小説 - 完結作品一覧

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  • 花吐き少年と、虚ろ竜 上
    完結
    -
    全2巻330円 (税込)
    水底。そこは、虚ろ世界の底にある常闇に閉ざされた世界。虚ろ世界の頂きにある地球に照らされ、竜の陰影が踊る夜空に彩られた世界で花吐きヴィーヴォは生きている。  人の魂を灯花と呼ばれる花の結晶に還元し、転生させることができる彼は、空の世界『中ツ空』から落ちてきた虚ろ竜の卵を拾い、そこから孵った虚ろ竜の娘ヴェーロと恋に落ちる。この物語は、異世界で語られる人と竜との異類婚姻だ。
  • それでも、ハッピーエンド
    完結
    1.0
    全1巻330円 (税込)
    「卒業しても、俺らはなんも変わんないよ。」 美大を卒業して離ればなれになったあなたとわたし。理想と現実のギャップに打ちひしがれ、バックれた会社からの電話も鳴らなくなった頃に突然来たある連絡をきっかけに、わたしは再びカンバスの前に立つ...。 美しすぎた過去とも、ままならない現実とも向き合って、再び歩き出そうとする姿を繊細かつエネルギッシュに描いた現代のクリエイター・ノベル。 刊行時には俳優の成田凌、飯豊まりえらも賛辞を寄せ、映画化も決定しているデビュー作「スクロール」(講談社)、 そして収録の1篇「ファン」が松本花奈監督、本田翼主演により映像化された第2作「楽しかったよね」(講談社)などで注目を集める話題の新人作家・橋爪駿輝が、 デビュー曲「夜に駆ける」が半年足らずでYouTube1,000万回再生を突破、Spotify急上昇チャート1位やグローバルバイラルチャート入りなど多方面で注目を集めている ""小説を音楽にするユニット""YOASOBIの3rd single「ハルジオン」の原作として書き下ろした短編小説です。
  • イタコに首ったけ!
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    イタコの少女が被害者の霊を呼んで事件解決!? でも本当は、彼女はイタコでもなんでもない普通の女子高生。謎を解くのは霊能力ではなく、その閃きと推理力なのだった――。 ひょんなことから誤解を受けて、表向きは「イタコ探偵」として立ち回る羽目になってしまった少女・小春。 ある時は警察の依頼を受け、またある時は仲間たちのピンチを救うべく、彼女はその力を発揮して次々に事件を解決へ導いていく。 だけど彼女の重ねる無理は、長くは続かない。仲間たちとの不和、否応なく直面する過去、言えなかった本音――それぞれが交錯する中で、物語はひとつの終わりと浄化を迎える。 ちょっぴりオカルト風味の青春ミステリ小説、ここに登場!
  • あばらやの星
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    童話と小説のジャンル分けをしてはいなかった作者、壺井栄児童文学集より 「こじき」という言葉が日常的に使われていた時代。捨て子や浮浪児はどこにもいた。 流れ者の職人が、昼時に同僚職人たちの残り物をおもらいしているコマツとサンゾウの姉弟こじきを、みるにみかねてひきとる。男の家はあばらやだがそこには子どもたちの大好きな電灯があった。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。 以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。
  • 港の少女
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    童話と小説のジャンル分けをしてはいなかった作者、壺井栄児童文学集より 小豆島に巡礼するおへんろさんがたくさん島にわたって来たころのこと。村の船つき場の桟橋近くにちいさな店ミドリヤ屋がある。 小学生の孫娘と暮らす、六十すぎたおばあさんがひとりできりもりしている店で、質素な旅人に重宝な店。 みやげものや日用品を商い、夕方は手打ちうどんやいなりずしを食べる店。 出る船、着く船、孫娘ケイ子とおばあさんの暮しは汽笛とともにあった。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。 以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。
  • 十五夜の月
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    童話と小説のジャンル分けをしてなかった作者、壺井栄児童文学集より 壺井栄の物語づくりに深い影響を与えたのが祖母であることはよくしられている。 栄は小さい頃から祖母のそばで寝物語にいろんなお話をきかされて育った。お話だけにとどまらず、古い歌もきかされていた。 本作は祖母をモデルにした、もっとも長編の物語ではないだろうか。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。 以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。
  • 初旅
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    稀代のストーリーテラー壺井栄が紡ぐ島の物語には、私たちがなくしてきた人の暮しが息づいている。 ミネの初旅は十六歳の秋。高松への積み荷は四斗入りの醤油が八樽だけあった。その頃、樽職人の職をなくした父重吉を手伝い、ミネは荷役をする荒い働きをさせられていた。父と娘は自家の小船に乗って、まるで夜逃げでもするような真夜中の時刻に家を出た。重吉は米やそうめんや着物など、高松にいる教師になった息子に届ける大きな信玄袋を肩にかけ、ミネは自分の着物の入った小さな風呂敷包みを抱えていた。まっくらな夜であった。高松へゆけばこれまで知らなかった何かが自分をまっている。ミネの期待はいやがおうにも膨らむ。 【著者】 壺井栄 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。
  • 裁縫箱
    完結
    -
    全1巻330円 (税込)
    稀代のストーリーテラー壺井栄が紡ぐ島の物語には、私たちがなくしてきた人の暮しが息づいている。 夫に死なれたか去られたか、他所から村へやってきた身寄りのない女が4年生の娘をひとりで育てている。村では日雇いや宿屋の女中などで日銭稼ぎ、ふたりきりの貧しいくらしながら娘ヨシノには母親といられる幸せは何にもかえがたい。すでに病魔に蝕まれている母親は娘をつれてちょっとした商店街にでかけ、自分の着物を売った金で娘がほしがっていた裁縫箱を買ってやり、めったに食べられない素うどんをふたりしてすするのだった。 【著者】 壺井栄 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。
  • 真実の部屋 上
    完結
    -
    全2巻330~770円 (税込)
    男は人知らぬ深い森の中に建つ不思議な建造物の一室で目を覚ます。一体誰が…何のために…そしてここは何処なのか? 愛する家族の元へ帰還しようと動き出した男の前に、次々と立ちはだかる無数の謎と明かされる衝撃の事実。自分が何者なのかも理解できぬまま、同じ運命を背負ったの仲間と共に、隠された意図を頼りに、真実を探す旅へと向かった。 迎えくる数々の困難を乗り越え、男が手にした「真実」とは?
  • BOND
    完結
    -
    全1巻328円 (税込)
    ………………………… 家族と絆の物語。 制限された生活に疲れている方。 癒されたい、元気がほしい、 ここちよい読後感にじんわりとひたりたい方におすすめです。 特に犬派には、あらがえない描写(!)がつまっています ------------------- 【読者さまよりコメントを抜粋】 (※すべて掲載の許諾を得ております) ◆メディアリード代表:野崎勝弘氏 『完璧なストーリー』 ◆作家:坂東太郎氏 『嫉妬もできないぐらいよかったです』 ◆脚本家/登山家:森山智仁氏 『豊かな暮らしに触れて、豊かな気持ちになった』 ------------------- 新型ウイルスが日常を変えてしまいました。 目に見えない恐怖、へだたりとつながり、生きるとは、家族とは。 すべての愛犬家に贈るハートフルな物語です(ギターも出るよ!) ※劇中のウィルスは、COVID-19を主なモデルとしておりますが、特定はしておりません
  • オペ・おかめ
    完結
    -
    全1巻305円 (税込)
    米大統領を襲った謎のテロ作戦「オペ・おかめ」。それは虐げられた弱者たちが突きつけた告発状だった。 偽善者を憎む娼婦ジャンヌは、自分のスリを見逃した東洋人・白鳥の正体を暴いてやろうと、その後を追い始める。同じ頃アメリカ大統領が小型ロボットで昏睡させられる事件が発生。現場には「オペレーション・オカメ」という謎のメッセージが残される。白鳥を犯人と思う対テロ組織のバート、次第に白鳥に惹かれていくジャンヌ。謎めいた白鳥の真意とは。 事件から浮き上がる原爆の惨劇。強者の傲慢と搾取に対する弱者たちの怒り、おかめの面に秘められた傷そして慈愛。人はいかに生き、なにと戦うべきなのかを問う、衝撃的作品。 【著者】 藤永茂 藤永茂(1926年生)満州国長春生まれ、国籍カナダ(カナダではSigeru Huzinaga)、1948年九大物理卒、1959年京大理学博士、1968年アルバータ大教授、1991年同大学名誉教授(著作):『分子軌道法』(岩波書店、1980年)、『化学や物理のためのやさしい群論入門』(岩波書店、2001年)、『アメリカ・インディアン悲史』(朝日選書、1991年)、『ロバート・オッペンハイマー 愚者としての科学者』(朝日選書、1996年)『アメリカン・ドリームという悪夢』(三交社、2010年)など。
  • うちの執事に願ったならば
    値引きあり
    4.2
    全10巻286~352円 (税込)
    執事・衣更月と衝突しながらも、当主として奮闘する烏丸花穎。夏休み唯一の友人との予定に心躍る花穎だが、道中でトラブルに巻き込まれてしまう。一方、主人に同行を許されない執事の夏休みの過ごし方とは……!?
