小説 - 完結作品一覧

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  • メイン・テーマ1
    完結
    -
    全3巻275円 (税込)
    テーマを決めて、生きることを選ぶ 『メイン・テーマ』という映画があった。 薬師丸ひろ子主演。森田芳光監督。1984年公開作品。 ここにお届けする「メイン・テーマ1」を元に、森田芳光氏がシナリオを書いて制作されたものだ。 自分という人間はこれからどう生きるのか。 そのことを、片岡義男は「あとがき」で「時間の使い方」と説明している。 時間をどう使うのかが、その人のメイン・テーマ、というわけだ。 なお、「あとがき」には恐るべき構想が記されているが、2015年11月現在、それはまだ実現していない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ムーンライト・セレナーデ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    憎みきれないろくでなし 片岡義男のいくつかの小説が踏襲する独特のパターンというものがある。 ダメになった、嫌いになったわけでもないのに別れること。 女と男が、1台のクルマではなく、 それぞれのクルマに乗って2台で長い距離を移動すること。 この短編はその両方を満たしている。 男は、ナイトクラブのピアノ弾き。驚くほど上手いが、向上心がない。 めっぽうモテる。本当の意味で自分の足で立てる男でもある。 でも、女はくやしいだろう。男は自分で「ろくでなし」と言うのだから、 遠慮は要らない、読者も「ろくでなし」と断罪してほしい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 去年の夏に私たちがしたこと
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    翌年の夏に彼女がしたこと 20歳の夏。自由になる時間は豊富にある。 そして、オートバイがある。 灼熱の日本列島を、自分のペースで走り抜ける。 寄り道は自在だが、目的も、たくらみも、ちゃんとある。 若さゆえの思いつき。約束のない出来事。 そしてそれは忘れられない夏になった。 ところが、物語はそれだけで終わらない。 季節が一巡し、夏がまた巡ってくるように、 今度は彼が、彼女に驚かされる番なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 女は気だてと人は言う
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    それは彼女の流儀 女は気だてと人は言う。 だったら私の気立ては最悪だと女は言う。 それは投げやりでも自嘲でも、すねているのでもなく、 そうとしか言いようがない、というサッパリした理解だ。 前の亭主と離婚しようとしている女の傍らに、男はいる。 彼が新しい男になることを、女は拒まない。 それどころか子供さえも。 しかし、女には認めないものがある。 それは何か。彼女の流儀が拒否する、それは何か。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ホテル・ルーム1
    完結
    -
    全2巻275円 (税込)
    時には、朝にホテルにたどり着く一日を。 日本列島は、台風の通り道だ。 空模様が暗くなり、雨が、風が激しくなり、 やがて猛烈な勢いを周囲に振りまいて、ある時ふっと抜けてく。 その奇妙な高揚感を夜通し自動車の中で体感し、台風一過の朝を海辺で迎え、 そのあと、ホテルでたっぷり眠る、というのは この島に生きる生活者にとっては最高の過ごし方かもしれない。 その時間を共に過ごした男女には、明日からまた別々の日々が始まる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 巨大な月曜日
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    その瞬間はまだやってこない サーフィンを描いた有名な映画に『ビッグ・ウェンズデイ』がある。 この場合の「ビッグ」とは言うまでもなく波のことだ。 この短篇では、待望すべきその「巨大さ」は、 どうやら月曜日にやってきそうだ。確かに台風はやってきた。 しかし、8フィートの波はどうか。 今、海に出て行くのは危険すぎはしないか。 待ち受ける2人の若者の期待と不安、不穏な海・・・ 待つこと、まだ来ないこと、しかしすぐそこにありそうなこと、 それらのざわめきを描いたスリリングな一篇。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 煙が目にしみる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    涙より煙がいい ひどい男、と言ってさしつかえないだろう。 仕事が忙しいことを理由に、約束を反故にし続ける男である。 しかし女に対する同情も微妙だ。 待つ女になりすぎている。惚れた弱み? それでも、女と男は一晩だけ、会うことができた。 倉敷から金沢、金沢から新潟。なんとムダに(?)西から東へ。 大人だから、酒も飲めば煙草もある。 煙草の煙が、目に入る。 もし涙が出たとしても、それは純粋に煙のせいなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ドライ・マティーニが口をきく
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    私は私の知らない私 酔う、とはどういうことだろう? 酔った自分をまるで憶えていない、とは、どういうことだろう? 酔っている自分が本当なのか、嘘なのか。 大量のドライ・マティーニがもたらした奔放な行動が翌朝には耐え難い羞恥に代わる、としたら 昨日の私とは何であり、今日の私は何だろう? 酔って無意識に呼んだのか、本音が出たのか。 男の悪戯に身もだえする翌日の彼女を、男は愛さずにはいられない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 501 W28 L34
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    空に夕陽、脚にジーンズ 1年ほど付き合った男女の仲でも、共有されていないものはいくらでもあるだろう。 それが結婚だった場合、単なる考えの相違に留まらず、2人の未来の時間にはいささか暗雲が立ちこめる。 そんな時だった、目の前にあるこの本当の空があまりに美しいピンク色に染まっているのを見たのは。 それは男にとってどうでもいい空だったから彼女にとって男は決定的にどうでもよくなった。 彼女には夕陽がある。そしてよくなじむジーンズがある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 8フィートの週末
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    再会は3人で。 片岡義男の小説に登場するサーファーは、波乗りしかしていない男たちだ。 最低限の生活費を稼ぎ、職業を持たず、ただサーフィンすることだけに生きている。 この中編小説の男もそうだ。 しかし、サーファーにも出会いはある。 出会いの後に再び波を追い求めて遠く離れても、 時には数年の時間を超えて、再会が待っていることもある。 去った男を責めない、ただ再会を純粋に喜ぶことのできる女。 そして3年前と違って今は、2人はもう2人ではない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 私は彼女のモーニング・コーヒー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ビール、タックル、やがてコーヒー。 婚姻関係にある相手以外の人物と一線を超えた付き合いをした場合、 倫理的に指弾されたり、感情がもつれあってトラブルになったりと、 そういう社会に我々は生きている。 その行為を「された」側より、「した」側が非難されるだろう。 やがて彼女は行動する。 追い出されての行動ではあるものの、 自らのクーペを夜通し走らせ、東京から京都まで。 待っているのは、モーニング・コーヒーというカタチをした愛情だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 彼の右隣りが、私
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼は知らずに後ろに。彼女は知ってて右隣に。 再会は、一つのドラマである。 偶然の再開は、そうそう起こるものではなく、しかし限りなく無に近い可能性とも違う。 奇跡、というほど圧倒的ではないがゆえにゆるやかな幸福感が漂う。 同じ時刻に、同じ道を走ること。 前を走る自動車がなぜか気になる、という現在は、 彼の、あるいは彼女と彼の過去が作動した結果の祝福された現在かもしれない。 10年の時を経て再び彼女は、彼の右隣をキャッチする。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • スイッチ・ヒッター
