遠山啓 - ちくま学芸文庫作品一覧

  • 初等整数論
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    「やさしい整数のなかには思いがけないほど深く、ほとんど神秘的といってよいほど美しい様々な法則が潜んでいる」(本書「はしがき」より)。整数論には「帰納と演繹」、「構造」といった数学の柱となるような重要な概念や未解決の問題が含まれ、いちど知ったら忘れることがないくらい、鮮やかな印象を与えると著者は説く。数学を実用主義的観点から解き放し、「おもしろさ」、「楽しさ」を不可欠の要素として見直した出色の入門書。『微分と積分』と並ぶ主著。文庫版付録として「数学教育の2つの柱」を収録。
  • 現代数学入門
    4.3
    現代数学は数学者だけの高度なものと考えがち! だが、じつは考え方そのものは日常の生活のなかでよく経験している。著者はそういって、集合・関数・構造・群・位相などの概念の本質を、古代からの数学の歴史をたどりつつ、卓抜な比喩で解き明かす。本書前半「数学は変貌する」では、読者はその名調子に身をまかせ安心して聞きほれることができる。堅苦しい数学観も一変するにちがいない。学校数学になじんだ理系学生にも、その闊達な筆致のデッサンは魅力だろう。後半「現代数学への招待」はその詳論。解説はらせんを描きながらより高みへと読者を誘う。
  • 代数的構造
    3.5
    よく似たしくみをもつもの同士を同じものと見なす「パターン認識」。それは数学的な構造としては20世紀に深化発展した。数や多項式、関数などから、群・環・体などの有用な構造が取り出された。本書は抽象代数の基本概念を、歴史的背景をおりまぜつつ、ていねいな叙述でひもとく。随所に登場する卓抜な比喩は理解を助け、ガロア理論の意味まで望見させる。「体Σ/Kは地上に生えている大木に似ている。……基礎体は木の根に当たる。ガロア群は木を揺さぶる外からの力に比べられる」「秘密を探るのに、まずそれを揺さぶってみる……ここにガロアの理論のもつ射程の大きさがある」と。
  • 代数入門 ──数と式
    5.0
    数学では、変化する数や量を表す際に、x、y、zのような記号を用いる。この「代数的方法」なくして数学をすることはできないし、実際、高校数学でははじめに「数と式」を学ぶ。けれど、そもそも「数や量を記号で表す」とはどういうこと? 文字だらけの数式を見るだけで、たじろく人も多いはず。本書はトランプや樹形図のように具体的な例を出発点にして、種々の多項式や方程式に慣れるところまでを目指す。「たくさんの人に数学を」という著者の思いの結実した、晩年の名教科書。遠山数学の集大成がここにある!
  • 微分と積分 ──その思想と方法
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    「微分積分という学問の本質的性格をていねいに解き明かした教科書はあんがいに少ないのではあるまいか。たしかに微分積分学はきわめて広い応用範囲をもっていて、それらをすべて網羅しようとすれば、何冊あっても足りないだろう。だが、その思考法の本質にねらいを定めて解説すれば意外に簡単なものである」(本書「はしがき」より)。微分積分法をその根底にある思想から数学史に即して語り、微積のエッセンスを基本から丁寧に分かりやすく説明する。数学者数学教育者として一流であった著者による、曖昧な説明や証明の省略を一切排した微積分学最高の入門書。

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