  • そらど駅前の貸物件
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    そらど駅前のアパートメントを舞台にくり広げられる物語。主人公であるト音記号と、メトロノームとアーモールとの日常を描くライフユーモア。
  • 中三寮始末記
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    この物語の舞台は昭和四十年代中頃の南九州T町にあるカトリック系男子進学校の中学・高校である。 ある年の中学入試合格者決定の際、入学者数予測で学校は大きな見込み違いを犯してしまい実際の入学者数が定員を四十五人もオーバーする事態を招いてしまった。 これがこの物語の発端である。 学校はクラスを増設してどうにかなったが問題は寮であった。新入生は約半分の自宅通学者を除けば、ほぼ全員が入寮希望者であるため限られたスペースに全員を収容することは不可能であった。 そこで学校首脳陣が考えた苦肉の策は使わないで放置している古い木造の特別教室棟の一部を改装して中学三年生を収容するというものであった。中学三年寮の急拵えである。 これを知って一番驚いたのは当の中学三年寮生であった。 寝耳に水の話で、なぜ学校の失策の責めを自分たちが負わなければならないのかという不平不満は各人が一様に感じたところである。やっと最上級生になって下級生に睨みをきかせる立場になれると思っていた矢先のこの変事はとうてい、承服できるものではなかった。 寮生たちは学校に対して反目し、様々なトラブルや、はみ出し行為、挫折などを経験する。 悲喜こもごもの出来事や これに関わった二人の舎監との関係などを通して、たくましく成長していく寮生たちの一年間の生活を描いたものである。
  • 南へむかう貨物列車
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ホーボがもたらした、ハーモニカによる言葉 広大なアメリカ大陸の歴史を語るには、鉄道の存在を欠かすことはできない。人々はそれに乗って移動し、鉄道はまた多くの人の職場でもあった。そして、ホーボと呼ばれる無賃乗車の放浪者がいる。積荷を見れば列車がどこに行くかを正確に言い当てることができた、というホーボがいて、彼はまたハーモニカを使って酒場の喧噪を鎮めるだけの能力を持っていた。ハーモニカの音楽は彼の言語だった。そのホーボが列車の中で亡くなり、小さいが墓が作られ、形見のハーモニカは今、また別の困難を生きてきた男の掌に握られている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 西テキサスの小さな町
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    どのような町にも歴史があり、語る人がいる 水道もなければ店屋もない。水は100マイル先からタンクで買ってこなければならない。それでも、そこには67名の人々が生きていた。西テキサスの小さな町。そこにあるのはカフェとガソリン・ステーションだけだ。カフェの女性主人は、流れてこの町にやってきた客に昔日の様子を語る。サーカスがやってきたことを語って聞かせる。たとえそれが昔であろうと、今は語るだけになってしまったとしても、その思い出をありありと語ることのできる人がそこでは生きている。西テキサスとは、そんな場所なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 霧の朝はやく、二車線のハードライダーが......
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    引き延ばされる恐怖の時間 『ロンサム・カウボーイ』には、アメリカを移動する様々な人々が描かれているが、中でも巡業は典型的に北米大陸的な行為であり、この小説の主人公であるマイク・シュミッドもまた然り。彼が人々に見せるのは、通常では考えられないような空間をモーターサイクルでジャンプすること。死と隣り合わせの稼業であり、何度も骨折し、入院している。それでも彼は飛ぶ。飛ぶことが自分自身であるから。読者はディズニー・ランドの噴水の上の壮大なジャンプ、引き延ばされた圧倒的なスローモーションに付き合わされることになる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • ライク・ア・ローリング・ストーンだって?
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    生まれたのは汽車のなか 流しのハスラー。それはもはや商売というより男が生きている状態そのものだ。なにしろ、生まれたのは汽車の中。幼い時からビリヤードがめっぽう得意で、なんでも巻き上げてしまうから共同体に置いてもらえない。それで旅に出ることになる。日銭を稼ぐ流儀はお手のものだ。彼は必ず勝つ。そして勝つから、またよそに行かなければならない。その生き方は孤独そのものだが、他人にまるで関心がないわけでもないようだ。その片鱗は随所に見られる。ただ他人に執着はまったくなく、すぐに忘れるだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 拳銃つかいの最後
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    アメリカの小さな町で生きるとはどのようなことか? 広大なアメリカ大陸。そこで生きるなら、例えば移動には大型バスが不可欠だろう。カントリー・バンドのメンバーたちは、特別にしつらえられたバスと共に暮らしながら、数々のショーをタフにこなしていく。そしてアメリカ大陸の広大さと反比例するように、いや、大陸があまりに広大であるがゆえに、アメリカには無数の小さな町がある。そんな小さな町で生まれ育った男がバンドのリーダーだ。移動中にインディアンと遭遇することだってある。アメリカ的な、あまりにアメリカ的な生の輪郭がここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 六杯のブラック・コーヒー
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    大陸の広がりにさらされ続ける男たち 冒頭から始まる容赦ない雨の描写、そして死についての記述が読者を圧倒する。北アメリカ大陸の自然を最もダイレクトに生き、それゆえ誰よりもその大陸を恋することになってしまう男たち。長距離ドライヴァーがこの小説の主役だ。途方もない距離と雨と風をいつも相手にしている彼らにとって家庭や通常の人間はどこか虚ろに見えてしまう。ドライヴ・インのウエートレスとの束の間の交流のほうがはるかにやすらぎを与えてくれるだろう。そしてブラック・コーヒーは六杯くらいなければ追いつかない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 道順は彼女に訊く
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    これは謎についての小説ではなく、関係についての小説である 一人のフリー・ライターがいる。彼は引越しに伴う書類の整理中、ふと昔の雑誌記事に目を留める。5年前、25歳の女性が失踪したことをめぐる記事だ。記事と、その後どうなったかについて興味をそそられた彼は、取材を開始。多くの人物に会う。記事を書いたライター、失踪した女性の友人、両親……調べながら彼は、これは犯罪や事件ではなく、失踪者自身の意志ではないかと推測するに至る。そして作者が「あとがき」で書くように、小説の核心は、なぜ? という謎以上に女性を中心とした関係性そのものにあるのだ。 【目次】 第一章  五年前のこと 第二章  最初の取材者 第三章  裸婦は語る 第四章  暗室で夕食 第五章  写真と油絵 第六章  父親の見識 第七章  二階の部屋 第八章  上司や同僚たちが語る 第九章  それまでの一時間三十分 第十章  髪を切った女 第十一章 ひとり二役 第十二章 ふたたび最初の取材者 第十三章 詩人は結論を出した 第十四章 彼女が見たはずの恐怖 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 東京青年
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「東京は激変するよ。だから東京を撮っておくといい」 1950年代から60年くらいの東京を舞台にした長篇小説。作家と同じヨシオ、という名前を持つ若者が登場する。彼が高校生から大学生にかけて接触する女性たちは、すべて年上だ。変わってゆこうとしている東京の街で、ヨシオは女性たちに学び、まだ何者でもない自分の中に核のようなものを作ろうとしている。そしてこの小説は高度成長期の、前を向いたエネルギーばかりでなく過去を確かめ、過去の連続の中に現在があることも大切にしている。そのことを端的に現すのが、この小説における写真の役割であろう。 【目次】 名前は仮にスーザン 肩はいかにセクシーか 美しき太腿のほとり 謎を記録する、謎を記憶する 可能性という謎 電話を受けているうしろ姿 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 主題と変奏
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    かつての家は現在の家だ 作家と女優がいる。同じ高校出身の旧知の仲だ。年齢は女優のほうが2歳上。ある日女優は、ふだんめったに乗らない京王線に乗り、車窓から、かつて自分が一時期を過ごしたことのあるなつかしい家がそのままで残っているのを発見する。その家には二人の鮮烈な思い出があり、二人の、女優であることと作家であることにつながっている。その家の近所の喫茶店もまた、20年以上の時を経過して、やはりまだ健在という演出も心憎い。二人は昔の思い出のつまったその家を訪ね、あらためて現在の輝きを更新する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 化粧して読書と映画
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    あなた専用の女優になること 誰かと付き合いたい、ということと少し違い、誰かの女になりたい、という願望を持った女性がいる。彼女はその願いをあっさりと実現させた。一人の男性の女として。その男性とは、男性が撮る写真を介して出会い、その出会いの瞬間から「この女性は女優だ」と彼は確信する。今では二人はピンク映画の監督と女優だ。二人はプライヴェートで愛し合いながらも、その最中に姉と弟の設定で会話をしたり、カメラの角度やシーンのことを話し合ったりする。彼が監督であれば、彼の女は専属女優なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • エロティック憂鬱