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    右も左も、存分に行けます 最悪の主人公、といって差し支えない。 主人公がナイスガイだったり、 苦悩する人格だったりする必要はないのだから、 最悪の主人公だってかまわない。 夏の暑さが、彼を行動に駆り立てる。 良い悪い、ではない。 自分の体をフルに、器用に過不足なく使って、彼は動く。 繰り返すが、最悪の主人公である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 駐車場での失神
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    突然のシンクロニシティ なんとも不思議な短篇である。 そして、小説としての不可思議な、割り切れない、ニュアンスに富んだ魅力が充満している作品。 片岡義男は、なぜ? ではなく どのようにして? を書く作家である。 とても起こり得ないようなことがなぜ起こったか、ではなく、 それが確かに起こった、ということが重要だし、 突発的だろうがアクシデントだろうが、それがどのようにして起きたのかが問題だ。 そして交錯する生と死の傍らに、まるで中間地点のように失神がある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 心待ち
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    心待ちが、ずっと心待ちであるために 心待ち。この美しい言葉を最大限に生かすようにこの短篇は書かれている。 梅雨の東北地方。 オートバイでツーリング中の男は21歳。 ガソリンスタンドで働く女は18歳。 オートバイには2人乗ることができるから、2人は海に向かうことができる。 その時間の輝き、その記憶が失われることのないように、 ちょっとしたやりとりの、ある仕掛けがなされる。 やがて夏が終わり、男が消え、心待ちが残るだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 雨に唄えば
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    カメラとビー玉 何も起こらない小説、と言ってみたくなる。 それはもちろん嘘で、ここには女と男が登場し、 女は仕事をこなし、男は女を送りおどける役目を果たしている。 それは非合法に抵触しているものの、そのことによる翳りも屈託も、そして危機もない。 すべては淡々と過ぎて行き、彼女と彼はどちらかといえば陽気である。 世間にはカメラやビー玉で妙な遊びをする男もいるが、それも驚くようなことではまったくない。 むしろ関心は雨が降るか降らないか、そちらのほうだ。 降りだした雨には、演歌がよく似合う。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 幸せは白いTシャツ
    完結
    5.0
    全1巻275円 (税込)
    「私の手もとには、現在だけがあるのです」 20歳の夏。彼女は一人でオートバイに乗って日本中を旅する。ひと夏の経験ではなく、少なくとも1年、できれば2年かけて日本の隅々まで経験したいのだ。 そして彼女の両親もまた、それぞれの道を歩もうとしている。家族でありながら、誰もがまぎれもない一人の個人として離れて行き、祝福しあい、時々は連絡を取り合う。 その状態を彼女は「幸せ」と呼ぶ。 今回、故大谷勲氏撮影の文庫版オリジナル写真の一部と未公開写真のあわせて約40枚を、モデルとなった三好礼子さんからお借りし、追加・掲載した改訂版をお届けします。(2018/02) 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • ある日の真夜中
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    真夜中の続きは朝 このストーリーは、このあと、どうなるのだろう? それを考えるのが非常に楽しい作品だ。 用心深く注意をはりめぐらし、出来事が起こらないように行動することと およそ正反対の主人公が愛らしい。 迂闊にもほどがある、とも言えるし、無頼だとも言える。 その時その時で、彼はやりたいように振舞うのみだ。 真夜中が続けばやがて朝が来る。 どんな朝か、想像する自由は読者の手の中にある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • もうひとつラヴ・ソング
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼女が作り、彼が歌うラヴ・ソング この短篇のすばらしさは、タイトルに集約されている。 「もう一つのラヴ・ソング」ではなく「もうひとつラヴ・ソング」。 「の」を抜くことによって、一つのラヴ・ソングのことだけでなく、 人が生きているこの世界すべてが小説の対象になった。 思いがけない形で遺されたラヴ・ソングを思いがけない人物が歌うことになり、 それを家族が聴いている。読者が聴いている。 この世界が聴いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 熟睡する女性の一例
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    熟睡できることは力だ 不思議なタイトルの短篇であり、様々に解釈できそうなストーリーだ。 片岡義男の小説群は、美人しか登場しない、 というおそるべき特質を備えているが、 彼女たちがことごとく警戒心を欠いている、 というのも共通した特質である。 ここに登場する女性もまた、 遊んだのでも遊ばれたのでもなく、執着はなく しかし電話をしよう、という意志があり といってわだかまりがあるわけでもない、という そのバランス、その強さが、彼女の熟睡に現れている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 一日じゅう空を見ていた
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    最高の贈りものは時間である 一日じゅう空を見ていることを可能にするもの、 それも最高の条件で見続けることを可能にするのはいかなる状況か、ということをこの小説は描いている。 どんな高価なプレゼントよりも記憶に残り、消費や購買とも無縁なその成り行き。 読者の皆さんもまた、出典を明らかにすることなく この短篇とそっくり同じ一日を過ごしてみるとよいかもしれません。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • こちらは雪だと彼女に伝えてくれ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    名前のよく似た2人の女性 名前を構成する漢字が1文字だけ違っていて、年齢は同じ。 そして何より、2人ともとびきりすばらしい女性、 というのが、1人の男を挟んでてあちらとこちらにいる。 さて男はどうするのか。 片岡義男の小説においては、こうした状況はさして困ったことではない。 むしろ、晴れやかなことである場合が多い。 ラストの成り行きはいささかご愛嬌だろう。 三角関係が美味なサンドイッチになるのもいいが、 雪の日本と南の島に分かれるのも悪くない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 水瓜を射つ女
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    女に二言はない 明解極まりない短篇小説である。 アメリカでは、日本と違い、一定の手続きを経れば、誰でも銃を手にすることができる。 射撃の対象となったものは、よほど堅固な物質か、もしくは柔らかすぎる物質を除いて ひとたまりもなくその存在を崩壊させるだろう。 そこでは、何であれ水瓜みたいなモノであるほかはない。 ここでは女は、たしかに水瓜を射る。 水瓜「も」、というべきか。 「水瓜を撃つの」と言った女に、二言はない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 缶ビールのロマンス
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ロマンスは一人で オートバイで長距離を移動するなら電車やバスなどの移動手段と違い、 時には先に進めないアクシデントが起こり、予定外の遅れが生じることもある。 しかし主人公の「ぼく」は、その予定外の遅れを半ば以上意図して行い 恋人と会う時間を先延ばしにしている。 会いたくないのか? といえば、すこし違うだろう。 今、彼は違う種類のロマンスがほしいのだ。 いつでも、どこでも、そしていくらでも缶ビールを飲むという、平凡で最高のロマンスを。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 真実の部屋 上
    完結
    -
    全2巻330~770円 (税込)
    男は人知らぬ深い森の中に建つ不思議な建造物の一室で目を覚ます。一体誰が…何のために…そしてここは何処なのか? 愛する家族の元へ帰還しようと動き出した男の前に、次々と立ちはだかる無数の謎と明かされる衝撃の事実。自分が何者なのかも理解できぬまま、同じ運命を背負ったの仲間と共に、隠された意図を頼りに、真実を探す旅へと向かった。 迎えくる数々の困難を乗り越え、男が手にした「真実」とは?
