれの母を失った。後に再会した二人は交際を始め、千鶴が妊娠、幸春は結婚の承諾を得るため千鶴の父・久信に会いに行くが、久信は交通事故で記憶障害──前向性健忘に陥り、事故以来六年もの間毎日同じ日を繰り返していた。対面の数日後、幸春の知人で放火事件の関係者でもあった木村泰典が、公園で頭から血を流して倒れているのを発見される。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。次第に疑心暗鬼に駆られてゆく幸春と千鶴の未来の行方は? 鬼才が放つ驚愕と感動のミステリ。

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  • 遠きに目ありて
    4.0
    1巻550円 (税込)
    成城署の捜査主任真名部警部は、とある縁である少年と知り合うことになった。岩井信一、年齢からいうと高校受験期ぐらいの少年である。彼は重度の脳性マヒだった。だが、親しくなるにつれて、この少年の予想外の聡明さに驚嘆するようになる。ある時、約束していた映画鑑賞を突発事件のためすっぽかしてしまったお詫びにと、その事件の経緯を話して聞かせたところ……!~ 安楽椅子探偵の歴史に新たな一ページを書き加えた連作推理短編の傑作であり、不可能犯罪や奇抜なアリバイ・トリック等を満載した、著者の本格推理分野での代表作と言えよう。

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  • 友を待つ
    3.2
    1巻1,731円 (税込)
    「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか? その言葉の意味と彼の行動の目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づく――。吉川英治文学新人賞受賞の『ミッドナイト・ジャーナル』に続く、傑作記者ミステリ。
  • トランプ殺人事件
    4.2
    部屋の周囲に陳列された夥しい数のカード。モザイク、アラベスク、非対称なコンポジション、銅版画風、水彩画風、テンペラ画風……彼女はその部屋の中で煙のように消え失せてしまった。――洋館の密室から消え、屍体となって発見されたブリッジ愛好家。彼女の死を巡って仕掛けられた魔術的な企みとは? 瞠目の達成点を示すゲーム三部作完結編。少年探偵・牧場智久、戦慄の事件。

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  • ドアの向こうに
    3.8
    1巻605円 (税込)
    《黒川博行警察小説コレクション》 頭部は腐乱、脚部はミイラ化、大阪東南部の橋梁工事現場で奇妙なバラバラ死体が発見された。後日、大阪北部で心中事件が発生。現場にはバラバラ事件の切抜き記事が――。“ブンと総長”でおなじみ、大阪府警捜査一課の文田巡査部長、総田部長刑事に、京都人の五十嵐刑事も加わって事件を追う。“本格ミステリ”の醍醐味に、大阪弁の会話が織り成す、軽妙なタッチも魅力な傑作!

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  • 慟哭は聴こえない
    4.1
    1巻1,629円 (税込)
    手話通訳士・荒井尚人は、結婚後も主夫業のかたわら通訳の仕事を続けていた。そんなある日、ろうの妊婦から産婦人科での通訳を依頼される。荒井の通訳は依頼者夫婦の信頼を得られたようだったが、翌日に緊急のSOSが入り――(「慟哭は聴こえない」)。旧知のNPO法人から、荒井に民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤め先を「雇用差別」で訴えているという。かつて似たような立場を経験した荒井の脳裏に、当時の苦い記憶が蘇る。法廷ではあくまで冷静に自分の務めを果たそうとするのだが――(「法廷のさざめき」)。コーダである手話通訳士・荒井尚人が関わる四つの事件を描く、温かいまなざしに満ちた連作ミステリ。『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』に連なるシリーズ最新作。
  • 動物園の鳥 ひきこもり探偵シリーズ3
    4.2
    1巻495円 (税込)
    春が近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕、坂木司のお得意先であり年上の友人でもある木村栄三郎さんと、高田安次朗さんだ。高田さんがボランティアとして働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻繁に発生しているという。野良猫の姿を見て心を痛めている、同じボランティアの女性のために、二人は鳥井のもとを訪れたのだった。さっそく動物園に向かった僕たちが掴んだ真実、そして鳥井のひきこもりの原因となった少年時代の出来事とのつながりとは――。果たして鳥井は外の世界に飛び立つことができるのか。シリーズ完結編。

