【感想・ネタバレ】コウノドリ(32)のレビュー

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Posted by ブクログ

講談社漫画賞を受賞し、2度にわたってテレビドラマ化もされた人気漫画の最終巻。
連載終了の一報を耳にして以来、コミックスを30巻以上にわたって読み続けてきた漫画が終わる寂しさと、最終話に対する期待に板挟みになりながら最終巻を手に取れる日を心待ちにしてきました。ようやく手にして読み終えた今では何だか達成感を感じています。別に自分が描いたわけではないんですけれどw

「コウノドリ」は「ペルソナ総合医療センター」の産科を舞台とした、妊娠出産を巡って赤ちゃんとお母さん(とお父さん)が否応なしに巻き込まれる悲喜劇であると同時に、主人公サクラ先生を中心とした群像劇です。綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って一話一話が丁寧に語られています。

登場人物一人一人が深く掘り下げられていくなかで、直近の数巻は、一層の成長を目指し、自らの未来を拓くべくペルソナを後にしたキャラクターたちが次々と一回り大きくなって帰ってくるさまが描かれていました。

31巻ではようやく下屋先生が帰ってきて、この最終巻。まだ語られていなかったあの人の未来と、そして…。ということで、この32巻には「助産師の選択」と「出産の明日」が掲載されています。

以下、各エピソードに一言ずつ。

「助産師の選択」
初期からのレギュラー、ベテラン助産師の小松さん。サクラ先生の研修医時代も知っており、「ベイビー」の正体を知る数少ない人物です。

同期で旧友武田の結婚披露宴で出会ったピアニストの山下ジョージと交際を続けていましたが、彼が活動の本拠地を海外に移すことになり、同行を求められます。そして、全く同じタイミングで武田から一緒に助産院をやらないか、と持ち掛けられるのでした。

たくさんの出産を扱わなければならない大きな病院で、かつて助産院を開いていた母のようにお産一つひとつに向き合うことができているのか、助産院でなら理想のお産ができるのではないかと小松さんは悩みます。
そんな、揺れる小松さんの心に止めを刺したのは曲者院長の「ペルソナでも院内助産を始める」の一言でした。

結局、小松さんは、渡米して自ら子どもを産むよりも、日本に残ってペルソナの院内助産を立ち上げる道を選びます。

母を目標にしていた小松さんが助産師を辞めることはできないのは多くの人が薄々想像していた結末でしょう。加えて、院内助産の立ち上げ責任者なんて魅力的な仕事のオファーを袖にすることは小松さんじゃなくとも難しいでしょう。

ただ。
コウノドリのテーマとは少しずれているのかもしれませんが、子供を持つことを、小松さんには最後まで追いかけてほしかったなあと思います。

「出産の明日」
サクラ先生のかかりつけの歯科医、美人の片平ミユキ先生は、不倫関係を清算してシングルマザーとして出産することを決意し、ペルソナを訪れます。
そんな片平先生が健診を受ける中で、急性骨髄性白血病が見つかります。周囲からの「今回の赤ちゃんはあきらめて」治療に専念すべきとの声に、自分には「次」があるかどうかわからないのだから、妊娠は継続したいと片平先生は主張するのでした。

片平先生はいろいろな面でサクラ先生のお母さんを思わせる設定になっています。美幸という名前が一緒、癌治療でも「次」があるかどうかわからない、と妊娠継続を諦めない姿。容貌も似ているらしい。

そんな片平先生の気持ちを聞き、それでも母体のために妊娠中絶を推す産科メンバーに対してのサクラ先生の一言。
「彼女が産みたいと言ってる」
「出産は産科医のものなのか?」

お母さんが自分の健康と引き換えに産んだサクラ先生の言葉だけに重みが違います。

さて。
この最終話はちょっと駆け足だったように思います。
できれば、可能であれば。
有体に言えば、健診に来た片平先生の苗字が変わっている描写が(どんな名字に変わったかまでは不要ですから…)ちょっと入っていて欲しかったなあ、って思うのです。
有体に言えば、小松さんに感じたのと同じように、サクラ先生にも子供を持ってもらいたかったのです…。

親が産科医の四宮先生や赤西先生、親が助産師の小松さん。彼らの親は、みんな、多忙で責任の重い仕事を持ちながら子供を育ててきたのです。
シングルマザーが医師として勤務することの重さは倉崎先生のエピソードが、多忙な中で家族をなかなか顧みることができないことは今橋先生のエピソードが語っています。

でも、そんなことは乗り越えて、サクラ先生に家族と子供ができるところを見たかったなあって思います。



蛇足です。
自分たちの妊娠出産は、人生最大のできごとでした。いろいろ嬉しいことがあり、いろいろ心配でたまらないことがあり、でもそんな思い出は、赤ちゃんの匂いとともに薄れつつあります。
「コウノドリ」はその記憶を揺さぶってくれる作品でした。漫画もドラマも、とにかく共感できるところがたくさんあって、そんな目線で最後まで読み続けました。

おまけを書いてくれている鈴ノ木ユウ先生のお子さんも、うちの子も、ぐんと成長してたくましくなりました。でも、お腹の中にいたころを、ふにゃふにゃの赤ちゃんだった頃を思い出したくなったら、スマホのカメラロールと同時にこのシリーズをもう一度手に取りたいと思います。この作品に出会えて本当に良かったと思います(小並感)。