  • 俺のハートがNOと言う
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    俺のハートがNOと言い、彼女の返事もNOと言う。 音大を中退し、才能はあるものの芽が出ず、宙ぶらりんな25歳のバンドマンが2人。 東京を離れ、束の間、東北の地方都市にドサ回り興行に出る。 短いなりに、いちおう、安い下宿を借りての生活だ。 そこへある日、ホステスの女が加わる。 女が1人に男が2人。起こるべくして事が起こり、思いがけない事態になり、男は逃げる、2人とも。 時を経て、再会。女はうらまず、すべてを決めていて、男たちは前に進めない。 いやしかし、何かが変わった、確実に。 その感触を男たちは、オートバイに乗りながら、確かめる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 水玉模様と月の光り
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    バカな男2人を、しかし女は責めてはいない。 学生の夏休み。東京からオートバイでやってきて、あまりの暑さに、シャワー浴びたさに、 分不相応なホテルに部屋を取ってしまう。 部屋があり、スナックがあり、ビールがあり、そこに彼女がやってきて、思いがけないことになった。友人を呼び出したら、また思いがけないことになった。 2つの思いがけないことのあいだに、彼女はいる。 2人の男たちの目の前に、彼女はいる。 彼女は責めてはいない、静かな悲しみが男たちをうちのめす。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ホワイト・アルバム
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    夏の個人教授 片岡義男のこれまでの短編の中で繰り返し出てくるモチーフや場面が、ここでも複数、登場する。 夏。オートバイ。路上の出会い。 年上の女。年下の男。旅。ストリッパー。 そして、片岡作品の王道(?)である「個人教授」がここにも。 これら見慣れたモチーフが組み合わされると、しかしその都度、新しい物語が生まれる。 同じようなシーンを繰り返し描いてきた片岡義男の短編は、なぜいつもあたらしいのか。 留まるのではなく、通過することを描いているからこそ、ほんの一晩、二晩の滞在の輪郭が鮮やかなものになる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 私のような女
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    可愛い方向音痴 可愛い女とは、どんな女か? 方向音痴の女だ、というのがこの小説の答えである。 方向だけではない、なにしろ、自分が乗っていたクルマの色まで忘れてしまう。 そんな女なら、迷惑もかけるだろうし、ムダにも付き合わされるだろう。 しかし中には「かわいい」と思う男もいる。 その「かわいい」と思ってくれる貴重な男は、しかし女の伴侶でもなければ恋人でもない。 ただ隣にいて、時々、「そっちじゃない」と教えてくれるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 湾岸道路
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「格好いい」と「くやしい」で生きている 1組の夫婦がいる。2人は「肉体」派だ。 片岡義男の小説がいつもそうあるように、2人の関係の齟齬をそれぞれが所持して1人でわだかまる、というようなことは一切ない。 男は妻を何十回も「美人だ」とほめちぎる。 女にも悩みはない。いささかの浪費癖があるが、だらしなさではない。 ところがある時、道が2本になった。1人に1本になった。 その唐突さの前に女が感じるのは「くやしさ」だ。 すぐれた肉体の持ち主である彼女は悲しむ前にエクササイズを自らに課し、 そして新たに再出発する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • and I Love Her
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    春から春へ。事件無き彼女の肖像。 1人の女性がいる。 この小説は、彼女の輪郭と所作だけを丁寧に追ったものだ。 彼女がどんな部屋に住み、どうやってコーヒーを飲み、クーペを運転し、どのように眠り、バルコニーにいる時の様子や風を受けた時の表情などが、積み重ねられていく。 彼女には雨と月の光がよく似合う。 小説とは、ドラマや事件、葛藤とその克服、といった起伏が必要だ、 という思い込みを、この作品はワイパーできれいに払拭する。 それも、長篇と読んで差し支えない長さを擁して。 1点、注意を。「あとがき」は絶対に先に読まないこと。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • Ten Years After
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    赤いクーペと2台の750 3人いる。女が1人と男が2人。 この組み合わせによる男女3人のストーリーは、片岡義男の小説においては普遍的なものだ。 男と女だから然るべき出来事があり、 そこから三角関係に落ちていかない、という成り行きも、片岡義男が愛する普遍的な何事かである。 そしてこの小説には時間の経過がある。10年ののちの再会という、厳粛な美しさがある。 注意。この小説においても、「あとがき」を絶対に先に読まないこと。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • Dm16小節
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    3月になれば、彼女は 28歳、女性。独身。テレビ番組の制作助手。 彼女の仕事ぶりは完璧だ。 番組制作上、重要な取材の段取りを付け、 自分はけっして目立たず、しかし同行し、サポートに徹する。 多忙と集中の中に、常に彼女はある。 しかしその忙しい日々の流れを自分の意志で止め、 「過去」に向き合うのもまた彼女の流儀だ。 そこにあるのはかつての夫の姿であり、そして雛祭りの音楽だ。 だいじょうぶ。3月になれば彼女は、そのことを思い出す。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • D7のワルツ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    友情の寝正月 2人の女性がいる。 2人とも自立していて、仕事が忙しく、いつも多忙だ。 そんな彼女たちにとって、正月は拍子抜けするようなエアポケットで、久々に2人はゆっくりとコーヒーを飲み、会話を交わす。 しかしそこで、ちょっとした異変が起こる。 でもその小さな苦しみは、すぐに解決するはずだ。 彼女たちの準備とボーイフレンドと友情のために。 佳き1年の始まりが、ここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • マイ・ダーリン・ハンバーガー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ご法度、マイ・ダーリン! 社会、というものを動かしているのが主に大人であるなら、そこにあるルールもまた、大人が決めたものだろう。 18歳は大人の入口で不安定な年齢だ。 クラブのホステスと従業員。 その場にフィットしなければ、はじき出されることもある。 でも、心配ない。2人にはのしかかる過去もなく、プレッシャーとなるむやみな夢もなく、 しかしふとした行きがかりの縁と、18歳でも買えるマスタングとハンバーガーがある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 九月の雨
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    貼らない写真と送らない手紙 2人には、大切な機器がある。 少女は、カメラだ。日々、関心のおもむくままにスナップを撮り、日記帳に貼り付けていく。 少年は、オートバイ。親も知らないうちに入手して、それに乗って旅に出ようとしている。 少年が少女にオートバイを見せたのは、旅立ちの日=別れの日、だった。 その写真は、まだ貼られていない。まだ彼には送られていない。 宙ぶらりんな時間の中に、2人の未来はある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • サマータイム・ブルー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    待つ女のままで、いてなるものか。 男はロード・ライダー。 夏のあいだ、あちこちの小さな町を気ままに走り抜けている。 一緒に海へ行くはずだった、と言うのは女。 男は毎日公衆電話から電話をかけ、必ず女は自宅にいる。 秋風が吹いたら東京へ帰る、と男が言う言葉は、はたして本当か? 待つことしかできないのか? そうではないだろう。 ラスト、家にいてもできる「待つこと」以外の生き方を、彼女はようやく見つける。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • タイトル・バック
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    夫婦なのに外で会う、絵になる2人。 女は大阪、男は東京。 夫婦の別居といえば誰しもネガティブな関係を想像するが、情熱を傾けた仕事のために、納得して別々にいる2人はめずらしい。 男性視点と女性視点の章が交互に現れ、 2人は本当に夫婦? どこかでクロスするの? と思わせる構成も見事である。 離れて暮らし、3週間もの時間を開けて外で落ち合う2人は、 そのままタイトル・バックに収まる鮮度に満ちている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 彼女が風に吹かれた場合