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    創作を通じて、憂鬱を外に出すこと 二人の女性がいる。一人は大きな体をしているがそれは本来、男性であったことと関係がある。二人は二人でいることによって、互いのエロスを充実させることができる。それがいささか通常と異なる形態を取ろうとも、そんなことは瑣末なことでしかない。互いに撮影をし、セルフ・ヌードを撮り、やがてその撮影行為の中に模造男根を挿入し……一人が言う。「自分の基本は憂鬱」なのだと。その「憂鬱」とバランスを取るのがエロティックな世界でありその「憂鬱」を自分の中で創作を通じて作り替え、外に出していくのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • センティメンタルではない理由から
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    殺意と反射、その20年 20年。長い時間だ。20年かけて男は二人の女に会う。20年前は母親のほう。そして20年後の現在は娘のほう。二人は共に28歳である。20年前に自分の中に刻印されてしまった憎悪が男にはある。その20年前の出来事を描写するのに、〜た。〜た。〜た。の短いセンテンスをひたすら続けていく文体のアクションがすばらしい。さあそして20年後の今。男の憎悪はようやく解放の時を迎えるのだろうか。女も、男も、それぞれピストルを所持したその状態ではたしてどう展開するのだろうか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ラハイナまで来た理由
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    イージー・チェアから見えた世界 ハワイ。作者・片岡義男の祖父が、父が住んだその場所のことを書いた渾身の長編。優れた農業技術者だった祖父。その息子である「僕」の父は、アメリカ軍の軍人だった。そして姉が異母姉であることが姉弟関係に微妙な影を落とす。アメリカと日本のあいだにあるハワイという場所にあった歴史。家族写真。アロハ・シャツ。コナのコーヒー。古いビートル。ヴェトナム戦争。エルヴィス・プレスリー。「僕」は今、父が作った庭を、父がイージー・チェアに座って絶命する瞬間も見ていたであろう庭を、同じ位置から見ている。 【目次】 ラハイナまで来た理由 片仮名ではスパム・アンド・エッグス パウ・ハナの美女 雛祭りに泣いた 雨の夜の映画 濡れた新聞とコナ・コーヒー 赤い帽子のバトロメ いつもその窓から見ていた 失われた路面電車 写真に添えたひと言 買って来たピッツアとロウソクの明かり 干潮時水位 カプリース・クラシック・クーペ ふたりで食べた林檎 父親のウクレレ 雨の朝のヒロ・マーチ エルヴィスで四ページ カリフォルニア生まれだ、ソバカスがある ファミリー・フォトグラフズ プールにも台風が来た プレート・ランチという幸福 ファイヴ・オーのなかのハワイ ウルパラクアの赤 まるで落穂拾いのように ホノルルで雑誌を作る そこを滑り下りる遊び 別れの磯千鳥 姉とエルヴィス・プレスリーの会話 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 無人島へ連れていく人
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    すべてがうまくいく撮影の成り行き 写真家がいる。パートナーとして優秀な編集者もついて新しい写真集の企画が持ち上がる。写真家と編集者は語り合う。アイディアが拡がる。そして、瀬戸内の島でヌード、ということになる。これだけなら凡庸に聞こえかねないが、ここから完璧な島と完璧なモデルを見つけ出す。島は瀬戸内の歴史を色濃く残す奇跡のような島であり、モデルはその体の均衡、撮影に対する理解力など、パーフェクトだ。撮影が進んでいく様子が、次々に小気味よく描かれる。もっともらしい試行錯誤の場面などはなし。それが片岡義男の小説である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 個人的な雑誌 1
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    雑誌とは、リラックスした一つのトーンである 雑誌であり、同時に本でもある稀有の試みだ。前半部は片岡義男に対するインタヴュー、という形式が取られ、インタヴュアーのクレジットはないがどう考えても作家本人である。そして写真がくる。かつて自身が出演していたラジオ番組『気まぐれ飛行船』のスタジオを撮った貴重な1枚があったりする。セルフインタヴューには植草甚一さんの思い出が召還され、そして気が付くと、主題というほど前景化していないが作者の「フェミニズム」に対する深い関心がうかがえる。この雑誌=本には、あきらかな一つのトーンがある。 ※写真:片岡義男 【目次】 長いインタヴュー 『語ることによるエッセイ』1 7枚ずつひと組の、ジャズのLPをながめる 五十年まえの「名画」を二本、観た。そしてぼくは、昔の二枚目男優たちの限界を知った 彼の後輪が滑った あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 個人的な雑誌 2
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    アメリカと日本の風景を、雑誌として集めてみる TVニュースを通した、アメリカ的光景の観察。愛してやまない東京湾岸の風景を中心とした、日本のさまざまな場所についての考え。アンセル・アダムズの圧倒的な風景写真について寄せた言葉。サーフィンと海についての考察。初雪のあるショート・ストーリー。これら五つの雑誌的なバリエーションに最後は他人(写真家の佐藤秀明氏)の言葉がくる。これは、あえてまとめれば風景についての、そして英語と日本語といずれが母国語かわからない状態で育った人によるアメリカと日本の、極めて「個人的」な思考の記録である。 ※写真:佐藤秀明 【目次】 アメリカ的光景の遠近法  1 軽飛行機の使い方  2 日本がニュースになるとき  3 いつかはかならず失業する  4 ニュースのなかの音楽  5 大統領を鑑賞する  6 国際情勢という対立関係  7 グラフィックであること  8 外観と内容の関係  9 まさにアメリカ さまざまな場所での、いろいろな想い  1 湾 岸  2 首都高速道路  3 謎の核心  4 バス・ルート  5 東京湾岸地帯  6 散歩道  7 下北沢  8 半 島  9 海 岸  10 斜めに交差する川  11 甲州街道と新宿 めぐり逢う風景の物語——アンセル・アダムズと彼の写真 彼らはなぜ海へ来るのか  1 長い海岸線の全域にわたって  2 彼がはじめて太平洋を見たとき  3 薄く立ちあがり、まっすぐに走る  4 聖地への入口としての駐車場  5 完璧にちかい正三角形がひとつ  6 冬のハーモサ・ビーチ、六フィート波  7 霧の海でひとり叫ぶとき  8 桟橋(ピア)で聞いた話 初雪より一日早く——ショート・ストーリー 僕と僕の写真について、すこしだけ語ります ——語りと写真 佐藤秀明 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 愛とハッピー・エンディング
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    人工の女、自然の女 作家は常にストーリーを考えている。女性だ。彼女の担当編集者もまた女性。彼女は時に一人でストーリーを考え、それを今一度確認するように編集者に披露する。今書きつつあるのは、ジェンダーを越境する人物の小説。女なのに男の意識で生きてきた人。女になりたい男。その男から「女であること」の何たるかを吸収したい女。作家の趣味が全国の防波堤を見て回ること、という設定が象徴的だ。防波堤とは、陸の力と海の力が激突する場であり、それは性の境界を思わせるものでもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 配色の効果
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    淡いブルーとスカイブルー 女性同士の出会いと恋愛を描いた短篇小説。女性二人が、もう一人の女性の結婚式に出席するため夜の国道を2台のクルマで、つまり、一人1台に乗って連なりながら走っていく冒頭のシーンからして鮮やかである。1度目は電車の中。2度目はバーで。ごく短い時間のうちに2回会ってしまえば、それは偶然を超えて、運命になる。一人が一人に言う。「誰にも、その人を支配している色があるのよ」。そして一人は、淡いきれいなブルー。もう一人がスカイブルー。二人は絶妙なブルーの相違を互いの内に抱きながら生きる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 誕生日のドア
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    誕生日のドアは、一人で通れ 一緒に生活している男女がいる。まもなく男の35歳の誕生日がやってくる。3日後には、今度は女の35歳の誕生日だ。しかし、家の中の空気はおだやかではない。彼と様々な女性との関係がバレてしまったのだ。一つひとつ暴露されているあいだも腹が減ったといっては食事を作り、コーヒーを飲み、書いた小説(男は作家なのだ)をさんざんにけなされてもその小説について悪びれずに語ってしまう男がなんともユニークだ。誕生日、というものが毎年やってくるドアだとすれば、今年は一人でくぐるしかなさそうだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 水平線に時を読む
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「ストーリーは過去であり、過去はストーリーだ」 波乗りを好む男が、雑誌の取材でインタヴューに赴く。相手は57歳。その人も波乗りの練達で、しかもその人の祖父こそが、日本で初めてのサーファーの可能性もあるという。加えて彼の家には、日本最古のサーフボードが保存されている。過去はどんどんどこからか湧いてきて「波が呼ぶんだよ」という小説の話、その映画の話、ハワイの話に広がってゆく。「波が呼ぶんだよ」とはまさに片岡義男の小説のタイトルであり、ハワイは作家の父方のルーツである。自伝的要素を巧みにフィクションに混入した、手の込んだ作品だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 恋愛生活
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    嫉妬心から好奇心へ、自分自身へ 愛する人の死。深く、悲しい喪失からこの物語は始まる。自分が表現する才能は無いが、音楽に係わる仕事をしたいと考えた主人公の女性は自分が世に送り出そうと考えていた女性歌手の遺品の整理をし、遺されたノートを見ていく過程で、亡き彼女の「恋愛生活」を知る。親しかったのは自分だけではなかった嫉妬心に震えるが、やがて嫉妬心は好奇心に変わり、トランスジェンダーの魅力を備えた女性、また別の作家の女性まで現れ、そこに身を投げることによって、今まで知らなかった自分の可能性が花開いていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 思いがけないベッドの上で