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  • ドミノ倒し
    3.3
    地方都市・月影市で探偵業を営む十村は、亡くなった元恋人の妹から「殺人事件の容疑者となっている男の無実を証明して欲しい」と依頼される。久しぶりの依頼に、十村は旧友の警察署長も巻き込んで、癖のある月影市の住人たちを相手に早速調査に着手する。しかし調査を進めていくうちに、過去に月影市で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の殺人事件との繋がりも浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける――。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。/解説=三島政幸
  • 土曜はカフェ・チボリで
    3.5
    児童書の出版社で働く香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れる。そこは土曜日しか営業せず、おまけに店主は高校生という不思議な店だった! 美味しいデンマーク料理とあたたかいもてなしにすっかりくつろぎながら、馴染みの客たちが語る、身の回りで起こった謎に耳を傾ける。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいあひるの子』など、アンデルセン童話を連想させる出来事ばかりで――。風変わりな店主・レンが優雅な仕種でマッチを擦ると、謎はたちまち解かれていく。忙しない日常にひと時の安らぎをもたらす、安楽椅子探偵譚。
  • ドロシイ殺し
    4.0
    普段は頭の切れる理系の大学院生なのに、夢の中では不思議の国の間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう青年・井森は、ある日の夢の中で、なぜか砂漠を彷徨っていた。干からびる寸前の彼を救ったのは、案山子とブリキの樵とライオンを連れた、ドロシイと名乗る少女だった。オズの国に住む彼女たちは、不思議の国へ帰る方法を探すビルをひとまずエメラルドの都へと連れていくことにする。だが、オズの国の支配者・オズマの誕生パーティーで盛り上がる宮殿内で殺人事件が発生し、井森が暮らす現実世界でも相似形をなす死亡事故が起きる。狂気の王国で起きる死の連鎖の恐るべき真相とは?/解説=小出和代
  • 内部の真実
    4.0
    本島人鉄工業者の邸の庭で起きた、日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。最初は単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われており、相手を殺したと目される男の側に落ちていた拳銃は弾が未装填だったことが判明する……。推理と恋と幻想が混然一体となった名匠の最高傑作。/解説=新保博久
  • 仲のいい死体 郷原部長刑事シリーズ3
    3.0
    1巻550円 (税込)
    山間の町のブドウ畑から突然噴き出た温泉。即席の野天風呂に連日数百人の人がやってくる一方で、温泉ホテル建設の話まで持ち上がり、町はちょっとした温泉ブームに沸いていた。そんな折、寺の境内で男女の変死体が発見される。一見したところ心中事件だが、温泉が湧いた土地を所有する美貌の未亡人が、冴えない妻子持ちの中年男と心中するとは思えない。東京からこの町に移住していた郷原部長は、まったく頼りにならない上司や部下たちと捜査を進めるが・・・・・・。ひとり奮闘する郷原部長は真相にたどり着けるのか? 著者の初期を代表する長編推理。

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  • 長い長い眠り 郷原部長刑事シリーズ2
    3.3
    1巻550円 (税込)
    明治神宮外苑近くの林で発見された男の死体。黒縁のメガネをかけ、鼻下に細いひげをたくわえた男の人相は、一見重役ふう。白いワイシャツにきちんとネクタイを締めてはいたが、なぜか下半身はパンツ一枚であった。郷原部長刑事をはじめとする四谷署の刑事課の面々は捜査を進めるが、被害者を中心とした男女の人間関係が判明するばかり。容疑者には事欠かないのに、肝腎の決め手に欠けるのだ。郷原部長の迷推理の行方は? ユーモラスな雰囲気のうちに、鮮やかな推理と悲喜交々の人間模様を巧みに描く逸品。シリーズ第二弾。

