滋賀県大津に住む中学2年生の成瀬あかりは、一言でいうと少し変わった女の子だ。
あるときは「シャボン玉を極める」と言って天才シャボン玉少女として地方ローカル番組に出演したり、またあるときは「2百歳まで生きる」と至極真面目な顔で言い切り卒業文集に将来の夢として書いたりする。
とにかく自由奔放でマイペース、他人の目線を気にするといったこととは無縁の女の子なのだ。
そんな成瀬と幼馴染である島崎みゆきは、ある日彼女にとある頼み事をされる。
市民に愛されたデパート・西武大津店が8月31日をもって閉店するのだが、地方ローカル番組「ぐるりんワイド」では、8月は毎日西武大津店から生中継をするらしい。
成瀬は「そこに毎日映るから、テレビをチェックしてほしい」というのだった…。
この小説はなんといっても物語に入り込みやすい!
主人公は私たちが生きる現代の日本に一緒に生きていて、私たちと同じようにコロナ禍で退屈な思いをしたり、近所の慣れ親しんだ商業施設が潰れて悲しんだりする。
そんなありふれた日常の中において、成瀬が起こす突拍子もない言動は、どこかかっこよくて憧れを抱かざるをえない。
「こんな行動に意味があるんだろうか」とか「これをやってみたいけど成功する根拠もない」とか、ネガティブな考えが吹き飛ぶ1冊。
きっとあなたも成瀬が好きになって、彼女の一挙一動から目が離せなくなるはず!
個性的な1冊を探しているあなたに絶対に読んで欲しい、オススメ作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
成瀬はなんでもおもいついたら、やってみないと気がすまない女の子。地元大津の西武デパートが閉店になるとしるや、毎日中継されるテレビ番組に写りに行く。それに巻き込まれる幼なじみの島崎。その島崎と、ゼゼカラというコンビを組んでM-1グランプリ予選に出場したり、高校入学と同時に丸坊主にして3年間でどれだけ伸びるか実験したり、200歳まで生きると宣言したり、ハチャメチャな生き方そのものだけど、何にでも一生懸命である。勉強も部活もピカイチで、朝起きるルーティンもAIみたい。そんな成瀬も島崎が引っ越しするときくや、いつもの自分が乱れていく人間味もみせる。スピンオフ的な階段は走らないなどもあり全体的に面白かった。
Posted by ブクログ
小一時間空いてて、時間潰しにと思って普段行かない本屋で購入。成瀬の我が道をいく感、それでいてまったく嫌味なく、爽快感のある小説でした。多分続編も読む。
Posted by ブクログ
自分を信じて突き進む成瀬がとっても魅力的です。
そして、地元大津への愛情がたっぷり。
地元の友達とか、地元の関係性って、あぁ、こういう感じだよねということも共感できました。
Posted by ブクログ
いやこれは面白い、評価高いことにうなづける。成瀬は滋賀の女子高生、奇特な行動が目立ち、親友の島崎に暖かく見守られている。が、頭は抜群に良く、何をするのかわからない、小動物的な可愛い怖さを持っている子だ。閉店する西武デパートの最後の2週間に日参してテレビに映ったり、島崎を強引に誘ってM1グランプリ予選に出場したり、と周りを巻き込みながら次々と突飛な思いつきを実行してそれなりな結果を出し続ける。こんな子がそばにいて、好感を持てたとしたらとても面白い毎日が送れそうだ。自分の子の隣にいて欲しい
Posted by ブクログ
成瀬になりたい!成瀬みたいに、いろんなことを挑戦したい!大人になると忘れてしまう、というか怖くてできなくなる「挑戦」を奮い立たせてくれるような本だった。
Posted by ブクログ
めっちゃおもろい。
本を読んだみんなが成瀬を好きになる自信がある。成瀬だけでなく島崎など他の登場人物も好かれること間違いなし。
成瀬は独自性が強いが、他の人と変わらない感情を持っていて好感が持てた。
滋賀県にゆかりのある方が羨ましいです。
Posted by ブクログ
話題になっていたので、読むことにしました。
とても良いと思います。