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    私はいつも幸せ 片岡義男の小説においては、不美人が登場しないのと同じように、嫉妬が登場しない。 いや、登場人物たちはその感情を宿してはいるはずなのだが、その痕跡は見事に消されている、 あるいは次なるアクションによってどこかへ飛んでしまう。 女と男は、それぞれの時間、確実に1対1の関係にひたりながら、その外側に別の1対1を持つ。そのことを隠しもせずに。 結婚も恋愛も出産も、陰りを持つことはない。 そこにはいつも風が吹いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • エンド・マークから始まる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    飛び出す女、残される男。 かつての同級生で年齢も同じ2人の女が、再会する。 飛び出してきた1人の女を、もう1人の女が迎える。 迎えた家には男もいて、しかしそれはさして問題にならない。 ところがしばし時間が経って、女はまた出て行く。 今度は違う方の女だ。迎えたほうの女が今度は出て行く。 トラブルが起きたわけでもないのに。 女と男の組み合わせが変わる? 感情はどうなる? しかし少なくともこれは三角関係とは違う。 古い何かが終わって、新しい何かが今から始まるのだ。 エンド・マークから出発だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • かく云へば
    完結
    -
    全1巻550円 (税込)
    俳諧師であり宝井其角研究家である二上貴夫(フタカミキフウ)の第二句集。凡そ二百五十句を集録。  作者は、平成十八年に第一句集『?天(しゅうてん)』を刊行し、平成二十四年、俳誌『詩あきんど』を創刊したが、この『?天』以後『詩あきんど』以前の凡そ七年間をまとめた集である。  作者にとっての、この七年間のおおきな出来事は加藤郁乎氏らと共に「宝井其角三百回忌」を江戸東京博物館にて催し、其角の墓がある神奈川県伊勢原市「上行寺」にて修したことである。これを機縁に、毎年上行寺にて四月の第一土曜日に「晋翁忌俳諧興行」を催すことになり、平成二十七年現在、十回を数えた。 【目次】 秦野八景 九句 吊 し 雛 七十八句 水 引 い て 五十七句 白襲 十六句 体 温 も 三十一句 か く 云 へ ば 四十七句 一九六八~九年 十二句 解題 二上貴夫氏の俳句「かく云へば」管見 福島壺春 プロフィール 奥付 【著者】 二上貴夫:一九四七年、佐賀県鹿島市生まれ。 一九九一~一九九七年、『俳諧接心』岡本星女主宰より、十二句連句の手解きを受ける。 一九九三~一九九六年、『草の花』(藤田あけ烏主宰)へ投句。 一九九六~二〇〇五年、『紫薇』の同人になり、澁谷道主宰より、非懐紙連句の手解きを受ける。 二〇〇一年『わいわい連句遊び―連句文芸賞への誘い』を刊行。 二〇〇六年、其角三百回忌を加藤郁乎氏らと催す。 二〇〇九~二〇一三年、『ぶるうまりん』(須藤徹主宰)へ投句。 二〇一二年九月、俳誌『詩あきんど』を創刊。
  • クロスロード
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼女たちは偶然、トウキョウで会い、 またそれぞれの人生に分かれた。 東京・銀座四丁目交差点付近。 休日のこのあたりは、歩行者天国だ。 雑多な人々が行きかう路上に この時ばかり出された簡易テーブルがあり、 ハンバーガーを手にした2人の女性がたまたま相席になった。 2人はかつて、それぞれの仕方で自然の脅威を目の当たりにし、 古い自分を脱ぎ捨ててきた存在だ。 それが偶然、自然から最も遠く離れたように見える日曜日の銀座で、 周囲に溶け込まず、しかし浮き上がりもせず ごく控えめに、微笑と共に出会ううつくしい物語。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ブルースのブランケットにくるまって
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    久しぶり、と言わずに彼女を迎えてくれるのは そのオリーブ色のブランケットだけ。 シンガソングライターの自伝を出版するための、ゴーストライター。 その仕事を引き受けた彼女は、 インタビューと取材を兼ねて様々な土地への コンサートツアーに同行する。 仕事の仕方は極めて丁寧かつ優秀だ。 そして何人もの男たちが、短い逢瀬のためにホテルの部屋を訪ねてくる。 そうした日々を経て、束の間、東京の自宅マンションに戻った彼女を やさしく迎え入れるブランケットにくるまり、 ようやく彼女は深い眠りに落ちる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。83年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • よりかかってドライ・ジン
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    男は、バカばかり。 彼女を癒すのは、ドライジンと 心優しきゲイ・ボーイ あからさまだったり、まわりくどかったり。 ホステス、という職業をやっている女性の許には 様々な男たちが寄ってくる。 律儀に対応していると、車で連れ出されたり、 ホテルに連れ込まれたり。 やけになって雨の中、放り出されたり。 五月の連休でさえ、つぶそうとしてくる男たちから彼女を解放してくれるのは、 ドライジンと心優しきゲイ・ボーイだけだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。82年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 約束
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    誰と約束を交わしたか、ではなく 交わした、という事実と行為だけが問題である。 読みすすめるにしたがって、「これもしかして・・・・・・」と、 嫌な予感が兆すかもしれない。 その予感は・・・・・・ 当たります。 そこにそのような道具があり、 「約束」という言葉が発された以上、行為は遂行される。 たとえその言葉が、当事者同士で正しく共有されていなくても。 そして舞台は、周囲に誰もいない、誰も音を聞いていない荒野。 失敗のしようもなく、完璧である。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。81年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • バドワイザーの8オンス罐
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    あっけらかん、と、8オンス罐 仲の良い女ともだち、2人。ちょっと久々に会う週末。 楽しく飲んでいるうちに、興が乗って、 知人の男性を呼び出すことになった。 男はステーション・ワゴンを持っていて、 海を見たくなったら横浜へ。車の中では飲みっぱなしだ。 女性2人が、時間をおいて酔いつぶれても、 男が面倒をみることになろうとも、 あっけらかんと屈託のない時間が過ぎていく。 たとえ二日酔いになったって、冷蔵庫には、 自分の好きな8オンス罐がある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。80年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 昨日は雨を聴いた
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    堂々めぐりの言葉の果てに なぜふと、唐突な言葉が出てしまうのか。 浮気。この、凡庸にして普遍的な、 みじめな、疲労感のつのる、男女間の出来事。 言葉は常に行為よりも遅れているから、 言い訳も、釈明も、解決の提示も、嘆願も、 互いの言い分も、堂々めぐりを繰り返す運命にある。 そのような倦んだ言葉のつらなりの中で、 男はふと、あらぬ言葉を口にしてしまう。 何一つ決定的な事柄にはつながらない平凡な、 しかし不思議な言葉を、ふとつぶやいてしまう。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。79年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 夕陽に赤い帆
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    やがてすべてが終わり、 ヨットの白い帆は夕陽に染まる。 プラターズやナット・キング・コール、フランク永井らの歌唱でも知られるジャズのスタンダード・ナンバーと同じタイトルを持つ短編。 ここに登場するのは堅気ではない、ヤクザな人々だ。 組織からの現金強奪、という物騒な案件に かつての恋人との再会と、それにまつわる情がからみあう。 男は果敢に行動に出る。 そしてハードな仕事をすべて終えた、はずが そこが終わりではなかった。もう1つ、あった。 そのもう1つも終えた時、ようやくホテルに赤い夕陽が差し込んでくる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。78年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 結婚記念日
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    祝福の日には、 出席者全員に祝砲を。 高原のスロープに立っている優美なヴァケーション・ハウス。 夫妻の結婚記念日を祝うため、7人が集まっている。 残る1人も、まもなくやってくるだろう。 ハウスについての、そしてふるまわれる料理についての詳細な説明が書き込まれ、また、ラッキー・ストライクの歴史をめぐる いささかスノッブな会話が取り交わされる。 空虚にも思えるきらびやかさが、何か別の物事が着々と進行していることを感じさせる。 そしてほら、8人目がいま、到着した。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。77年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 限りなき夏1
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    それぞれのエンドレス・サマーを描く試みは、 今のところ未完のままだ。 タイトルに「1」とあるように、この小説は さらに長大になる構想のなかにあった。 いや、「あった」ではなく「ある」というべきか。 書かれてから30年以上が経過した今、わかっているのは、 これが未完の小説の一部に過ぎない、ということである。 小説の企みは「あとがき」に簡潔に書かれている。 生きることと波乗りの区別をつけない人々にとって、 いま、生きている夏は過去の夏ともつながっており、 そしてこの先にも伸びていく永遠の夏である、という困難が、 この小説を未完にしている最大の原因なのかもしれない。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 吹いていく風のバラッド
    完結
    4.0
    全1巻275円 (税込)