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  • 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選
    4.3
    三度笠を被り長い楊枝をくわえた姿で、無宿渡世の旅を続ける木枯し紋次郎。己の腕だけを頼りに、人との関わりを避けて孤独に生きる紋次郎だが、否応なしに旅先で事件に巻き込まれてゆく。兄弟分の身代わりとして島送りになった紋次郎が、ある噂を聞きつけ島抜けして事の真相を追う「赦免花は散った」。瀕死の老商人の依頼で家出した息子を捜す「流れ舟は帰らず」。脱走した女郎たちとの逃避行の意外な顛末を綴る「笛が流れた雁坂峠」。ミステリと時代小説、両ジャンルにおける名手が描く、凄腕の旅人にして名探偵が活躍する珠玉の10編を収録。【収録作】「赦免花は散った」「流れ舟は帰らず」「女人講の闇を裂く」「大江戸の夜を走れ」「笛が流れた雁坂峠」「霧雨に二度哭いた」「鬼が一匹関わった」「旅立ちは三日後に」「桜が隠す嘘二つ」「明日も無宿の次男坊」/編者解説=末國善己
  • なぎなた
    3.2
    【倉知淳ノンシリーズ作品集成第一弾】死神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく――倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が映し出されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など7編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールドを二分冊で刊行!【収録作】「運命の銀輪」「見られていたもの」「眠り猫、眠れ」「ナイフの三」「猫と死の街」「闇ニ笑フ」「幻の銃弾」/単行本版あとがき
  • なぜではなく、どんなふうに
    3.0
    大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
  • 夏を取り戻す
    4.2
    団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先
  • 七つの海を照らす星
    4.1
    様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……勤めて二年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王の力を借り、謎解きを通して子どもたちが直面する悩みを解決すべく奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。第18回鮎川哲也賞受賞作。/解説=宇田川拓也
  • ななつのこ
    4.1
    1巻440円 (税込)
    ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。――短大に通う十九歳の入江駒子は『ななつのこ』という本を衝動買いし、読了後すぐに作者へファンレターを書こうと思い立つ。先ごろ身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、思いがけなく「お手紙、楽しく拝読致しました」との返事が。さらには、件(くだん)の事件に対する、想像という名の“解決編”が添えられていた! 駒子が語る折節の出来事に打てば響くような絵解きを披露する作家佐伯綾乃、二人の文通めいたやりとりは次第に回を重ねて……。伸びやかな筆致で描かれた、第三回鮎川哲也賞受賞作。

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  • ななつのこものがたり
    3.8
    〈駒子シリーズ〉のヒロイン・入江駒子の愛読書『ななつのこ』が、素敵な絵本になりました! 本書の主人公は、ある村に住む「はやて」という男の子と、はやてが「あやめさん」と呼ぶきれいな女の人。はやてが村の出来事をあれこれ話すと、あやめさんは熱心に耳を傾け、はやてが「ふしぎでしょ?」と首を傾げたときには、「こういうことじゃないかしら」と謎解きをしてくれるのでした――。著者&装画家の名コンビが贈る、もうひとつの『ななつのこ』。/【目次】すいかおばけ/金色のねずみ/空の青/水色のチョウ/竹やぶ焼けた/ななつのこ/あした咲く花
  • 何が困るかって
    3.6
    小説でしか表現できない〈奇妙な味〉が横溢した、短いけど忘れがたい、不思議なお話を読んでみませんか?――子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方、夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末、バスの車内で静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」、あなたの日常を見守るけなげな「洗面台」の独白、「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語――日常と非日常のあわいに見える18の情景をさまざまな筆致で描きだす、『青空の卵』や『和菓子のアン』の名手が贈る珠玉のショートストーリー集。巻末に「ホリデーが肉だと先生が困る」を特別併載。/解説=東雅夫
  • 何者
    4.0
    《何者》 夏の夜、宴の興も醒めやらぬ頃、陸軍少将邸に轟いた銃声。惣領息子が重傷を負い、書斎が荒らされ、敷地外へ続く足跡は古井戸でぷっつり。被害者の父親、許婚から老僕、来客に至るまでが怪しい素振りを……。乱歩作品の中でも一と言って二と下がらぬ本格仕立ての秀作。《暗黒星》 明智小五郎は焦燥に駆られていた。赤煉瓦の洋館に住む凄艶な美少年伊志田一郎の身が案じられてならない。その折も折「先生、早く来てください」とSOSが。インバネスを翻し、伊志田一家を順々に仕留めていく黒覆面の怪人は、名探偵をも病室に追いやって……。