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    その複数の声を、一人で聞くということ ホテルに一人の女性が滞在している。彼女は朝食を取るために下まで降りていくがウォークマンを携帯させている。そこにはテープが挿入されており、いま、彼女は、その音声をイアフォンごしに聞きながら朝食の時間を楽しんでいる。そのテープには、2週間前に女性3人でさんざんに語り合ったことが録音してあるのだ。その時の熱気。口調。辛らつさとあけすけな内容。それらが朝の彼女の頭蓋の中に響き渡る。そしてその会話のあとの行為についても思い出している…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 十九歳のアロハ・シャツ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    記憶に残りたい、影響を与えたい、と願う素直さについて 物語の舞台は1950年代と思われる。敗戦から立ち直りつつある東京の発展を考慮して「これからは不動産だ」とハワイから来日した日系二世の男がいる。主人公はその男の息子(18歳)と、隣家の5歳年上の娘だ。父親から言いつけられた庭の整備を通じて二人は親密になるが、やがてハワイに戻る日がやってくる。互いに好意を持っている自分たちを励ますように彼女はある行動に出て、それは翌年、19歳の彼の晴れやかな姿となって結実する。年下の男子に影響を与えたい、と願う健全な女性の思いがまぶしい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 海をもらった人
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    海をめぐる二つの小説 ビターな味わいの小説である。まずは、おだやかな家族の風景から一転して悲劇が訪れ、しかしその悲劇は小説として書かれたものだった、という仕掛けから始まる。そして物語の視点は、その悲劇の小説を編集者として受け取った男のものとなる。その男は海辺で偶然、かつての知り合いと会い、その知り合いが小説を書こうとしていることを知る。知り合いの書いたものを読んでみると……そこに悲劇は無いが、編集者には不徹底な失敗した小説としか思えない。最初も最後も小説に係わる、あくまでビターな作品である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 結婚のヒント
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ヒントに近づくのか、遠ざかるのか 結婚をめぐる座談会が複数行なわれ、それらを収録した書籍が作られようとしている。担当者は独身の女性だ。この小説は二部構成になっていて、一部は全員が独身男性の座談会。二部は全員が男性作家の座談会だ。女性との付き合い、友人知人のエピソードなどを持ち出し、結婚、というものについて彼らは縦横に議論を交わす。一部も二部もたいへん饒舌である。この饒舌は虚無か? 必ずしもそうとは言えないが語るのが全員が男性であり、構成者だけが女性というところにもしかすると作家のシニシズムがあるのかもしれない。 【目次】 第一部 第二部 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 裸婦のいる部屋
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    縛る、とはどういうことか 二人の女性がいる。その姿、身長、着ている服に共通したものがあり、そして年齢も共に28歳。非常によく似た二人だ。春の夕暮れ、世間ではまだ多くの人が働いている時間に彼女たちはホテルの11階の部屋に入る。ここからが自分たちだけの時間だ。自分たちだけ、でありつつ同時にそこに、二つの道具が挿入される。カメラとロープ。カメラは三脚で固定され、身体はロープで固定される。縛る、ということ、縛られる、ということの果ての無い快感がそこにある。縛ること、縛られることは彼女たちの生き方だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 狙撃者がいる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    誰にも知られることなく起こり、そして終わる 主人公は、およそ生活感のない一人の女性。彼女はピストルと、ピストルがもたらす狙撃に興味がある。しかしピストルの入手は日本では許されない行為だからカリフォルニアに渡ってピストルと、自分が持って生まれた狙撃の名手である、という事実を入手する。その後に行なわれる行動は、日常に亀裂を入れたい、という彼女の欲求のままに行なわれ、モラルや感情は一顧だにされない。すべては冷静に、最も怖ろしいままに進行する。そして被害者がすべて男性である、という事実をはたしてどう受け止めるべきなのか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 花模様にひそむ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    それを終わらせるのは銃弾 主人公は殺し屋。女性だ。彼女は、謎の組織からの依頼を淡々とこなす。容赦はない。ミスもない。しかしこの作品ではそうした仕事人としての側面以外にプライヴェートな彼女のパーソナリティも描かれている。彼女の恋人は、男性としての身体機能を残した女性であり二人の愛情に曇りはない。二人はやがて唐突な事件に巻き込まれるが、自力で解決してみせる。さらに彼女の友人との悲しい別れについても躊躇なく判断し、やり遂げてみせる。すべては、銃弾と共に。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 会話の内容
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    二人しか知らない会話の内容 自信に満ち、幸福な女性二人は共に28歳。二人は熱心な会話に余念がない。コーヒーを飲みながら、あるいはベッドの上で尽きることのない会話はあふれてくる。その内容はズバリ、男性が勃起する、ということの笑ってしまうほどの豊かさについてだ。二人は勃起についての経験を語り合い、女性との係わりについて考察し、それを常に手許に置いておくために模型を作ろうかと話し……彼女たちをあれほど充実した表情にしているものの正体を知っているのは作者と読者だけ(他の作中人物は知らない)だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • アメリカの青い色
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    やってきて、去っていくアメリカの青 金髪。そして美しい青い瞳。アメリカからジャズ・ピアニストの女性がやってくる。右も左もわからない彼女を迎えに行き、なにかと世話するのは、彼女と同じエージェントに所属する男。彼もまた同じくジャズ・ピアニストだ。アメリカと日本、二つの国で共有されている古い歌、それらの演奏を通じて彼らは親密になり、彼女の日本滞在は心地良いものとなる。しかしながら彼女には、実は壮絶な過去があった。親密になれたからこそ語られたその過去と、ある預かり物を残して、彼女は次なるアジアの国へと旅立って行く。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 指輪のなかの海
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼は指輪をくれた、彼女は写真を始めた 男性が女性に指輪を贈る、といえばプロポーズ、ということになりそうだが必ずしもそうでない場合もある。しかもその指輪は男性が作ったものであり、波とサーフボードまで精巧に刻まれているとなると、これはなかなかめずらしい事例ではないか。贈ったほうももらったほうも、それから別々の道を歩み、女性のほうは写真の魅力に目覚め、そしてカメラを指輪の上に落として波形をつぶしてしまったことで二人は再会する機会を得ることになった。ところが……その再会が、二人の最後の機会になってしまったのだ…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 紙の上にクレヨンで
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    姉という無限のバリエーション 女は大学教授。男は小説家。二人はホテルで会い、そこで男女の営みをふんだんに行い、ある時は日本の経済や社会構造について長く突っ込んだ会話を交したりもする。いささか奔放な、とはいえそれなりによくあるインテリ同士のカップルといえそうだがしかし、小説の冒頭からこの二人が姉と弟であると知らされる読者としてはやはり戸惑いと共に読み進めることになるかもしれない。弟が書く小説の女性はすべて、この姉なのだという。姉は無限の色彩を持つクレヨンであり、弟は真っ白な紙だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 秋の夜長とは
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    眠ったら、けっして目を覚まさない女性の傍らで 28歳の女性がいる。出張先でさんざんな思いをして疲れ果てた彼女は同い年の友人を呼び出し、食事をし、酒を飲み、息を吹き返す。そこに友人の親しい男友達を呼び出し、宴は3人になった。ところで出張から帰って来た彼女にはお酒が入ると眠ってしまうクセがあった。その日もやはり眠ってしまい、残り二人はようやく部屋に運び込む。一度眠ったら絶対に起きない彼女の隣で二人はセックス。そして戯れに、この眠っている彼女に挿入してみよ、とそそのかす。さあ、男はどうする……という、秋の夜長の短篇小説。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • それも姉が教えてくれた
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    ないないづくしの関係が最高である 姉と弟がいる。何の不思議もない関係だが、ひとたび「男と女」になってしまうと一気に事態は変わる。互いに妻でなく夫でなく、結婚できず入籍できず恋人でも愛人でもなく、知らぬ仲でもなく他人に戻ることもできない。つまり、「姉と弟」でありながら「男と女」であることはそれだけで社会を歪ませるに十分なことなのだ。しかも弟は作家。彼は姉の言葉を、その教えを小説の中に吸収しようとし、その構想をまた姉の前で語り……こうしてますます、社会から逸脱した世界が広がっていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 八月の上半身