    連続しない、いくつもの美しいシーン。 そこに吹いている、すべて違う風。 そして、コーヒーは2杯だ。 長さとしては長編小説だが、一続きの物語があるわけではない。 「あとがき」が簡潔に説明しているように エッセイのような、小説のような、様々に印象的な鮮やかなシーンを、前後の文脈なく、28編、集めている。 ごくささやかな共通項として、どの掌編にも風が、あるいは風の気配がある。 夜の、ビジネス街の、電話ボックスの、大きな公園の、少年の、別れ話の、プールの、汚染されて住めなくなった島の、その風。 風にはコーヒーがよく似合う。 できれば、たっぷりと2杯だ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 瞬間最大風速
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    渡り鳥 ミーツ キャデラック。 その成り行きは台風とともに。 それまで無関係だった男女が路上で出会う。 片岡義男の黄金パターンが遺憾なく発揮された中編小説。 女は、様々な土地を回っている渡り鳥の歌手。 男は、キャデラックを札幌の友人まで返しに行く途上の身。 その2人の出会いは、速度の遅い、しかし猛烈な 台風の接近、進行、通過とともにある。 過酷、と言って差し支えない状況をともに過ごした 2人のその後は果たして? 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。89年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • どうぞお入り、外は雨
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    これからはひとりになるのだから、 彼女は路線バスを選んだ。 18歳。未成年ではあるが、車の運転は可能な 大人への入り口に立った年齢だ。 ある雨の夜、2人の18歳には、楽しい偶然があった。 同じような環境に暮らす2人は心を許しあった。 やがて彼女のほうの生活環境は、新たな次元に入る。 彼女はほんとうに1人になるのだ。 また別の雨の夜。今度は彼女は、もう1人の18歳には頼らない。 1人で路線バスを選んだ。ただし、彼にはしっかり手を振りながら。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。88年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 最終夜行寝台
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    そうしよう、と思ったら、そうしてしまう。 行き着く先は、やさしい最終夜行寝台。 タイトルが示すように最終夜行寝台が舞台にはなっているが、 おそらく、読む前に想像できるイメージとは違っているはず。 その寝台には、女が1人で乗る。 そして、女が立て続けに酒を飲む、という時の 感情の動きや事の顛末なども、 これまで多くの物語が紡いできたものとは違っているだろう。 最終夜行寝台は、きちんと定刻ごおりに任務を遂行するはずだ。 そして寝台のベッドは、上段ではなく下段で、ほんとうによかった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。87年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ブルー・ムーン
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    別れ話は3度。そして 空には、ブルー・ムーン。 女と男がいる。 女が「終わりにしたい」という。男は「なぜ?」と聞く。 人類が、これまで無限に繰り返してきた行為だ。 いったい、平行線ではない別れ話というものが、あるだろうか? 終わりにすることと嫌いになることは違う、という言葉がそこにあり、 しかしその言葉は2人のあいだで共有されない。 されないまま、しかし2人は3度、話すために会う。 一度目と二度目は雨。しかし三度目は晴れた。 すべてを終えて、窓から見えるのは、きれいなブルー・ムーン。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。86年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ステーション・ワゴン
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ピカピカのステーション・ワゴンは、 宇宙からやってきて、やがて海に還っていく。 福音館書店発行の雑誌『子どもの館』(1980年)に発表された短編。 自動車をテーマにした片岡義男ならではの一編だが ここでは12歳の少年が主人公であり、 少年がスクールバスという、少年にとって戦場のような社会の中から 光り輝くステーション・ワゴンを目撃する視点がおもしろい。 やがて彼は、大胆にもそのステーション・ワゴンのハンドルを握るのだが およそ現実離れしたその乗り物は、 意外な、いや、もしかすると必然的にそうなるしかない、 というような結末を迎えることになる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。85年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 波が呼ぶんだよ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    波が呼んだら、どこまでも行く。 幸雄と貴志。波乗りを何よりも愛する2人は そのあいだに麻衣子、という気になる存在をはさみながらも 常に海を、波を第一に考えることにおいて共通している。 ある時2人は、小さな町の映画館で、ポルノ仕立ての安い映画を観た。 そこに彼らが観たものは、他の観客がまるで目にとめないもの、 画面を横に抜けていく完璧なチューブ波だ。 素朴すぎる情熱と手段で、 彼らはその波が生起する場所を、ついに見つける。 あとはもう、いつまでもそこに留まるだけだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • いまから一〇〇年あと
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    離婚暦、4年の歳月、初夏の東京。 2人のシャイネスは、言葉で防波堤を築く。 女が営む店の名前はウェンディ。 ビーチボーイズのナンバーから取られている。 いちばん大切な存在だったのに、 去ってしまったウェンディという女の子を歌った曲だ。 時々店に顔を出す男は、ここへ来て4年になる。離婚暦アリ。 彼女の誕生日に、男は、金がなくて贈り物ができない 若い男性が登場する映画の話をしたりする。 店を閉め、外を歩き、2人は今までにない段階に入る。 それを「幸せ」と呼ぶことをためらいながら、体と言葉を重ねていく。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。83年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ハイビスカス・ジャム
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    大きな音で、静かな仕事。 2つの赤がこの小説の主役だ。 片岡義男の小説のアクションの中には、いくつかの強靭な定型がある。 この小説もその1つを踏襲している。 全長7メートル近いオールズモービル・トロナード。 豪勢に見えすぎないことに金をかけた邸宅。 プールには全裸で泳ぐ女性。 ただ小さな予想外として、ハイビスカス・ジャムがあった。 予定された1つの赤に加えて、 もう1つの赤が、物語には加わった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。82年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 港町しぐれた
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ふられる時には、共に移動してみる、 というやり方もある。 女と男がいて、別れが生じようとしている。 よくある話だ。別れは時に、唐突に訪れる。 別れ話、とは言うけれど、どちらかが決めてしまったら 決意はなかなか覆らない。 2人にとっての最後の時間を、日常ではなく、 列車や、ホテルや、自動車の中で過ごすことで 時間ばかりでなく、互いの中を流れていく何かがあるだろう。 もう二度と会わないのだとしても、 その「流れ」を2人はその時、確かに共有している。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。81年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 彼のお気にいり
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    すべての信号が赤の日と、 すべての信号がグリーンの日。 オートバイで走る、ということによってしか 知りえない人の魅力、というものがあるのだろう。 男は前を走る赤いオープン・カーの後ろに付いたまま離れない。 女も、普通なら気味の悪い尾行と思えるこの行為が なぜかしら心地いい。こうして2人は路上で出会った。 路上の出会い。それは、片岡義男の小説の黄金のパターンだ。 その日、彼女の自動車はそのボディの色のように ことごとく赤信号で止められた。だがその1年後。 今度はことごとく信号がグリーンの道を走る運命にある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。80年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 人魚はクールにグッドバイ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    アイドルだって、勝手にやってます。 アメリカのショービズの世界ならいざしらず 日本の芸能界、という所はいささか特殊で まさに偶像としてのアイドルがいまだに健在だ。 彼女(たち)とファンのあいだには 通常、メディアを通じてコントロールされたイメージしか共有されない。 しかし、アイドルも人間である以上、綻びはある。 その綻びは、片岡義男の小説なら、 路上と、エンジンの着いた乗り物の中に見つかるだろう。 世間が見れば事件になりそうな出来事も クールな18歳が係われば、楽しい寄り道になるはずだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。79年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • オレンジ・ペコ、午前八時