読んだ後の爽快感は、夏の暑い日に清涼飲料水を一気に飲み切った時の感じに似ていると思います。
滋賀県ネタが盛り込まれているので、滋賀県出身の人に確認するのも楽しかったです。
仕事が忙しく、疲れが溜まっていた時に読んでましたが、前向きな気分になれました。
ぜひ、お読みになることを強く、強くお勧めします。
Posted by ブクログ
▼正直に言うと、さほどの期待もせずに。まあ流行り物でも、という軽い気持ちで読みました。ついつい最近、たまたま大津に家族で行って楽しかったし(大津でやけにこの本の宣伝を目にして「地元作品なのか?」とは思っていました)。
結果、笑いと涙と共感にまみれた痛快な読書でした。パチパチ。感謝です。
▼大津市に暮らす成瀬さんという女の子の、小学生から高校生までの日々を、「成瀬さんの周りのひとびと」の目線で描いた連作短編です。そしてこの「成瀬さん」が強烈なヒーローなんです。大した事を成し遂げる訳ではなく、「日常モノ」ではあるのですが。
▼例えば漫画の「ゴルゴ13」が、アクションや蘊蓄や語り口といった職人技の奥に、「自己のルールを持って、ブレずに生き抜いていく超人的なスキルをもった人間」を描いているからこそ、エンタメとしても大変に楽しい訳ですが、その匂いです。成瀬さんはほとんどファンタジックでスラップスティックで胸熱なまでに、「周りに流されない、孤立を恐れない。自分の信じた道をゆく」。
▼それほどまでに完成されたブレない「思想」を持っている強さが、そしてそれ故に「自由」「退屈」「孤独」を恐れないメンタルが、何よりも羨ましく非現実でスバラしい。無論楽しいフィクションですから、そのような「孤立」を生き抜くスキルの高さ(学業優等で諸芸達者である)を持っている訳ですが。
現実にはそういうものを会得する段階で「競争」と「劣等感」と「強迫観念」と「優越感」に足を取られ、ヒトたるもの、特に若いヒトはなかなか「成瀬」にはなれないわけですが。
▼それを描くのに、「ゴルゴ13」と同じですが、ほぼほぼ「成瀬さんの内面」から描くことはしないという手段が秀逸です。
成瀬さんは周囲から見れば、
・閉店する西武に夏休み連日通うという謎の挑戦
(別段それは大きなムーブメントを呼ばない)
・お笑いの頂点を目指しM-1に参加
(初戦敗退)
・地元の暮らしに貢献するという思想のもとに勝手に「巡回」を行う。
などなどの行為を淡々と無表情にこなしていく不可思議な生き物。
ただ接しているうちに、成瀬さんの生き様が、各自の感じてる「社会(地域社会)の中で生きていく恐怖感」を癒やしていく。同調圧力と対極な虚空にどっかりと根を生やして生きている成瀬さん。
▼そこにジュブナイルな、子供から大人へと移り変わる季節の匂い。「生きづらさ」をこんな素敵なヒーローものとして切り取って見せた着想と手腕には、賛辞を送りたいです。
▼何といっても独特の「成瀬的タメ口、非女性的話術」で喜怒哀楽を感じさせない主人公のキャラクターが愉快です。この造形で、物語としては一点突破の大勝利です。悲劇を喜劇に変換するエンタメ装置です。
▼実は作劇的にいうと、近年では遊川和彦さんの「過保護のカホコ」「同期のサクラ」ほかの作品群と非常に近似値で、改めて遊川さんの打ち立ててきた業績にリスペクトでもあります。ただ、それを甘酸っぱいジュブナイル性と、「優しいローカル色」とでも言うべき微温感覚で照射しているのが、この本の魅力かと思いました。
こういう小説がベストセラーになり賞も獲得するのは、むべなるかなとも言えますが、なんだか色々な意味で現代も捨てたもんぢゃないなと感じたりもしました(笑)。
▼タイトルが、手放しにスバらしい。「天下を取りにいく」このスケールの大きさよ。このギャップ感が、大津市膳所に降臨したスーパーヒーローですね。脱帽です。
Posted by ブクログ
周りの目を気にせず本気で取り組んだことはありますか?残念ながらアラフォーの私にはそんな経験はありません。特に子供の頃なんかはいつでも周りの目が気になるし友達と合わせて生きていたような気がする。成瀬はそれとは正反対で人から見たら突拍子もないことに本気で挑む一風変わった女の子。これを読むと成瀬になりたい!本気で挑戦してみよう!と思えます。