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    あの瞬間はもはやどこにもなく、そして目の前にあるものはなにか? 作家がいる。作家はストーリーを自分の頭で考えるが何らかの外部からの刺激も必要だ。例えば一人の女性。バーに、あの女性がいたらいいな、と思えばいるし、思いがけず京都で再会したりもする。そんな都合よく……って当然だ、だってこれは片岡義男の小説なのだから。そして女性との会話の中には彼に書くことをうながしたまた別の女性、今では自分も作家になった女性の話題が出て会話に奥行きが生まれる。ある時、タイトルの着想が生まれ、そしてその時間もまた去っていき、さて今、彼の目の前にあるものは? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 思い出の十二号埠頭
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    そして十年後も豪雨の日を迎える 女には、恋人と呼んで差し支えない相手がいた。その男が、話をしたい、ということでセダンで迎えに来る。女は激しい気性で、日本車の惨めさについて、戦後日本社会の貧弱さについて意見をぶちまける。やがて天候が変わり、湾岸線を走る車の上に豪雨が訪れる。彼女は豪雨の中、危険も顧みず、途方もない行動に出る……それからちょうど10年後の同じ日。また同じような天候だ。はたして彼女は何を思うのか? 短篇「八月の上半身」に話題としてのみ出てくる女性がここでは主人公。ぜひ、併読をお勧めしたい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 白いコンヴァースの十月
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    凧がもたらしたあたらしい時間 一人暮らしの男性がいる。独身。彼には離婚歴がある。出勤前にコーヒーを飲みながら、写真立てを彼は見る。そこにはかつての妻の姿がある。そしてその妻が、凧を手にしていることに気がつく。さて、あの凧はどこにしまったのだったか? 思い立ったら探さずにはいられず、見つかったら、このまま出勤などしていられない。彼は外房の砂浜まで、一人で凧揚げに出かける。過去が急になつかしくなったのか。そうかもしれない。しかしその後、自分でも思いがけない行動に出て、あたらしい時間が始まることになる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 写真集に向かって歩く
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼と過ごすこと、撮ること、外出すること 29歳の女性がいる。女優だ。訪ねてきた男性とベッドで過ごし、男性が帰る際はキチンと服を着て見送り、見送った後は自分も外出する。それがルールだが、もう一つ大事な行為がある。撮影だ。彼女は25歳から自分を撮り続け、30歳になったら写真集にまとめようとしている。ところで、彼女が外出して赴く先に、あるバーがある。この短篇のほかに「八月の上半身」「思い出の十二号埠頭」など『人生模様』に収録された短篇はどれも連作短篇としてそのバーと、登場人物の絶妙の重複がある。併読をおすすめしたい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ベーゴマと美人の母親
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼は賢明な子だ、それにベーゴマがある 34歳の演歌歌手がいる。女性だ。最初の章では主に、彼女のたたずまいが描かれる。37歳になった元プロ野球選手がいる。二つ目の章が、彼の来歴と現在の素描だ。二人は離婚した元夫婦だが、主役は9歳の息子かもしれない。母と父は直接会うことはなく少年は母とホテルに泊まったり、父のほうに預けられる際には親戚にも囲まれたりしている。少年は多くを語らず、大人しいが聞かれたことの回答は明確で聡明だ。それにベーゴマがある。父とその兄から教わったベーゴマを、ほら、もう母親と楽しんでいる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 波と風のグッド・ニュース
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    男は願い、想像し、そして書いた 片岡作品には、小説を書こうとしている人物がしばしば登場する。さらに付け加えるなら、こんなストーリーはどうだろうかと主人公が想像を思い巡らせている様子がそのまま小説になっている、という形式のものがいくつかある。この作品もまたそうだ。編集者として勤めている雑誌が廃刊の危機にあり、その状況を突破し、想像を巡らせ、そして見事に完成した作品を読者に提示して終わる。本作中にも出てくる他の片岡作品、「海をもらった人」「指輪の中の海」「波が呼ぶんだよ」と併読すると読む楽しみは倍増するはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 彼は孤独を深める
    完結
    3.0
    全1巻275円 (税込)
    謎の女を書く ある日、急に目の前に現れ、またある日、まさかこのままになるとは思わず、別れてしまった女がいる。男はそのことを悔やみ、いつまでも忘れられない。そのことをバーの主人に切々と語っているがまさにそのバーカウンターの内側にこそ、その女がいたのだった。女々しい、と形容することは簡単だが、主人はその女を「小説に書きなさい」と言う。書くことで、いつまでも謎の女であり続けるのだ。しかし、その前にまた女が現れたらどうなる? それはわからない。なにしろ男は、まだ書き始めてもいないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 男嫌いと言われた
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    二度めには道があった 一組の男女がいるホテルの部屋。この小説は、その部屋から一歩も出ない。いや、正確には出るのだ、彼らの頭の中の思い出として。今日は、二人が出会ってちょうど1年目の日。そして女性の誕生日だ。二人の会話は、あからさまに二人がこれまで交わしてきた行為のこと。互いの身体をほめ合い、自分たちの相性を喜び、論じ、時に発見があって、飽きることがない。男嫌いと言われてきた女性が変わったのだ。彼女の中には男性を受け入れる「道」がなかった。しかし2度めからすぐに道ができ、彼は喜んでそこに挿入する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 別れた男のすること
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    別れた男は今、かき氷を作る 35歳の作家がいる。つい5ヶ月前に離婚し、妻子と別々に暮らすようになった。取材で瀬戸内まで出かけ、東京に帰ってきた彼はふと、かつて3人で暮らしていた家に行ってみようと思い立つ。わずか5ヶ月しか経過していないのに最寄りの駅の様子や商店街、住宅地のたたずまいなどあまりになつかしく、強いときめきすら覚える。ところが……訪ねていったかつての住まいでは意外な経験をすることになる。そしてその後、姉と一緒に住んでいる現在の住まいに帰り、そこで今度は読者が、意外な経験をすることになるのだ…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 青い色の短篇集
    完結
    5.0
    全1巻275円 (税込)
    2人の家は、今夜、3人になった 男性の住まいに、居候させてほしいと女性がやってくる。同居しているもう一人の女性の都合でしばらく家を明け渡さなくてはならないようだ。快諾した男性とくつろいでいると彼の姉が帰ってくる。ここは彼と姉の家なのだ。いつもは姉弟の家に、今日はプラス女性が一人。そのあと3人で観る映画がまた、兄弟と女性一人の関係を描いたものだった(この映画、あきらかにある作品を想定したものと思われるが、当ててみてください)。このあと、特別な何かが起きる? 起きない? それはぜひ、読んでお確かめください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • そして私も目を閉じる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    そして彼女も彼も、没入する 自身が写真家でもある片岡義男の小説には、しばしば登場人物が写真を撮る行為や写真について人々が語り合う場面が描かれる。この小説においては、友人の姉を男が撮る、という形になっている。ジャズ・ドラマーであり歌手でもあるその女性は彼の部屋を訪ねてきては水着に着替えてみせたり、欲求に従って大胆な行動をとる。撮る男と撮られる女は惹かれあっていく。撮ること、写真について語ることに加えて片岡作品の大きな力になっているもの、それは女性が撮られる際の、圧倒的な没入のあり方である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 青いマスカラの涙
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    理由があろうがなかろうが、泣く時はいくらでも泣くといい 二人の中年女性。46歳。学生時代からの親友だ。一人はピアノ弾きをしており、彼女がカクテル・ラウンジで弾いている所へもう一人が不意に、予告もなく現れたりする。46歳。過去も未来もある年齢だ。そして若い頃には感じなかったであろう、不思議な現象も訪れる。例えば涙。夕陽を見るだけでわけのわからない衝動にかられたり、どうにも不可解な涙が流れたりすることがある。そんな二人が再会して、世間的な親友概念を逸脱した時間もまた、やってくる。二人は今また、いくら泣いてもいい場所を手に入れたのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 逢いたかったのに
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「逢いたい」と「逢いたかった」は同じか、違うのか ふとしたことで、流れが変わってしまうことはある。「逢いたいな」と思って何度か電話をした女性に逢うことができず、ふと一人になった時に、バッタリ別の女性に逢ってしまう。その日はずっとそのまま二人で……ということになったりする。問題はそれ以降だ。最初に逢いたいと思った女性と連絡が取れ、そして2度目の偶然が訪れるとなると事態はやや複雑になる。その時、この男はいったいどうしたのか? 答えはこの短篇を読んでみてください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 雨の柴又慕情
