小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
ネタバレ【無常の月】
表題作にして白眉。
ある夜、月が異常な明るさで輝きだす。月は太陽光を反射している。つまり地球の反対側、昼の領域はもう……。というお話。
月という身近な存在に異常が起きるという掴みから、想像力を働かせて未曾有の事態にたどり着く衝撃。主人公は事態に勘づくが夜の街は平和そのもの、さて人類最後の夜をどう過ごすか、という哀愁。論理と情緒が両方詰まったハードな展開に心揺さぶられた。自分が読んだここ数年の短編では一番かも。
【帝国の遺物、中性子星、太陽系辺境空域】
同じ世界感を共有しており、ワープあり異種族ありで王道SF感がある。中性子星やブラックホールのアイデアは既視感がすごいけど、逆にこ -
Posted by ブクログ
『マネーモンスター』 黒木 亮 著
これは面白いです! 真山仁氏の「ハゲタカ」シリーズは通読しましたが、黒木亮氏の「カラ売り」シリーズは初めてで引き込まれました。
パンゲアというカラ売り屋の活動を、「ミスター液晶(液晶バックライト)」「水素トラック革命(水素自動車)」「地銀の狼(ス〇ガ銀行)」の三本立てで描いています。それぞれ独立しており、短編としても読めますが、前者2作は、かつて携わった業務内容であり、また最後は最近話題になった「ス〇ガ銀行」の話でもあり、いずれも一気読みコースでした。
「VIVANT」でもカラ売りは取り扱われていましたが、何となく悪者イメージ。しかし、こちらのカ -
Posted by ブクログ
ネタバレ終わりが来るのが怖くなってしまう。それぐらい物語の中に入り込んでしまう作品だった。
人間の一生を幼少期から追いかける作品はあるが、とある動物の時間軸で追いかけていくのはなかなかないのではないだろうか。それこそ、吾輩は猫であるぐらいか。
小学生だったりっちゃんがいつの間にか自分の年齢を越していたり、50年という長い寿命を持っていると言われている、ネネの寿命の終わりが見えてきたりと、こちらも月日の流れの儚さに胸が痛くなることもあった。
りっちゃんが自分の境遇に対して何度も何度も感謝をしている場面が印象的だった。個人的にはりっちゃんには特に幸せになって欲しかった。幼い頃から聡明で、たくさんの本