Posted by ブクログ
ストーリーに浮き沈みこそないが、主役の成瀬あかりの堂々たる振る舞いを尊敬した。こんなに一貫したメンタルを持って生きていきたいと思った。
と、書き留めようと思ったところに最後の章。やはり誰もが万遍なく人間らしいところがあるものだな、と痛感した。
Posted by ブクログ
好きなフレーズと感じたことを
・「暗くて寒かったら、今頃もっと寂しいから」
暗い、寒い⇔明るい、温かい
逆のような、明るくてあったかければ、それが寂しくないというわけではないが、暗いことと寒いことはどこか寂しさを助長する
・「スマホでTwitterを開くと」
こうやって読むとスムーズに読めるけど、これからの文学には「Xを開くと」になるのか、それとも「X(旧Twitter)を開くと」になるのか、「呟くアプリのX」とか、何か冠するようになるのか
・「スマホを持っていない」
「行けたら行く」に通じる断り文句のように思われてるが、それが一般に言われるようになりすぎていて、本当にその意で使う人が肩身の狭い思いというか、嫌なように見えてしまうような気もする
・「思いのほか短く説明できてしまい、成瀬の抱える気持ちとは釣り合わないように感じた」
語彙の無力感というか、理由だけじゃない、表現方法で補填ができるわけでもないというか、無常感
Posted by ブクログ
前知識なく読んだのですけれど、連続短編集なのですねえ。途中で語り手が変わって驚きました。一瞬、いきなり中年になったのかと……。
成瀬さん目線のエピソードがなければ「面白い人だけれど遠い存在」として終わっていたかもしれません。
彼女の暮らしをよく知ることができて、さらに凄い方なのだとわかってビビってしまうのですけれど……。一方で、成瀬さんを肯定的に見る人の語りではわからなかった彼女の人間らしさが伝わってきました。別にロボットじゃないですからね、悩むことだってありますよね。
成瀬さんのことを見届けたくなる気持ち、わかる気がします。次は何に挑戦するのだろう、とわくわくします。
続編も出ているようなので、読みたいです。
2024/05/13 目次-p.46
p.7
“成瀬は「島崎、わたしはシャボン玉を極めようと思うんだ」と言って出ていった。”
(中略)
“レポーターを務めるご当地芸人に「糊の割合が重要です」と説明していた。”
どこでその知識を仕入れたのでしょう……? しかもたった数日。誰かに弟子入りしたのですか?
p.8
“成瀬の両親はともに滋賀県出身で、”
わたしの中の滋賀は、ぽこピーなのですよねえ……、
p.8
“西川貴教(にしかわたかのり)に対する滋賀県民特有の情熱は持ち合わせていない。”
帯にコメントが乗っていましたね、西川さん。
p.9
“小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「二百歳まで生きる」だった。”
ぽんぽこさんじゃないですか……。
p.9
“最近は期末テストで五百点万点を取ると宣言した。結果は四百九十点だったが、たとえ目標に届かなくても成瀬は落ち込まない。”
結果が十分凄いのですけれど。頭良いのですねえ……。
落ち込まないのもまた、凄いです。
p.10
“帰りの会で「今日の夕方、びわテレのぐるりんワイドに成瀬さんが出ます」と先生からアナウンスがあった。”
小学校の頃、似たようなアナウンスがありました。その人はけん玉でした。
ラストに「ハッピー」と言うのがお決まりの番組だったので、もっとにこにこしたら良いのに……と思ったことを覚えています。余計なお世話ですけれど。
p.34
“成瀬を送り出してくれた親戚一同に感謝した。”
わたしも、心から感謝します。
2024/05/14 p.46-76
p.76
“とんでもない僻地(へきち)から通勤していると思われがちだが、”
通勤……? 大人になったのですか?