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    寅さんを導入として日本を語る 小説による日本論と言っていいかもしれない。片岡義男の小説で「日本」が問題になる時、そこには必ず「日本語」の問題がある。今回はなんと、素材は「寅さん」、つまり、映画『男はつらいよ』だ。寅さんの映画を、金髪の外国人女性、今は女性だが大工として男でもある人、その人の連れ合いの女性、そしてその連れ合いの兄である小説家の4人で見て、その感想を延々と楽しく語らいながらいつしかそれが前後の日本批判になっている、という構えの作品だ。自由な「寅さん」のように、ここでは「性」もまた自由になる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 彼女がワゴンを停める場所
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼女たちが先に進む時、そこにステーション・ワゴンがある ステーション・ワゴンは、片岡義男の小説では特別な存在だ。なにしろ「ステーション」なのだからその居住性は抜群であり、移動もできればそこで快適にすごすこともできる愛すべき友である。不眠の男性を乗せて走り、ようやく彼に眠りを与えてやれるのも、仕事のために別々の町で暮らす夫と会う時に乗っていくのも、バカな男性に別れを突きつけたあと、自由になるために乗る相棒もすべてステーション・ワゴンである。彼女たちがステーション・ワゴンを停める場所に妥協はない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 彼女のリアリズムが輝く
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    嫉妬<落胆<短篇小説 ミステリー作家の女性がいる。20代で選考委員全員から絶賛されてデビューしたものの外国生活を経て結婚し、今は書いてない、という設定だ。彼女はアタマの中だけで作り上げたフィクションに関心がなく、体験から発想したミステリを得意とするタイプ。結婚生活も時が経ち、そろそろ書きたくなってきた彼女は夫が持っている複数の鍵に注目する。どうやらその鍵の中に、夫の嘘があるようだ。そこから彼女が取った行動と感情には妻としてのダメージよりも、短篇を一つ仕上げることの欲求が大きなウェイトを占めている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ちょうどその頃
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    その間、彼女が話したのは一言だけ 午後4時から4時40分くらいまでの時間帯、この小説の舞台となる店は、一日中で最も暇になるらしい。暇だから、数少ない客には目が届きやすい。そこに常連の、一人の大人の女性がいる。年齢のいくらか違う二人のウェイターが、その彼女について、あれこれ想像をめぐらせた会話を交わす。勤務中の私語ではあるけれど、声のトーンはごく控えめで、失礼にはあたらない。しかも噂話などではなく、賞賛に近い、願望のような会話だ。その間、客としての彼女の発した言葉はただ一言。そんな優雅な午後のひととき。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 眠っているあいだの無防備
    完結
    4.0
    全1巻275円 (税込)
    男たちが「しなかった」話 登場人物は5人だ。女が2人と男が3人。仕事が終わり、誘い合って食事をし、次の店に移る。3人の男たちはそれぞれ、過去の「しなかった」話をする。つまり、明らかに女性の側からモーションをかけられていながら何もしないままに時を過ごした、いわば「据膳食わぬは……」という経験だ。これが前振り。その他愛も無い経験談を受けて、二人の女性のうちの一人がもう一人の女性の部屋で無防備にも寝てしまい、そこを3人の男たちが囲んでいる、という状況ができる。さて、そこから何がどうなるか、ならないか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 過去でさえ過去になる
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    存在しないボールは、いつまでも到達しない いま37歳の人間にとって、ちょうど20年前の17歳は、はるかな過去だろう。しかしそれは同時に、もうそんなに経ってしまったのかと、唖然とするような事態でもあるはずだ。実家の建て直しの前に家族全員が集まることになり、久々に故郷の町に帰ってみると、実家よりいち早く街は大いに市街化し、通っていた高校の建物は跡形もなく消え去っていた。かつて野球部員として上がったマウンドも、今は記憶の中にしかない。そして再会した女性との2ショットも、どんどん遠ざかる過去になる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 没になった短編小説
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    似たもの同士、とは言わないが…… かつて音楽活動のグループを組んでいた5人が、久々に再会する。5人の内訳は女3、男が2。カップルが二つあり、一人だけ残された女性のバックアップ・コーラスを、二組が務める、というなかなか不思議な成り行きだ。人が集まればうまくいかないこともあり、互いの弱さがあり、しかしそうした弱さにはどうやらパターンがあるようだ、という認識がこの小説では「フラクタル」の概念を使って説明されている。海岸線の卓抜な比喩が、5人の存在にどことなく重なり合うはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 写真は二枚とも靴箱のなか
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    二つの過去は、やがて一つの現在になる 外から自分の部屋に一人で帰って来た時、何を感じるか。その感じ方の移ろいが、いわばこの短篇小説の主題かもしれない。37歳。夏休みはむなしく徒労に終わり、ビールも食事もうまくない。40歳。ある1枚の写真と、自分の誕生日をきっかけに、変化が生まれる。男はいささかの興奮と精彩を取り戻す。43歳。3年前のアクションのおかげで、彼は新たな時間を手に入れた。1枚の写真が引き金になってもう1枚の写真が生まれ、そして今、部屋はまったく違う部屋に変わったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ある種の素敵なことがら
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    料理に始まり、そこに戻り、何事かに気づく、ということ 親密になるきっかけが料理だったとすれば、再びよりを戻すきっかけもまた料理だった、ということがどうやらここで起きている出来事のようだ。あなたは現実の私を見ているのではない、イメージを投影してそれを好んでいるだけだ、と女は男に言う。そして男から離れようとする。しかし約半年後、女が再び引力のような力で引っ張られていくのはやはり男の作る料理のあるほうへ、だった。そして料理に加えて写真が介在することでまわり道をした女は、ある種の「素敵」に気がつくのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • クレイジー・ハーツ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    更新すること、所有できないということ 33歳。それなりの過去があり、それ以上に未来のある年齢だ。一人の女性が久々に日本に帰国することになり、かつて親しかった男女6人が再会しようとしている。帰国する女性は6人のうちの一人の男性と結婚をしたいという気持ちをかつて持ったことがあり、今もそうかもしれない、ということをみんなは知っている。しかし彼らはいまや、かつてのような男が3、女が3という対称にはならない。時間の経過と共に、性をも越境した更新が行なわれ、それは常に新鮮である。誰も、誰かを所有したりすることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • とにかくメロディーを聴かせてくれ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    抑えること、でも忘れないこと。それがメロディー 後輩に対する先輩の好意から、あるお見合いの機会が訪れる。男性側にも女性側にも、相手がどんな人物か一切教えないというかなり変わった、ミステリアスなお見合いだ。あるのは取り持ってくれる先輩への信頼だけ。そして当日。引き合わされたのは、互いに唖然とする相手だった。そこには長い時間と、ひたすら抑制してきた意志とそれでも抑えきれない気持ちが、手と手を取り合って奏でているメロディーがある。この小説こそがそのメロディラインだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 私はいつも私
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    おにぎりに泣き、焼き鳥にあこがれる 離婚してしまった相手なのに、無性に会いたくなる。いや、そもそも嫌いで別れたわけじゃないのだ。そういうことはたぶん、あるのだろう。結婚してしまったから離婚してしまった、「しない」ことがいちばん良かったのに、というような関係。離れてみて、話さなかったこと、確かめてみなかったことが、見えてくる。おにぎりを作らせてもらえなかった。焼き鳥を食べに連れて行ってもらったこともなかった。でも再会した今なら、さあどうだろう。まずは焼き鳥。そして、おにぎりは…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 継続は愛になるか
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    愛になろうがなるまいが、継続を選べ シンプルだが厄介な短篇。男女がいて、付き合いは5年ほどになり、いつも女が男の部屋を訪ねる。ところがある時、女は別の男と結婚すると言い出す。それはしかし、あてつけでも心変わりでもない。そして、二人の関係はこの度の結婚よりも長い継続なのだから今後も続ける、などと女は言う。しかし世間はそれでは許さない。新しい男=旦那も許さない。しかし、「許さない」からそれが何だというのか、というのがこの小説である。無茶と言われようと、継続はかくも図太いものなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • エスプレッソを二杯に固ゆで卵をいくつ?