ありがとうございました。

2
2020年11月27日

mac

ネタバレ 購入済み

出産の明日

・「仕方ないってのは諦めた時に使うんだよ」
・「妊婦がお産の時、家族に立ち会ってもらって励まして欲しいって言うのは当たり前じゃないの」
・白血病:骨髄の中で作られる血球が、がん化して増殖する→
貧血を起こし、出血を止める働きや、体を守る免疫の働きに障害がでる。
・妊婦が白血病→大量の血流を必要とする胎児。胎盤があることはリスク→
もし分娩を行えば、大量出血や感染のリスク
・白血病の治療に抗ガン剤→抗ガン剤で白血病細胞を非常に少なくする(寛解)→
目に見えない(検出限界以下)白血病細胞を抗ガン剤で叩く(地固め)→
完全寛解になって退院しても、そこから数年間の通院(経過観察)→
再発の可能性が低くなったことを確認できて、初めて白血病は治癒したことになる。
・抗ガン剤のリスク:骨髄抑制=正常な血球の機能も損なわれる→
感染しやすくなり、出血が止まりにくくなる→無菌室で過ごす必要あり→
赤ちゃん自身の催奇形性、流産や早産、骨髄抑制を起こす場合もある。
・白血病になった妊婦を抗ガン剤で治療する場合:抗ガン剤投与→骨髄機能の回復した時期を見計らう→
ある程度赤ちゃんが成熟する32週まで妊娠継続→計画的な分娩→場合によっては帝王切開
・「毎日怖くて不安です。でも子供ってスゴイ。…だって私今ワクワクしてますもん。鴻鳥先生、マイを産んでよかった」
・「出産は…生まれてくる小さな命と、それを純粋に喜ぶ母親、父親、家族のものだ。
小さな命に悩み苦しんだり、嘆き悲しむ母親や父親、家族の未来(あした)のためのものだ。
そのすべての小さい命と家族に寄り添い続ける助産師や新生児科医、そして産科医(ぼくら)のためのものでもある」
「…サクラ…お前、恥ずかしさが増したな」
・「鴻鳥先生、帝王切開終わりましたー」
「院内助産も無事に生まれたよ~」
「そうですか…よかった…」
(出産は奇跡だ…どれだけの時が流れても、人はその小さな奇跡に幸せを感じ、
時には絶望を感じることもあるだろう。
それでもボクらは今日も奇跡のすぐ隣にいる。すべての赤ちゃんと母親を救うために)

0
2022年09月30日

購入済み

ありがとうございました。

第1子の妊娠中から読み始めた本です。
不安と喜びを自分の事のように感じながらいつも読ませていただきました。お疲れ様でした!

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2021年02月02日

Posted by ブクログ

本作も完結。いくらでも続けられそうな題材だし、相変わらずのクォリティが維持されているだけに、終わってしまうのが残念。本最終巻もそうだけど、常に新しい題材にチャレンジし続け、それぞれが読み応えある物語に昇華されていたというのは、ただお見事。素晴らしい作品をありがとうございました。何らかの形でまた読めると良いな。

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2021年01月05日

Posted by ブクログ

漫画もドラマも最高に良かったです。

人工子宮が発達しても、出産は家族のために。

ペルソナの皆さんありがとう〜(^^)

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2020年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

助産師としてのキャリアを再考する小松さん。親友の武田は助産院を一緒にやろうと、ジョージはNYに行こうと、院長は院内助産を任せたいと言ってくる。結局院内助産を選び、武田もペルソナ入る。

鴻鳥の歯科医が妊娠。体の異変から急性骨髄性白血病と診断。鴻鳥の母親と同じような状況。なんとか生まれる。

最後は四宮も登場して大団円。

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2022年04月16日

購入済み

終わってしまった…悲しい…
最後まで面白かったけど
巻が進むにつれてエピソードが薄くなってく感じはした。でも面白かったです!

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

とても重く辛い患者さんが多かったこの巻ですが、きれいにまとめてありました
長く読ませてもらった大好きなコウノドリ先生に会えなくなるのが寂しいです
次回作何か分からないけれど、とても期待しています

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2020年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いよいよラスト。5年前から追いかけてきて納得の最後。シノリンの登場がファンサービス的だったけど…ペルソナに戻る、というのも無理があるだろうし納得かな。小松さんの決断にも大いに納得。そうじゃなきゃ嘘だろう、と思います。赤西先生は医者としては良いのかもしれないけど、もう少しだけでいいから個人感情も察してくれる産科医になってくれることを願います。良い作品でした。いつか娘にも読んでほしい。

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2020年10月25日

ネタバレ 購入済み

最終巻

あー
小松さんとジョージは

離れ離れになって
仕事に生きるのねー

残念。

産科・NICU・救命・離島などなど、
勉強になることばかりでした。

出来れば、サクラ先生の
恋バナとかあっても良かったのに

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2023年05月03日

ネタバレ

シングルマザー

最後の患者のシングルマザーにもやもやしました。
不倫で妊娠して相手には告げずにシングルマザーを選択。
相手の男性と子どもの権利は?
白血病になって自分が死んだら子供は天涯孤独になってしまうのに全くそういうの無視してるし。
せめて認知くらいしてもらっておけよと思う。
今は強制認知もできるんだし。
やっぱり不倫する女は自分のことしか考えてないんだなーって感じでした。

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2020年12月13日

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