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ひとりの朝、はじまりの朝。 祝福には、オレンジ・ペコがにつかわしい。 ユミコ、という女性の名前はありふれているが、 漢字で表記すればいくつもの種類がある。 自分と同じ発音のユミコと、 ありがたくない場所で遭遇してしまった主人公・夕美子は、 自らの将来について、断固とした決意に踏み切る。 あとは自動車で、列車で、それを実行するだけだ。 それらをすっかり片付けたら、彼女には、 オレンジ・ペコの時間が待っている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。78年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ときには星の下で眠る
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    誰もが例外なく、移ろいゆくものたち。 天空の星座のように。 夏のイメージが強い片岡義男の小説にあって この物語は明確に秋を舞台としている。 「時には星の下で眠る」という短編が先行してあり それが北米大陸を舞台としていたのに対し、 こちらは明確に、日本の、高原の秋だ。 オートバイを愛する者同士の4年ぶりの再会を介して 人が4年、という時間を生きることの、いくつもの模様が描かれる。 そこにはいくつも死があり、不在がある。 生きている者たちも紅葉の色の変化のように確実に変わってゆく。 そして時には友とともに、星の下で眠る。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。77年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 翔びなさい、と星が言う
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    見る前に翔べ、と悪い星がささやく。 ティーン向けのレーベルであるコバルト文庫に収録された一編。 冒頭、朝の新宿駅のシーンに象徴されるように 17歳の女子高生2人は、朝のラッシュ・アワーで怒涛のように流れてくる人波に逆行し、そこから外れて生きる存在として描かれている。 通常のヘテロセクシュアルからの逸脱。死への傾斜。 生まれてくるべき星は、ここではなかったのかもしれない。 だから、「翔びなさい」と別の星が言う。 しかし彼女は、この星の現実の中でしか、飛ぶことはできないのだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 味噌汁は朝のブルース
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    2人の関係がどこでわかるか? 会話だ、と言ってみたい。 ロクでもない男、と言ってもいいかもしれない。 販売促進課に勤めるサラリーマンだ。 片岡義男の小説の多くの登場人物(男)がそうであるように、ここでも年齢は27歳。 恋人らしき女のほうは、実に平凡極まりない名前で、 しかしいい女。のように見えて・・・・・・ さてどうだろうか。 凡庸なようで、停滞のない会話。共に迎える朝。 とりあえず、それだけあれば、なんとかなる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 1963年、土曜日、午後
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    1980年、夜、霧の中の別れ。 さて今日は、何曜日だろう? 片岡義男の短編小説では、男女の出会いは路上で起きる。 それが再会、としての出会いであれば しかも完璧に偶然のそれであれば、 物語はめまぐるしく時をかけめぐる。とりわけ、過去の方へ。 路上での、偶然の、実に17年ぶりの邂逅。 2人には、これもまた偶然に、通りかかった友人によって あの日のスナップが残されていた。 それを所持しているのは女のほうだ。 しかし時はとまらない。男はオートバイ、女はマーキュリーで1人を生きる。 やがて、あたりを取り囲んだ濃い霧の向こうに去っていく。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 雨の伝説
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    レインメーカー・アイランドの奇跡に 立ち会う幸福。 雨の日のほうが多く、 通称“レインメーカー・アイランド”と呼ばれるポリネシアの島。 広い場所が好きで、ただ旅をする目的だけで来た青年・西本は 偶然、その島で皆既日食が見られるかもしれないことを聞く。 島に渡った彼以外の観光客は、ほとんどがそれ目当てなのだ。 しかし、あまりにも雨が多いため、 見られる確率は3%もないだろうとメディアは告げる。 にもかかわらず、「雨の伝説」に支えられて奇跡は起きた。 島と、雨と、日食と、当地に生きるシンプルで強い人々の 濃密な描写の数々が堪能できる美しい一編。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 高原のティー・タイム
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    高原の静かなティー・タイムは、 にぎやかな劇を挟んで、再び画面にあらわれる。 小説においては、このような物語も可能なのか? そうだ、むろん、十分に可能だ、とでもいうような一編。 最初と最後に、1つの視点がある。 その視点はフィクスで、テレビ画面を観ている。 紅茶のCMが表れる。秋の高原のティー・タイムだ。 CMが終わったら、番組が始まるだろう。 こちらはうってかわってにぎやかだ。うるさいほど。 番組の背後にあるアクションの積み重ねも、せわしない。 やがて、人によっては「惨劇」と呼びたくなる場面を映したあと テレビは再び、高原のティー・タイムに戻る。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ハッピー・エンディング
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    女と男とカーチェイスと 拳銃があればすなわち、映画だ。 映画を小説で実行した、という構えを持つ短編。 図体の大きい、目立ちすぎる車をまず登場させ、 そこで女と男のささやかな再会劇がある。 男の素直な、あるいは幼稚な、と言ってもいい願望が語られ、 女の現在の願望、状況が語られ、 あっさりとピストルが導入され、 あとは適切にシーンごとにアクションとショットを重ねれば 物語は最後の場面に突入する。 主役2人にとっては、極上のハッピー・エンディングだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 白い町
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    なにもかも白のせい。 男は死に物狂いで赤を引っ張り出す。 会話と拳銃だけで構成された、シンプル極まりない短編。 いや、その2つの前に、大前提として白い町がある。 エーゲ海を思わせる青い海に、すべての建物が白い町。 男はそこにいる。何もかもが白い。圧倒的に、狂気の白だ。 白が失われる夕刻以降の時刻と真っ赤な自分の車だけが救い。 恋人ではなく、ただ性的な関係を続けるだけの女と 連日電話をし、彼は苛立ちを募らせる。 そして2人が会うその日。悲劇の赤、男にとっては脱出の赤がやってくる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ラジオが泣いた夜
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ラジオドラマが現実ではないように、 この小説もまた現実ではない。 クールで、どこか情緒的。 タイトルを見て、そんなイメージが先行したら 相当に無残な結果になるはずだ。 起こることは、起こる。そこに善悪はない。 ロクでもない男たちはどこにでもいるのだ。 きっと風向きが変わるだろう、という淡い期待に 作家は応えない。 これは小説だから、むろん現実ではない。 たとえ現実にこのようなことが日々起きていても。 そして読者にはどんな感想も許される。 「なんて不愉快な小説なんだ」とかなんとか。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 至近距離
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    容赦なき30発。おそらくは、 リベンジの範囲を超えた、怒りの銃弾。 片岡義男の全作品中でも、 おそらく最もストレートで、待ったなしの一編だろう。 沖縄を思わせる場所で、米兵がトラブルを起こす。 現実に歴史の中で起きている出来事を、この短編も引き継いでいる。 やられたら、やりかえす。必要以上に。徹底的に。 タイトルから想像できるとおりの、いや、 それ以上の場面が展開される。 この一編を現在のアメリカ兵が読んだら、 果たしてどんな感想を持つだろうか。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 花が濡れてます
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    やめろ、って風が言った、 と、彼女は言った。 予兆は冒頭のシーンから漂っている。 その後、房総の自然の中を、物語が進んでいくうち いつしか忘れそうになる頃、ああ、やっぱり。 予兆は現実のものとなる。 彼女が一度決めたことはくつがえらない。 彼女は自分に嘘をつきたくないが すんなり通す彼でも世間でもないだろう。 花も瞳も、季節の中で濡れている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 俺を起こして、さよならと言った
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    高原のホテル。 「さよなら」の言葉に、寄り添う2人。 クラブのホステスとサラリーマンの客。 ありふれた組み合わせだが、 それが片岡義男の短編の登場人物であるなら、 その後は同行二人になるはずだ。 しかし、ここにロマンスはない。 大人の優しさに満ちてはいても、それはロマンスではない。 ハードボイルドな響きを持つタイトルだが、 「さよなら」の発話者は、意外な人物だ。 それだけに男は深い傷を負う。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • トウキョウベイ・ブルース