p.76
“四十を過ぎた今ではなるべく座りたい。”
彼女たちが成長したのか、それとも別の人なのか……。
2024/05/15 p.76-129
p.78
“マサルが昔の細かいエピソードを語るたび、俺は「よくそんなことまで覚えているな」と感心する。”
みんな記憶力いいですよねえ……。わたしはまったく覚えていません。
p.87
“いつも誰かの後についていく俺とは持って生まれたものが違うらしい。”
語り手さんに凄く共感します。わたしも誰かの後についていくほうが好きです。人を引っ張っていくことなんて、できません……。
p.89
“不自由を覚えている人が多い中、俺はテレワークが導入されてひそかに喜んでいた。”
どこまでも語り手さんと思考が一緒……!
p.94
“「ライオンズ女子、今日も映ってる」とTwitterに投稿した。”
あの人だったのですね。こちら側が語られるとは思っていませんでした。
p.98
“グミを食べながら作業を続けた。”
ピーナッツくんを思い出してしまいます。
p.107
“ガラス戸の向こうで店長が一礼したのち、シャッターが降りる。集まった人々はスマホで写真や動画を撮りながら、口々に「ありがとう!」と声を上げた。”
容易に想像できて、鼻の奥がツンとしました。地元の風景が変わるのは、寂しいですよね……。
p.110
“今日は滋賀県立膳所高等学校入学式。”
(中略)
“成瀬の親友の島崎みゆきなら的確に突っ込んでくれるに違いないが、彼女は別の高校に行っている。”
みんな高校生になったのですねえ。
なんとなく、成瀬さんも島崎さんも同じ学校に行くのかと思っていました。違うのですね。
じゃあ、この語り手さんはどなた……?
p.121
“先月のわたしはちりちりのくせ毛で、重力に従って下に伸びていくはずの髪の毛が上や横へと伸びていた。”
ちりちりタイプは縮毛矯正したくなりますよねえ。絡みやすいので管理が面倒です……。
2024/05/16 p.130-201
p.169
“広島に帰ったら、成瀬さんにお礼の手紙を書こうと思った。”
この人なら、良き理解者になりそうです。
p.172
“成瀬あかりの朝は早い。”
成瀬さん目線の物語は初めてですね。私生活もきっちりしていて、さすがです。
p.176
“ときめき坂の吉嶺マサル法律事務所は知っていたが、”
おぉ、ここのつながりができたのですね。
p.177
“実行委員の一人である稲枝敬太が無表情でペットボトルのお茶とレジュメを配っている。”
彼は隠れファンであることを明かしていないのでしょうか?
何であれ、こうしていままでの方が出てくるエピソードは大好きです。良いですね。
p.190
“「見ていてくれたのか」”
あ、言っていなかったのですか。
p.192
“島崎が同じマンションで生まれ育って、自分と仲良くしてくれたのは幸運だった。”
泣いちゃいます……。
ツッコミどころ最高!
この作者さんのつっこみがどストライクというか、各章に数回は吹き出す箇所あり!