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  • にごりの月に誘われ
    3.9
    1巻1,899円 (税込)
    時代を先取りするカリスマ経営者として有名な、IT企業の会長・釜田芳人から直々に、自叙伝の代筆(ゴースト)の依頼を受けた上阪傑。余命6カ月だという釜田とは、かつて三冊の著作を代筆した後に支払いトラブルとなり、実に十一年ぶりの再会だった。病床にある釜田を訪ね、一日一時間の約束で取材を進めていくと、これまでどこにも明かしてこなかったエピソードが出てくるのみならず、今までの本の内容に嘘があったことがわかってくる――。この依頼の裏に果たして何があるのか……。吉川英治文学新人賞受賞者が、“出版界の闇”に鋭く切り込む、驚愕のミステリ。
  • 虹の涯
    3.0
    1巻1,799円 (税込)
    元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
  • 日曜の夜は出たくない
    3.8
    「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳
  • 日曜は憧れの国
    3.4
    内気な中学二年生・千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターの講座を受けることになる。退屈な日常が変わることを期待して料理教室に向かうと、明るく子供っぽい桃、ちゃっかりして現金な真紀、堅物な優等生の公子と出会う。四人は偶然にも同じ班となり、性格の違いからぎくしゃくしつつも、調理を進めていく。ところが、教室内で盗難事件が発生。顛末に納得がいかなかった四人は、真相を推理することに。性格も学校もばらばらな四人が、カルチャーセンターで遭遇する様々な事件の謎に挑む! 気鋭の著者が贈る、校外活動青春ミステリ。
  • 日本殺人事件
    3.0
    1巻605円 (税込)
    その国に辿り着いたわたしを出迎えてくれたのは、カンノン様のありがたい巨大な微笑だった――。人生を一からやり直すため、長年憧れ続けた日本へ赴いた私立探偵トウキョー・サム。そこは、伝統と現代が奇妙に交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットがいまなお息づく神秘の国であった。異国の風物や習慣に驚嘆し、戸惑いながらも、真のサムライにならんと意気込むトウキョー・サム。そんなサムが遭遇した奇妙なセップク事件、茶室の密室、オイラン見立て連続殺人! 徹底した趣向とアクロバティックな論理の結実が、本格ミステリのさらなる可能性を切り拓いた、山口ミステリの真骨頂。日本推理作家協会賞受賞作。

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  • 二度のお別れ
    3.7
    1巻495円 (税込)
    《黒川博行警察小説コレクション》 4月1日午前11時34分、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。400万円を奪い、客の一人をピストルで撃ったのち、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻追跡を開始したが、強奪金額を不服として犯人は人質の身代金1億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。名手の記念すべきデビュー作となった、シリーズ第1弾! ※本作品はKADOKAWA/角川書店、東京創元社、文藝春秋で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

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  • 鈍い球音
    4.0
    1巻550円 (税込)
    万年最下位のプロ球団・東京ヒーローズをリーグ優勝に導いた桂監督が、ベレー帽とマスク、そしてトレードマークの虎ひげを残して、東京タワーの展望台から消えた。折しも日本シリーズ開幕直前。東日新聞社の若き無冠の帝王たちが極秘裏に謎を追う一方、球団はヘッドコーチを代理監督として対大阪ダイヤ戦に挑む。武運つたなく三立てを喫し後がないヒーローズを襲う、更なる打撃!事件の陰に潜む陰謀とは?手に汗握る野球ミステリの傑作!