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「地べたでもなくて、空中でもないところ」を 彼ら、彼女らは、季節は、めぐっていく。 サンダーバード。オールズモービル。 リンカン・コンチネンタル・マーク4。 この日本、という国を走るにはいささか大きいクルマたちが 梅雨前線が停滞する東京湾岸をすべっていく。 18歳か19歳。一番の年かさでも、せいぜい24歳。 1人の死に始まり、出会い、いくつかの別れ、旅立ちがある。 すべては時とともに移ろっていく。 青春期から大人へ移行する時期の痛みを 東京湾岸の風景とともにやさしく抱きとめた長編小説。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • コバルト・ブルー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    その海の波を体験することを通して 彼女は彼を理解しようとする。 物語は悲劇から始まる。 道路まで大きく浸入してくる巨大な波に 1人の、17歳のライダーが飲み込まれたのだ。 彼の仲間たち、とりわけ恋人であった彼女は 自らも750CCのオートバイに乗り、 あの日と同じ波を自分もくらうことを強く望む。 そして1年後。その日はやってくる。 そこで彼らと彼女の身に起きたことは? 彼女はかつての恋人に、はたしてどう向き合うのか。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ワン・キッス
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ワン・キッスは、最後のキス。 片岡義男の小説において 「彼女」と「彼」は偶然に出会う。 昨日までは互いの存在をまるで知らなかった同士だ。 夜のスナック。同じ曲をジュークボックスでかける、という偶然。 帰る家がない、という出来過ぎの状況。 夜の東京の、遊歩道。世田谷、環七、環八あたり。 2人が歩く、昼とは違う表情の東京が美しい。 やがて偶然(またしても偶然だ)に自転車を手に入れる。 自転車によって、2人の移動エリアは一気に拡大する。 そしてワン・キッス。それがまさかの、最後のキス。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 愛してるなんてとても言えない
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    愛してるなんて とても言えない と、言うとき、彼女が語っていること。 彼女と彼の出会い。またしてもそれは路上だ。 片岡義男の黄金のパターンがここでも踏襲される。 トラブルの渦中にある彼女を拾い、とっさに オートバイに乗せて走る。逃げる。 逃げたら、ひとまず一緒に住む。 しかしそれで平穏に済むはずはなく、彼女の後ろ側にある ダークサイドとの接触は避けられない。 だから、対峙する。そして再び、逃げる。 ただ、行為があるのみ。 彼女の涙も、アクションである。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • アリゾナ・ハイウェイ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    移動する時間の長さが違えば、 別れと、別れの後の出発の仕方も違うはずだ。 ある者はロディオ・ライダー。かつて栄光に輝いた彼も 今年は惨敗、負傷し、おまけに妻は1人になりたがっている。 そのロディオ・ライダーを空港まで大きなオートバイで送り届けた 日本人青年も、西海岸から東海岸までの長い移動を 妻との別れ話にあてる、という試みの最中だ。 いっぽうで帰宅してみたら愛する妻と子は書き置きを残して 家を出てしまった、という歌を好んでいた長距離トラック・ドライヴァーは 自分も歌の内容と寸分たがわぬ人生を歩むことになる。 別れの痛みとともにある人々を慰撫するのは、 アリゾナのむき出しの荒野だけだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ロードライダー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    友よ、大陸の真ん中で逢おう。 この短編は、『月見草のテーマ』と同じテーマを宿している。 1台のオートバイが東から西へ、もう1台が西から東へ。 やがてその2台が合流する、という物語だ。 そしてこちらはその大陸版。だからスケールの種類が違う。 ハイウェイの、青空の、流れる空気の、豪雨の、 胃に流し込むオレンジジュースの、月明かりの、夜の深さの その質が日本とは異なる。 多くを語る必要はない。イカれたロードライダーであること、 ただそれだけで信じ合える男と男のストーリー。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • まっ赤に燃えるゴリラ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    シリアスさを欠いた三角関係から まっ赤に燃えるゴリラはやがて故郷に帰る。 多くの片岡作品がそうであったように、出会いは路上。 そこにはオートバイがあり、19歳の少年がいる。 年上の女がリードする。女はその筋の男の「イロ」でもある。 初夏から秋にかけての時間の流れの中で 社会から、学校からはみ出し、嫉妬を土台とした堅固な三角関係に ならない三人は、やがて二手に別れることになる。 三人のあいだには、不思議な好意と信頼がある。 さあ、ここからはそれぞれの時間だ。 ゴリラはカタギになる。まっかに燃えている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • アマンダはここに生きている
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「ただのラブ・ソング」と 「アナザー・ラブ・ソング」。 月明かりのハイウェイを、巡業用バスが走っている。 運転しているのはアマンダ。女性として、妻として、母として完璧であり、 カントリー・ミュージシャンの夫は、あらためて惚れ直している。 結果、20年前のヒットに並ぶ傑作「アナザー・ラブ・ソング」が生まれた。 だがしかし、巡業やカントリーを取り巻く様々な人々がすべて幸福なわけではない。 だからこそ、アマンダの充実した人生は輝いている。 私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの中では 事件らしい事件の起こらない地味な一編ながら、読後に深い余韻を残す作品である。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ビングのいないクリスマス
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    戦友、という間柄の2人の男にとって 悲劇は戦後になってからやってくる。 私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの一編。 今回の依頼は、行方不明になっている男を探し当てることだ。 辻褄の合わない謎の絵葉書と、男に婚約者がいたことだけを手がかりに 女性探偵のアストリッドと助手のアーロンは調査を開始する。 残念ながらしかし、何の進展も見られない。 行方不明の男は原爆投下に係わる仕事をしており その戦友を訪ねても、何の手がかりも得られない。 だが作者はあっさり、この失踪の謎を読者に明かす。 最後まで知らないのは物語の中の探偵2人だけ、という トリッキーな一編である。 【目次】 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • パステル・ホワイト
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    雪から雪へ、時は移り 始まったものは、終わる。 空から舞い落ちる、白い雪。 夏の青い空と陽射しが主流の片岡作品にあって 雪は貴重な例外だ。 しかしながら、同時にこの作家特有の「型」もここに見ることができる。 走っている男が、約束もなしに、路上で女を拾う、というパターンだ。 現実にそんなことはまずおこらない、という感想は無意味だ。 ここには出会いがあり、自然な流れがあり、喜びがあり、 時が経過して、やがて悲しみが来る。それだけだ。 そして最初と最後に、雪があった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 彼はいま羊飼い
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    流れ落ちるのを止め、 男はいま、留まって学ぶことを始まる。 延々と続く丘のつらなりの中を 1台の赤いピックアップ・トラックが走っている。 そこには女と男が乗っており、 ニューヨークからカリフォルニアをめざした長い旅の途中だ。 すぐに子供っぽい情熱を燃やしながら 何一つモノにならない男の幼稚さに女はウンザリしている。 しかし不意に、決定的な出会いがあった。羊飼いだ。 羊飼いの世界を知り、雷鳴と豪雨と、スカンクの放屁を浴びて 1週間意識不明になるという洗礼を受けて、 ようやく男は自分の道を見つける。 あくまでカリフォルニアに向かう女と別れ、 男はそこに留まって学び始める。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 再会
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    6人から5人へ。そして4人。 それが即ち、時間が経過する、ということ。 6人の男女がいる。まだ20代だが、30が目前の20代だ。 高校、大学を通じてずっと友人だった6人は 何よりも波乗りを愛することで結ばれていた。 大学を卒業し、それぞれ社会に出て、ハワイで彼らは再会する。 だがその時、彼らは5人になっている。 女3、男3の、いささかおさまりの良すぎる配分は 5人になることによって何かが崩された。 そしてここハワイで、また1人が去っていく。 青春の終わりと時の流れの残酷さ、やさしさ、そのすべてが 圧倒的な海と空と太陽とともにある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • マーマレードの朝