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    この怒涛の電話の中に真実はあるか? 14歳。自分で自分をもてあまし、世間からは「多感な時期」などと言われたりもする年齢だ。そんな年齢で、両親が離婚した。友人に向かって彼女は、そのことについて好きになれない父親について、めんどくさい新しい母について、そして誰よりも「かっこいい」と思っている離婚した母について電話口で怒涛のようにしゃべりまくる。対面ではなく、すべて電話でのおしゃべり、しかも相手の友人の応答は一切書かれずひたすらこちらがしゃべるだけ、という構えがこの短篇のキモで、そこにはうっすらと孤独が見えるようだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 私とキャッチ・ボールをしてください
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    男のこでなくておあいにくさま さりげない遭遇の冒頭から女と男、二人の高校生がするすると川原でキャッチ・ボールをする場面にたどりついてしまう。気持ちと気持ちの交換を比喩で表現する際に人は「キャッチ・ボール」という言葉をしばしば使うがここにあるのは本物のキャッチ・ボールでありボールを投げることと受けること、その人が投げるボールに対するさわやかな驚きこそが主役である。二人には、両親の離婚、という共通点があり、そしてそれぞれの片親(男子の母、女子の父)もまたキャッチ・ボールの場面に現れるのがユニークだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 夏はすぐに終る
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    すぐに終る、夏も、18歳も 18歳。高校を卒業して5ヶ月。やらなければならないことは特になく、それどころかこの歳にして早くもステーション・ワゴンを手に入れ、日本全国どこへでも気ままに旅する時間が流れていく。その途中、同級生の女性と待ち合わせをして会話を交わすと彼の気ままさ、寄る辺なさ、自由がますます際立つようだ。彼は、この女性の友人ばかりでなく、母にも、姉にも会いにいくはずだが、そこにもとどまることはないはずだ。18歳は、その夏は、ひたすら流れ流れ、すぐに終ってしまうはずなのだから。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • おなじ緯度の下で
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    初めて好きになった女性は、スクリーンを経由して…… 季節は夏であり、登場人物はまだ幼さの残るハイティーン。そして両親は離婚もしくは死別している、という共通点を持つ短篇を集めた『夏と少年の短篇』に収録された一篇。この作品の鍵は、異母姉だ。ある男の前の妻と二番目の妻、それぞれの娘と息子という関係の4人は極めて仲が良いが、しかしこの息子と娘は兄弟でありながら他人でもある。そのことに対する隠れた意識に、17歳の男子は母親の故郷の映画館の、スクリーンに映った一人の女優の姿を経由してようやく気づくことになるのだが…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 最愛の人たち
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    写真は時間であり、小説は時間を生き直すことである 不思議な長篇小説である。一人は写真家、一人は小説家になっている二人の男性がいて、二人は親しい友人同士である。写真家には、少なくとも年に一度はその姿を撮影し、それが何年にも及んでいる女性がいて、小説家には、彼の書くすべての小説のインスピレーションの源になっている女性がいる。しかし彼たち、彼女たちは恋愛関係にはならず、いや、恋愛のもっと向こう側にある、何かもっと痛切なものの中に没入してしまったかのようだ。片岡義男による、異例ともいえる長い「あとがき」にも注目したい。 【目次】 第一部「私は一曲のバラッドです」 第二部 最後の一行を書くために 第三部 八月の午後の一瞬から 第四部 写真についての一通ずつの手紙 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 彼は結婚したくなった
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    結婚したくなった夏は、さてどうなった? 人はなぜ結婚するのか? この問いに整然と回答するのは思いのほか難しかろうが、この小説の主人公は、一人で生きていては何もかもするりと過ぎてしまいもっと生活に抵抗がほしくなったからだ、と答える。彼は大真面目だ。そして複数の候補者の中から自分が結婚したい相手と、そうでない相手を区別していく。それらの女性の写真を横に並べながら。その行為はグロテスクなようでいて、彼なりの真剣な検討の流儀なのだ。そしてついに決めた相手に彼は結婚を申し込む。さあ、その返事はどうなった? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 胸のふくらみがこう語った
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    胸のふくらみのエンサイクロペディア 男性にはなく、女性だけが備えているもの。それが、胸のふくらみだ。この中篇小説は、一組の男女を中心にすえつつ、男性による胸の礼賛と、屈託なく胸を開放してみせる女性のふるまいによって、読者をこれでもかと胸のふくらみの世界へと引きずりこむ。やがて二人の対話や実践だけでなく、様々なシーンで見かけた胸のふくらみの魅力、胸の写真コレクション、そして絵葉書など、魅惑的な胸のエピソード集の様相を呈し、あらゆる角度から胸のふくらみについて語る百科全書的な領域へと近づいていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 紀子が三人いた夏
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    最も「日本的」と言われた作品を通じての「日本」批判 聡明なアメリカ人ジャーナリストの女性と日本人の男性。ほぼ全篇、二人によるディスカッションで成立している中篇小説。内容は、小津安二郎監督の『晩春』『麦秋』『東京物語』、原節子演じる「紀子三部作」についてだ。極めて日本的な映画であり、エディプスコンプレックスがそこにはあると一般的に解釈されているその見解を退け、彼らは核心に「性」をもってくる。限定されようとしている「性」の大きな可能性こそが原節子という類い稀な女優によって提示された映画だと。そしてそれは痛烈な「日本」批判でもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 彼女、三十五歳、独身
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    キャッチボールが力を与えてくれた インタヴューされるのは舞台女優。するのはライター。二人は共に、35歳の独身の女性だ。二人は、インタヴューの際に初めて会うのではなく、その前に、あるあざやかな偶然のシーンによって会う機会があった。インタヴューの中で、「キャッチ・ボール」が重要な行為であることが明らかになってくる。会話の比喩としての言葉のキャッチ・ボールではなく、文字通り、身体を使ったキャッチ・ボールだ。やがて二人は親密な間柄になり、キャッチ・ボールを実際にしながらそれぞれの過去と未来を確かめることになるだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 幸福な女性の謎
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    どんなふうに幸せか、わからないことは謎である 極めて端正な、見たところ破綻もないような女性が無味乾燥な、装飾の無いホテルの一室に落ち着いたかと思うとやおら電話をかけ、あるサーヴィスを依頼する。一人の女性が部屋まで派遣されてくる。迎えたほうも、やってきたほうも、相手の魅力を素直に認め二人だけのひとときを過ごす。それは世間的に見ればやや通常から逸脱した行為かもしれないが、そんなことはどうでもいい。大切なのは、二人が幸福であること。そして、それがどんな種類の幸福かわからず、謎のままであることだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • エスケープという名の香水
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    暗い場所なら、脱出がよく見える 地上21階。ホテルではない。私的な寝室だが、生活感はまるでない。外は雨。そしてここは、かなり暗い空間である。ほぼ初対面の男女が、お互いに裸で、会話を交わす。趣味について話し出すと、女の語る趣味は嘘か本当かわからないような(たぶん本当なのだ)荒唐無稽なものだ。いつかはやってみたいこと、として彼女が語る「夢」はいささか常軌を逸しているようでもあり、同時になにかしら人間という生き物の根源に触れるようなものでもある。この暗がりの中で、二人は生活から、日常から「脱出」している。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 基本を学ぶ幸せ