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  • 二万人の目撃者
    3.0
    1巻110円 (税込)
    美しい琵琶湖を臨む高校の保健室に、雨貝先生はいた。「自殺と処理された親友の死をもう一度調べて欲しい」。わたしの願いに雨貝先生は優しく頷いてくれた。けれど身重の純奈を淀川に突き落とした男、人気ユーチューバーであるシイガの鉄壁のアリバイを証明するのは、二万人の視聴者だった……。第16回ミステリーズ!新人賞受賞作。/第16回ミステリーズ!新人賞選考経過、選評=大倉崇裕 大崎梢 米澤穂信/(本電子書籍は『ミステリーズ! vol.97』(2019年10月初版発行)に掲載の同作品を電子書籍化したものです。)
  • ニャン氏の事件簿
    3.4
    大学を休学し、家電配送のアルバイトなどをしながら、自分を見つめ直している佐多くん。夏の暑い最中、とあるお屋敷のシャンデリアのつけかえにいくと、休憩中に出くわしたのは、一匹の猫とそれに仕える秘書兼運転手だという男だった。アロイシャス・ニャン氏と紹介された品のいい猫は、その屋敷で起こった変死事件の謎を解き明かす?! って、猫がニャーニャーと鳴いているところを訳しているみたいだが本当なの? アルバイト先で、次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわすことになった、佐多くんの右往左往の探偵譚を愛らしく描いた連作集。
  • ニャン氏の童心
    3.5
    田宮宴は中堅出版社の女性編集者。新人ではないものの、編集長や同僚、さらには担当作家の代理でお使いをさせられてばかりの日々だ。こんな仕事ぶりでいいのか、と自問自答するある日、偶然に迷い込んだ袋小路で、人が煙のように消えてしまった?! ――後日、宴は担当する童話作家のミーミ・ニャン吉先生の事務所で、秘書の丸山との打ち合わせの合間に、その不思議な出来事を話すことに。すると、タキシードを着たような黒地に白の賢そうな猫をかたわらに、丸山が意外な解釈を語り始めて……。愛すべきニャン氏の事件簿パート2、出来だニャ。
  • 人形遣いの影盗み
    4.0
    ある代議士夫人の影が盗まれた――。夫人は爪哇(ジヤワ)から来日したワヤンと呼ばれる影絵芝居一座の長に、影を盗られたと信じているという。この不可思議な事件の謎を解いて欲しい、義父母の頼みを断れず、高広は礼と調査を開始する。美しくも妖しい爪哇(ジヤワ)の魔術を調べていくうちに、事件に帝都を騒がす大怪盗、ロータスの気配が……(表題作)。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年を中心に、明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた6篇を収録する作品集。〈帝都探偵絵図〉シリーズ第3弾。
  • 人形の部屋
    3.0
    ねえ、お父さん。この謎、解ける? きっかけはほんのちょっとした小さな謎。だが、八駒家の食卓にのぼると、それは一篇のミステリに姿を変える――家主の敬典は、旅行会社の有能なる社員から、専業主夫に転身。家事に追われながらも平和な日々を過ごしていたが、ある日、元先輩が可憐なフランス人形を持ちこんできた。それも、左足の先が粉々に砕けた人形を。なんとかしてくれと懇願され、持ち主まで怒鳴りこんできても、敬典はなぜか悠然とかまえている。そんな父に、中学生の娘つばさは憤慨するが、敬典の頭にはある推理が浮かんでいた……。父と娘が織りなす、温かなおうちミステリ。

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  • 人魚と金魚鉢
    4.0
    個性豊かなメンバーが集う、T大学芸術学部文芸サークル第三部〈ザ・フール〉。聴き屋体質にして名探偵の柏木君をはじめ、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生など、愉快な仲間達が遭遇する事件の数々。音楽学科の学生選抜コンサートの会場となるはずだった、大ホールのステージを泡だらけにした犯人は誰か? そしてその理由とは? 爽やかな余韻が残る表題作ほか、〈ザ・フール〉メンバーの熾烈なかくれんぼを描くシリーズ・キャラクター大活躍の「愚者は春に隠れる」など、全5編を収録。軽やかな連作ミステリ第2弾!/解説=宇田川拓也
  • 人魚は空に還る
    3.9
    「しずくは空に昇ってみたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まった見せ物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。しかし観覧車の頂上で人魚はしゃぼん玉の泡のように消えてしまい――(表題作「人魚は空に還る」)。風のように身軽で変装の名人、そして鮮やかな盗みっぷりで世間を風靡する怪盗ロータス。予告状に示された次の狙いは大邸宅の主人が集めた洋画だった――(「怪盗ロータス」)。明治の世に生きる心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都物語。人情味あふれる五篇を収録したデビュー作品集。

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  • 人間の尊厳と八〇〇メートル
    3.1
    「俺と八〇〇メートル競走しないかい」。偶然こぢんまりとした酒場に入った“私”は、そこで初対面の謎めいた男に異様な“賭け”を持ちかけられる。男は人間の尊厳のために、競走をしなければならないと説くが──。あまりにも意外な結末を迎える、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」、完全犯罪を企む女を待ち受ける皮肉な結末「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」など、本格の気鋭が贈るバラエティ豊かなミステリの饗宴。第64回日本推理作家協会賞受賞作を含む、5篇の謎物語。