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    飲んで、移動して、また飲んで、移動して、 やがてマーマレードの朝。 クラブのホステスと、たまたま店に来た一介のサラリーマン。 決定すること、依頼することが女の役目であり、 引き受けること、運転することが男の役目だ。 女はアルコールを、飲む、飲む、飲む。 男は部屋に連れて行くこと、待つことくらいしかすることがない。 時間が経過し、女の懸案が済んで、正月五日。 夜ではなく、アルコールはなく、 ベーコンエッグとマーマレードを塗ったトーストと ささやかな出発の朝が来る。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 夜行ならブルースが聴こえる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    寝静まった時刻のサイレント・アクション。 目撃者は誰もいない。 パッとしないバンドのリード・ギタリスト。 彼につきまといながらも、彼という存在を、彼の音楽を 正当にこきおろす美人の女。 ドサまわりのような形で夜行に乗って北へ向かう二人をのぞいて 乗客はみな寝てしまったようだ。 その時、唐突にアクションがやってくる。 たまたま手にした道具によって。あっけなく。争いもなく。 誰も見ていないし、聴いていない。 この列車の中で、ブルースを聴いているのは果たして誰か? 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ベイル・アウト
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    海と対峙してしまった者たちにとって、 人生は射出座席(ベイル・アウト)だ。 深く、海に魅せられてしまう人間がいる。 さしあたって、その人間は2種類に分かれる。 サーフボードで海に出ていく者と 海を、サーフを、サーファーを、フィルムに収める者だ。 フィルムを撮る者はサーファーに魅せられ、 サーファーはフィルムに映った海に魅せられ、新たなチャレンジに出る。 彼らは降服の幸福を知っている者たちだ。 やがてその中のある者は、南太平洋の彼方へと消えて行く。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • シュガー・トレイン
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    最後のサーフが消えるとき、 彼女に巨大なサーフがやってくる。 美しく、大きな波で知られた島は、変わろうとしている。 火力発電に伴うコンクリート桶の建設が、 景観ばかりでなく、ついにはサーフそのものを消してしまう。 抗いようもなく進行していくその流れは、 誰が善で誰が悪という単純さを許さない過酷さで かつて走っていた蒸気機関車の復活にも火をつける。 島そのものが持つ歴史、そこに暮らす人々の知恵から生まれる そうした一連の動きが、ある時、一人の女性の身心を直撃する。 それは慶賀すべきことであると同時にパニックに近い事態でもあり やはり善悪の向こう側にある荒々しさに満ちている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 時には星の下で眠る
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    互いの明日が、まるで違う道になろうとも、 人は時に、星の下で眠る。 21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの一篇。 今度のマッケルウェイは、ついてない。 不意にとばっちりをくらう羽目になるのだ。 それも二度。二度とも銃弾が飛び交うハードな状況だ。 とある偶然から、クルマを運ぶ役割を引き受けたかと思うと 友人が犯罪に手を染め、手錠につながれるシーンに居合わせたりする。 生きていくことのままならなさ、誰もが明日をも知れぬ存在であることを マッケルウェイは身を持って知ることになるだろう。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 心をこめてカボチャ畑にすわる
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    思い出してみてほしい。 どこかの上に、心をこめてすわったことなんてあっただろうか? サンダンス。アメリカ西部開拓時代に生き、 伝説的な強盗、アウトローとして知られるその男と 同じ名前を付けられてしまった少年はなんとインディアンだ。 彼はガス・ステーションと簡易食堂を兼ねたような店を ほぼ1人で切り盛りしている。 囚人。囚人を護送する刑事。病気の少女。ヒッチハイカー。 てんでばらばらの女たち男たちが店に立ち寄り テキパキとサンダンスは仕事をこなしていく。 ここには、声高なインディアン擁護も社会批判もない。 ただ「心をこめて」カボチャ畑にすわることを 白人たちがしないだけである。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 森から出てこなかった男
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    生命とはなにか、自分とはなにか。 人はその答えを、大自然を学びつくすことから得ようと試みる。 片岡義男の作品の中にはしばしば、北米大陸の自然を相手に 文明を最小限に切り詰め、自給自足の生活をおくる人々が現れる。 これもまさしくその系譜につらなる短編だ。 ティーンエージャーの頃から、シエラ・ネヴァダの大自然こそ 自分が身を置くべき場所だという天啓を得て、14年の歳月を過ごし、 その後、アラスカに移動して志を同じくする仲間たちと 山荘を作った男がこの小説の主人公だ。そこにはおそらく ヘンリー・デヴィッド・ソローや、シエラ・ネヴァダの大自然を 守ることに一生をかけたジョン・ミューアの魂がこだましている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • スイート・バイ・アンド・バイ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    消えようとする土地に向かって、 1人の青年、という未来がやってくる。 アメリカ合衆国は若い国だ。 世代交代や文明の爪あとによって 土地や生活の知恵が消滅の危機に瀕しても まだまだ伝統は生々しさを失ってはいない。 土地を、知恵を、自給自足の生活を学びにやってくるのは いわば「体制側」=国立公園管理局の若者1人。 これからは国家と村人とが対立するのではなく 立場の違う人間と人間が手を携えて、かけがえのないものを守っていく。 作者不詳のゴスペルのタイトル 「In the sweet by and by」(やがて良くなるだろう)のように。 青年の若さは、そのように希望を託された未来の象徴としてある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 汽車に手を振った少女の物語
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    やってきては去っていく汽車に 手を振ることで輝く一生がある。 サザン・パシフィック鉄道の定期貨物列車で働く男たちは タフで、ユーモアを解し、人に温かく そしてみな、クッキーが大好物だ。 貴重な荷物を運んでくる彼らには、小さな小屋に住む2人の女性から とっておきのクッキーと熱いコーヒーがふるまわれるはずだ。 彼らもまた、彼女たちとは仕事の域を超えた付き合いがある。 去り行く汽車に手を振る、そのシンプルで嘘のないふるまいが 人の一生の長さをそのまま祝福し、手を振る側も振られる側も 等しく幸福の中にある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • スターダスト・ハイウエイ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    移動し続けることのやすらぎ、 未知の故郷のようなハイウェイ。 荒野の只中を突っ切っている巨大なハイウェイ。 多様な人間がひしめきあい、密集度が高く、 同時に、どこか虚ろにも見えてしまう大都市とは対照的に ハイウェイの周囲を形成する町はどれも小さく、 しかしそこには親密な、確かに体温を感じる人の営みがある。 ここではないどこかを求めて、いや、それも違うのかもしれない、 ただひたすら移動するために移動し続けるドライバーにとって そんな町と人々、温かい食事、星空、そして音楽が永遠の友人だ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • ムーヴィン・オン
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ミス・マージョリーの信条はただ一つ。 「動いていくこと」(ムーヴィン・オン)だけ。 21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの一編。 今回のマッケルウェイは、パトロールマンから ヒッチハイカーの老婦人を乗せてやってくれと頼まれる。 老齢でありながらヒッチハイクで長距離を移動しようと試みる彼女は やはり並の女性ではなく、今は亡き伝説のカントリー・シンガーの 恋人だったことが判明する。 道中、細心の敬意を払いつつ、昔語りに耳を傾けるマッケルウェイ。 そしてその彼女の話から、単なる昔日の回顧ではなく、 現在をムーヴィン・オンする力そのものであることを学ぶ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • アイランド・スタイル
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    アイランドとは、どのような場所か? 不気味な重低音の意味が、明らかになるその時。 小説の前半部は、夜の海だ。 星空と月明かりがあり、その絶妙の光の中で 「僕」は海と、この島と、サーフボードが完璧に調和した幸福に身を委ねる。 しかし、突然、かつて聞いたことのない重低音を海の底から聞くことになる。 それはいったい何の「前兆」か? 開発の手が伸び、変わりゆく島に、やがて すべてを押し流す決定的な出来事が訪れる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • アロハ・オエ 
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    現れては消えるのが歴史。 その歴史を映像で見る時代にわれわれは生きている。 片岡義男の処女作「白い波の荒野へ」を起点として 連作のようにして書き継がれたうちの一篇。 「いま」を象徴するハリウッド資本による最新のクリエイティヴと ハワイの歴史上、何度も繰り返された凶暴な大きな波が交錯する時 そこにエネルギーの炸裂と、人々の興奮と、 そして自ら志願して「向こう側」に消えていく人々が出現する。 もう、消えてどこにもない波を、サーファーを、人々はスクリーンに見る。 ラスト、最も人口に膾炙した曲「アロハ・オエ」が聴こえてくる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。

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