成瀬も可愛いし周りの人も尊い。こんなすごい子本当にいたらいいなと思う。また、大津市民がそんなに西武デパートが好きだったなんて初めて知って、親近感あり。
宮崎あおいさん
少し前まで本屋さん大賞は、
宮崎あおいさんがヒロインになりそうな物語
っていうのがありましたが、流石人成瀬は無理そう。
愉快で楽しく、この物語がノミネートでなく
大賞になるのは流石に書店員さん達の目利きに感謝。
そして書籍でなく電子データ購入したことに深謝
お詫びに続編も購入しました。
Posted by ブクログ
成瀬あかり。幼い頃から多才で好奇心旺盛。立てた目標に向かって努力することも厭わず、たいがい何でもできてしまうほど優秀だ。
同調圧力の強い俗物系女子生徒たちの中で浮いているけれど、超然とした態度を崩さない。それこそ成瀬である。
これは、そんな成瀬あかりの中学2年夏から高校3年夏までの5年間を描く青春小説である。シリーズ1作目。
第39回『坪田譲治文学賞』及び、2024年『本屋大賞』受賞作。
◇
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。
成瀬あかりの唐突な宣言だったが、島崎みゆきは驚きもしなかった。生まれたときから成瀬と同じマンションで育った島崎には、成瀬がどんな人間かはわかっている。島崎は落ち着いて尋ねた。
「夏を西武に捧げるって?」
「毎日西武に通う」
成瀬や島崎が暮らす大津市は、滋賀県の県庁所在地にして県内最大の都市だ。なのに唯一の百貨店、西武大津店が閉店しようとしている。
大津は京都にほど近く、集客が伸び悩んでいたところにコロナ禍である。ついに閉店が決まり、 ひと月後の8月31日に営業を終了する。
成瀬は両親とも大津出身で、家から徒歩5分にある西武百貨店の存在は、成瀬家の誇りであり励みであった。その気持ちを表現したい。
ちょうど8月3日から、滋賀のローカルTV 局の情報番組「ぐるりんワイド」で閉店の瞬間までの毎日(土日除く)、百貨店から TV 中継がある。それに映って感謝の気持ちを伝えるのだと成瀬は言う。
そして成瀬はさらに、その見届け役を島崎に頼みたいと言うのだった。 ( 第1話「ありがとう西武大津店」) 全6話。
* * * * *
島崎みゆきの目から見た成瀬あかりが描かれる第1話「ありがとう西武大津店」と第2話「膳所から来ました」。
成瀬の優れた点だけでなく、不器用さも随所で明かされ、自分を「凡人」と評する島崎の柔軟さやここ一番の底力も描かれています。
成瀬は万能ではない。「ひとりでなんでもできる」わけではなく、友の助けが必要なのだとわかります。ここがよかった。
第3話「階段を走らない」で物語の中心は成瀬を離れ、西武百貨店の閉店カウントダウン中継で偶然成瀬を目にする中年の男たちに移ってしまいます。
肩透かしを食らったように感じるかも知れませんが、最終話への伏線なのでご安心ください。
第4話「線がつながる」からは高校編です。県内トップ校の膳所高校に進学した成瀬が登場しますが、物語の中心は同級生で中学時から成瀬によい印象を持っていない大貫かえでです。
同じ成績優秀な生徒であっても、天才型の成瀬に対し秀才型の大貫を描くことで、成瀬の為人がよくわかる構成になっています。
第5話「レッツゴーミシガン」は高校競技かるたの近江神宮大会が舞台です。
高校でかるた部に入った成瀬は、『ちはやふる』を読むなどして精進します。
その努力が実り、3年生になった成瀬は部長として全国大会にチームを率いて来ているのでした。
熱気あふれる場内でダイナミックな取り方で戦う成瀬に目を釘付けにされたのが、広島代表錦木高校の西浦航一郎。その西浦の視点でこの第5話は描かれていきます。
はやい話、成瀬に一目惚れした西浦を友人の中橋がバックアップ。西浦と成瀬のデートを画策します。
見知らぬ男子生徒に声をかけられた成瀬ですが、動じるどころか地元を訪れた人には親切にするべしという信念から、観光船ミシガンに2人を招待します。
純情な西浦の想いに成瀬はどう応えるのか。琵琶湖でのひととき。ぜひ、お読みください。
そして最終話「ときめき江州音頭」。初めて成瀬視点で物語が展開していきます。主に描かれるのは、常に筋が一本通ったようにブレないと思われた成瀬の揺れる気持ち。成瀬も多感な少女だったのです。
翌春の大学入試を控え、夏の終わりの地域イベントに臨む成瀬と島崎。爽やかだけどホロリとさせられる、最終話にふさわしいいいお話でした。続編が楽しみです。
涼宮ハルヒ似の主人公に圧倒
どこか「涼宮ハルヒ」に似た優秀で変わり者の女学生「成瀬あかり」を巡る賑やかな日常譚である。
