児童文学 - 青弓社作品一覧

  • アフリカン・アメリカン児童文学を読む 子どもの本という「励まし」
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    1巻3,300円 (税込)
    拉致、奴隷化、尊厳の剥奪、隔離、共同体内での分裂など、複雑で艱難辛苦の連続だった歴史をもつアフリカン・アメリカンが書く児童文学は、多様性の希求やルーツの受容、他者との連接を目指してきた。社会的に「見えない」子どもの感情を可視化し、抑圧された環境下でも協働して人間らしく生き延びようとした集団の強さを描く作品は、あらゆる子どもへの「励まし」の役割も担う。 1920年代にアフリカン・アメリカンの子どもへの「励まし」の土台を作った雑誌「ブラウニーズ・ブック」、キング牧師の思想を継いでアメリカの人間像の多様性を訴えた作家ミルドレッド・テイラーの「ローガン・サーガ」、奴隷制時代の過去の記憶と現代を生きる子どものサバイバルを結び付けて描いたヴァジニア・ハミルトンの『偉大なるM・C』『マイゴーストアンクル』『ジュニア・ブラウンの惑星』、逃亡奴隷の支援ネットワーク「地下鉄道」の「車掌」を務めたハリエット・タブマンの2つの伝記、ハーレム地区の複雑な人間関係と利害を超えた結び付きを描いたウォルター・ディーン・マイヤーズの『ニューヨーク145番通り』ほか、多数の作品を取り上げてアフリカン・アメリカン児童文学の軌跡をたどる。 奴隷制度や人種差別の苦痛を描きながらも、それを「生き延びた」ことの強さにあえて焦点を当て、現代を生きる子どもに新たな視点と励ます力を与えるアフリカン・アメリカン児童文学がもつポテンシャルを描き出す。
  • ハイジの生みの親ヨハンナ・シュピーリ
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    1巻3,740円 (税込)
    世界中で読み継がれている児童文学の古典的名作『ハイジ』。高畑勲演出のテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』をはじめ、映画、テレビドラマ、漫画や絵本など、多彩なメディアへの翻案を提供している『ハイジ』は、これらの氾濫するイメージに追いやられ、19世紀スイスに生きた原作者ヨハンナ・シュピーリその人に光が当たることはきわめてまれだ。 本書では、近代ヨーロッパ社会のさまざまな問題が織り込まれたシュピーリ文学の諸相を検証し、女性の自己実現、自然と教育のせめぎ合い、キリスト教信仰への思い、また社会運動へのまなざしなどのテーマが彼女の作品群でどのように変奏されていったのかを明らかにする。そして、その道筋の半ばに現れた傑作『ハイジ』の到達点をあらためて考察する。 爆発的な売れ行きをみせた『ハイジ』はまた、第三者による非公式の続篇の跋扈、数えきれないほどの映像化作品、そして日本でも多様なバリエーションの翻訳を生み出している。こうした「ハイジ現象」のうねりを鳥瞰しながら、スイスという国のイメージを規定する国民神話にまで上り詰めた「アルプスの少女」の魅力の正体を探る。

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