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  • 人間豹
    3.3
    床屋でも銭湯でも芝居小屋の桟敷でも、東京市内一円は人さえ寄れば人間豹の噂であった。怪しい眼光を宿し野獣の爪牙と猫属の舌を持つ殺人鬼、名を恩田という。カフェの女給弘子、レビューガールの江川蘭子と、二度までも相愛の名花を惨たらしく手折られた神谷芳雄は、明智小五郎の助勢を請う。しかし魔術師の怪技と邪門歪道に長けた恩田父子の連繋は百戦錬磨の名探偵をも翻弄し、やがて明智の身辺に魔手を伸ばしていく。股肱の少年助手小林、窈窕淑女たる愛妻文代を掌中に収め、得たり賢しと北叟笑む人間豹。怪奇というべく余りに怪奇、人智及ばぬ人獣の蛮行を、名探偵は阻止できるか?

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  • ぬいぐるみ警部の帰還
    3.3
    殺人現場にぽつんと遺されたぬいぐるみ。そのぬいぐるみは、いったい何を語る? イケメン警部・音無美紀の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。遺されたぬいぐるみから優れた洞察力で、事件解決の手がかりを発見する――。そして、男勝りの言動の一方で音無にぞっこんの則竹女史。さらに実はミステリおたくの江角刑事や、若手の桂島刑事など、個性派キャラクターが脇を固める連作短編集。「お弁当ぐるぐる」(『赤い糸の呻き』所収)で初登場した、音無&則竹コンビが遭遇した不可能犯罪の数々。〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ、記念すべき第1弾。解説=霞 流一
  • ネクスト・ギグ
    3.8
    逆光を浴びステージに登場したボーカルは、突如悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中での不可解な変死により、ロックバンド〈赤い青〉は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが演奏中に犯した、彼に似つかわしくない凡ミスは事件と何か関係があるのか? ライブハウスのスタッフである梨佳は、あの日なにが起こったのかを考え始める。やがて起きた第二の悲劇――ロックは、人を殺すのか? 無冠の大型新人による、感動の第一長編。/解説=有栖川有栖
  • 猫とアリス
    3.8
    直木賞作家が描く、躊躇しない最強の女探偵!ジムでのスパーリングでひと汗かいたわたしが事務所に帰ると、新たな依頼人が待っていた。元教え子が亡くなった事件を調べてほしいという――。調べていくと、鮮やかな青い蛇のタトゥーを彫った男の影がちらつきはじめる。なぜか心惹かれる男、「青蛇」と関わった最初の事件だった。亡き夫の遺した探偵事務所を舞台に、一筋縄ではいかない依頼の数々をクールに片付けていく、芦原すなお渾身の女性私立探偵譚。『月夜の晩に火事がいて』の山浦歩との最初の出会い「猫とアリス」ほか、青蛇を巡る哀しい事件の顛末を全5編で贈る、シリーズ第2弾。/解説=中辻理夫
  • ねじまき片想い
    3.9
    浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを以て、敏腕プランナーとして活躍している。彼女は取引先のデザイナー西島に恋をしているが、5年も想いを伝えられずにいた。何の因果か次々に災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使しSPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島は宝子の奮闘にはまったく気がつかず?! 同僚や同居人も巻き込んで、宝子の恋が向かう先は――。ひとりの女性が大切な気持ちと向き合うまでを描く物語。/解説=松井ゆかり
  • ねむりねずみ
    3.7
    1巻495円 (税込)
    ことばが、頭から消えていくんだ――役者生命を奪いかねない症状を訴える若手歌舞伎役者中村銀弥。後ろめたさを忍びながら夫を気遣う若妻。第一幕に描出される危うい夫婦像から一転、第二幕では上演中の劇場内で起こった怪死事件にスポットが当てられる。二か月前、銀弥の亭主役を務める小川半四郎と婚約中の河島栄が、不可解な最期を遂げた。大部屋役者瀬川小菊とその友人今泉文吾は、衆人環視下の謎めいた事件を手繰り始める。梨園という特有の世界を巻き込んだ三幕の悲劇に際会した名探偵は、白昼の怪事件と銀弥/優の昏冥を如何に解くのか?

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