破天荒な主人公成瀬に対し、良き理解者の幼馴染から目一杯距離を置きたがるクラスメイトまで、世間体を気にする度合いに応じて、様々な人々がわちゃわちゃと関わっていく様をユーモラスに描き、とにかく楽しめる。
一読して、世間の同調圧力なんてどこ吹く風で受け流しても人生にとって深刻なトラブルになるわけでもなく、人は互いに価値観が異なっても楽しいひとときを過ごせることに気づかされた。
滋賀に住む少女成瀬に関わる人々の物語を描いた短編集。
周りからみた成瀬は特別に賢くて変人だが、成瀬視点の最終話では成瀬の等身大の感情が見え、何だか涙が出てしまった。
あまりにも滋賀ローカルに特化しているのに、どこか郷愁を感じ共感できる不思議な作品でした。
Posted by ブクログ
青春小説って感じ。
成瀬は女独特の嫌な部分を持ち合わせてなく、終始達観していて読んでいて気持ちいい人物。
急にM1グランプリに出場してみたり、高1の始めに突然坊主頭にしてきたり突拍子もないことをしちゃうけど、近くにいたら見ていて飽きないだろうなー。
成瀬みたいな人物って現実にはほとんどいないだろうけど、コロナ禍という現代社会で本当にあったことも取り上げていて、現実でこの本の通りのことが起きていても驚かないだろうなーとも思う。そういう意味では小説ならではのあり得ないだろ!とかすごくおもしろい!と感じる設定はなかったかも。
クスッと笑える所はあるけど終始平常心で読める作品。
Posted by ブクログ
滋賀県を舞台にしたこのライトノベルは、テンポが良くて楽しく読めました。成瀬の不器用だけどまっすぐな生き方に共感し、地元ネタも面白かったです。続編も期待しています。
Posted by ブクログ
成瀬の一分一秒も惜しまない生き方にパワーを貰えた。周りに流されず「自分」というものが確立されていてかっこ良い〜〜〜!
浮いた存在であっても、成瀬が成瀬である限り島崎との交流は続くのだろうな。お互いに良い影響を与え合っているように思えました。
ラストは少しグッとくるものがありました。
Posted by ブクログ
成瀬の性格好きだなー。自分が中・高生の時に成瀬みたいにしっかり自分を持っていたら、もっと充実した学生生活だっただろう。後半の島崎との友情物語も最高だった。そして最初から最後まで、溢れんばかりの地元愛。自分自身は転校を繰り返し、地元がない人間なのだが…なぜか共感できて幸せな気分になった。
Posted by ブクログ
たくさん種を蒔けば、いつかどれかの芽が出るかもしれない。
脇目を振らず何事にも突っ込んでいける成瀬。
こんなに強くありたかったし、こんな青春憧れすぎた。時間の大切さって本当に過ぎ去ってから感じるのに、大事に積み上げてる成瀬すごい。
読んだあとになんだかスッキリとする青春小説で、とっても良かった。けど、個人的にはこの本は自分が学生のときに読んでたほうが面白い!ってなった気もする。
Posted by ブクログ
本屋大賞受賞ということで、書店で目にとまり読んでみました。スラスラ読めたので、買ってそのまますぐ読んでしまいました。
抜群に面白い作品です。久々にいい小説に出会えました。私が過去に読んだ小説でTOP3に入ります。先ほど読み終えたばかりですが、まだ余韻が残ってます。
成瀬を中心とした各キャラの立ち具合や相関、舞台設定やストーリー、ギャグ性、個人的に一番大事な心への揺さぶりも強力でした。物語の中で、全てがバランス良くハイレベルで繰り出されています。成瀬のたちふるまいは憧れちゃいますが、それを支える島崎の存在も素晴らしいです。
単純な感想ですが、やっぱり青春とか学生とか友達はいいものだなって思いました。都会に住んでると忘れちゃいそうなものがこの本には詰まってます。
もうこんな小説には生涯出会えないかなぁと思ってたので、感激しました。続編もすぐ読んでみようとおもいます。
Posted by ブクログ
すごく面白いかと言うとそういうわけでもないけど、爽快感のある青春小説で最後は主人公達と一緒にジーンとしてしまった。
最近暗い話ばかり読んでいたから(そういう本が好きなせいだけど)余計にストーリーが眩しく感じられて、一日のうちに一気に読み切ってしまった。
やはり成瀬の類稀なる人物像ありきのお話だが、その他のキャラクター達にもそれぞれの持ち味があるのも良い。
成瀬の素朴な一面がよく出てる「レッツゴーミシガン」がなんだか好きだった。
さくっと気軽に読めて、清々しい気持ちになれる一冊。
滋賀には近いところに住んでいるので、知った地名や風景が浮かぶ場面も多くて親近感が湧いた。
Posted by ブクログ
面白かった!!
成瀬、とても良い!
ずっと成瀬と島崎のコンビを見ていたくなるなー
成瀬にはずっと自分を信じて突き進んで欲しい!
島崎もずっと成瀬を見守って欲しい!
読むと元気になる本でした!
続編も楽しみ!
Posted by ブクログ
成瀬は媚びない。何でも、人より数段上出来の成瀬は決して驕らない。彼女を遠くから見つめてきた人々も、いつしかすぐそばで、『成瀬』を体験し、また違う成瀬を見つけ、更に『成瀬』の深みにはまる。
たまに寂しがりになる、そんな成瀬が愛おしい。
島崎と成瀬のことを語りあってみたいと思いながら、夜更けに一気読みした。
Posted by ブクログ
冒頭のお話から成瀬あかりと言う人物の個性が印象的で非常に良くて、まさしく天下を取りにいく青春模様が綺麗に書かれていて凄く面白かったです。
読みやすくて、間違いなしの1冊でしたね。
Posted by ブクログ
様々な話が高くの視点から入ってて面白かった
西武というデパートを成瀬を中心に、成瀬に関わる人を巻き込んだ展開になっており、読んでいくうちに続きが気になり、一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
職場で薦められて。
拍子抜けしたけどそれがいい、というのがまとめ感想。
最初はもっと大きな展開があって登場人物が派手な立ち回りをするのかと思ってたがそういうのもないし、
章ごとに視点も年代も変わるし、全部がつながって大きな展開があるのかと思ったがそれもない。
なんで読み終わるまでにそう感じちゃったのかというと、アオリで「かつてなく最高の主人公、現る!」とか言ってたり、イラスト表紙だったり(コミカライズもされて動きが多くなってるけど小説はもっと抑えられている) があるのかなと思うが、実際のところは淡々とした日常が成瀬の個性で彩りが加わる、ぐらい。
というのが嫌だったというわけではなくて、個人的にはこれぐらいの温度感がとても現実に寄り添っているし想像の余地を残すから心地よかった。ただ売り方がちょっと中身と違うのでは、、まあこうやって派手にしないと売れないから、、とか思ってたのだけど、中高生に人気らしいというのを見てそこにリーチするならこの売り方になるよなと納得した。
まああとは滋賀県民には刺さるんだろうな、、職場の人も滋賀県民だし、、推薦コメントで三浦しをんさんが「青春は琵琶湖の形をしている」って意味不明なコメントをしてるけどこれもきっと滋賀県民なら同意するんだろうな(たぶん違
というわけで思てたんと違かったけどとても読後感のすっきりとしたすがすがしい作品でした。
Posted by ブクログ
・何ヶ所か読んでいて吹き出してしまった。単純に面白かった。
・少し辛口コメントになるけど、本屋大賞受賞ということで期待して読んだものの、そこまで強烈なインパクトは無かった。
・成瀬の関西弁バージョンを見聞きしてみたい。
・西武百貨店好きの自分には成瀬に共感できた。
・軸が全くぶれない成瀬に憧れる。
Posted by ブクログ
青春物語。読みやすいし内容も難しくないが、感動したりはなかった。本のタイトルと表紙で1位を取ったのではないだろうか。
これが書店員さんたちが選ぶ今年一番面白い作品だというのなら、漫画や音楽やグルメにエンタメの座を奪われてしまうのも仕方がないような気がする。
Posted by ブクログ
滋賀が舞台。
個性的な一匹狼成瀬あかり、彼女を主人公に中学、高校、大学…と彼女のチャレンジをそれぞれ別の登場人物目線で描いた短編集。
大賞を取った作品、との事で期待値が高すぎたか期待したよりも面白さがわからなかった。