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼であり、彼女である存在が至近距離で学んだこと 男でありながら、美しい女性としての外見を備えている。しかし声は、あきらかに男性のそれだ。というような一人の存在が、恋人である男性を深く愛している。ところが突然、その恋人を奪われる日が訪れる。それは二人のいさかいではなく、時間の経過とともに、人の一生にはこのようなこともありうる、という事態での別れだった。「彼」を失った後の日々、その母親とのやり取りなど遺された人間としてのふるまいの、その美しさ。悲しさ。片岡義男らしい、同情を排しながらも深く優しい傑作短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 似合う口紅
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    「見つけたい」「なりたい」と彼は言った 今日的な用語を持ち出せば、性同一性障害、となるだろうか。男性として生まれながら、女性になりたがっている彼。そこには彼自身の意志だけでなく、彼の生き方に理解があり、それどころかあまりの美しさに半ば女の子として育てた母親と姉の存在があり、さらに父親の不在まで付いてくるのだから念が入っている。ただしかし、うまくいかないことが一つある。口紅だ。男性であることを捨てて女性になるのではなく、男性であるままで女性にもなる、というその存在のジャンプに見合う口紅は果たして見つかるのか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 小説のような人
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    あなたの過去は、私の未来である 娘は身長179cm。母は170cm。共にたいへんな高身長の二人が、おもいがけず久々に横浜の町を楽しむ機会に恵まれる。娘は小説を書こうと試みている身であり、母には離婚歴がある。日中、娘が偶然体験したある幸福なエピソードを契機に二人はいつしか小説論を語り合うことになる。そしてその語らいの中から、一つの短篇小説が生まれようとしている。娘は母から生まれたのであり、母、というカタチの過去が娘の未来をもたらしてくれる。そのような母娘の時間が港のある場所で描き出されたうつくしい一篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 真夏の夜の真実
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    1年後、少女たちは再び夜に集合する 激しい雨の降りしきる台風の夜。14歳の少女の家に、親友たちが集まってくる。全部で4人。全員が14歳だ。4人は一夜を共に過ごすために悪天候にも係わらず集まったがその一夜の目的は、ある現場を追体験することにあった。1年前の同じ日、同じように台風の夜に起きたある悲劇の現場を彼女たちは訪ねる。その出来事を彼女たちは見ていない。知らされただけだ。しかし彼女たちは今年、わざわざ集まった。そこへ行った。そしてそこでどんなことが起きたか、端的な事実だけを告げてこの小説は幕を閉じる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • いなくなりたい
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    いつか必ず、自分はいなくなる ここでは、おそらく誰もが人生の中で多少なりとも感じていながら突き詰めて考えたり苦しんだりしたことの無いことについて、あまりの純粋さゆえにのめりこんでいく少女の姿が描かれている。それは、自分とは何か、存在とは、時間とは何か、という問いだ。かつての自分と今の自分は別の人間であり、しかしながら記憶、というものがあるからその過去には今の自分として戻ることができるけれど今、その場所にかつての私はいない。私とはそう、いつだって「いなくなる」ことが確実な何か、のことなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ふたたびメドレーで三曲
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    メドレーのような長篇小説を トリュフォーの映画『ジュールとジム』(邦題は『突然炎のごとく』)のように仲の良い男女3人がいた。男が二人、女が一人だ。男のうちの一人と女が結婚し、もう一人の男は心から祝福する。そして時を経て、その二人が離婚したという。本当の仲良しであった3人には、三角関係は存在しなかったから、結婚の時に嫉妬はなかったし、離婚の時に憎悪はなかった。結婚しなかった男は今も独身、そして小説家だ。離婚した彼女には瓜二つの娘がいて、その娘もまた作家志望だという。あたらしい何かが今から始まりそうだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 84年の赤い色
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    今日はすべてがうまくいく日 片岡作品には、世間でマジョリティを形成しているヘテロセクシュアルばかりでなく様々なセクシュアリティの形が登場するが、今回はレズビアンだ。二人は今、40歳という節目の歳を迎えた。40歳。思い出も未来もたっぷりある年齢だ。二人が最初に出会った時のこと、それぞれ異性との結婚の経験がありながら、二人が互いにとってどんなに大切な存在なのかを思い知らされた日のことなどを二人は語り合う。今日は、インストラクターをしているほうの彼女の誕生日。二人の40台のスタートラインは上々だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 青いガーディニアの部屋
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    彼女が部屋の花に気づく時 登場人物は二人だけ。片岡作品にはめずらしく、中年の男女だ。彼らの様子はあられもない。セックスの後にセックスを語り、語りが一呼吸すると、またセックス。そのあいだに、なぜだろう、仕事のことや、母親(女性のほうの)のこと、その母親の葬儀のことなどが話題にのぼってくる。どうやら二人は女優と映画監督であるらしい。行為の前と後、ふと思い出したように彼女はしきりに「部屋が暗い」という。高層階のホテルの部屋だ。やがて彼女は、青いガーディニアが活けてあるのを見る。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 怖いほどに幸福
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    メイキング・イン・新幹線 一人の小説家がいる。44歳。女性。彼女には離婚歴がある。しかしそれは言ってみれば、幸福な離婚だった。なぜなら、小説を書くために生活から離れる、という自由を夫から与えられたのだから。その彼女は今、書くことについても自由に、ストレートに行為に移していく。編集者が新たな短編集を依頼したいと言えば、その日のうちに編集者の出張先まで同行して、新幹線の中でストーリーを作り上げてしまう。そのストーリーはジェンダーの枠をやすやすと超える自由なものだ。彼女は今、怖いほどに幸福である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 最高に気持ちいい
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    部屋は一つ、ベッドは二つ、女性が3人 久々に女性4人で会おう、ということになった。しかし、うち一人は若き旅館の女将であり、残りの3人の小旅行を受け入れる立場にある。彼女はこの短篇には登場しない。小旅行の目的地である旅館に行く前にホテルに1泊することになっている。4人ではなく3人という奇数であり、泊まる部屋は一つ。そしてベッドが二つ。つまり、一つのベッドに一人、もう一つのベッドに二人が眠ることになる。そしてその晩、部屋で起きたこと。見たもの。聞いた声。それは「一人」だった側にも、新しい歓びをもたらすものとなった。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 階段の下にいる男
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    パリであんパン、手紙を書きながら 一人の作家が、取材をかねてパリへ旅立つ。そしてパリで、高校の同級生だった女性と偶然に遭う。作家は、実は彼女の姉を慕い続けておりその気持ちは、階段の下から、上にいる存在を見上げるだけで満足、というような言い方で表れたりする。彼はかつて、その姉への手紙で、致命的なミスをしでかしたことがあった。しかしそのミスは皮肉なことに、彼がその姉に手紙を書き続ける力にもなった。そして今、偶然にも妹とパリで遭うとは! やはり何かがつながっている。木村屋で買って、パリまで持ってきたあんパンのように。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 美人と海岸
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    それでもやはりそれは筋道であり、小説になる 結婚してもおかしくはない男女がいて、しかし結婚したいか、まだためらう気持ちがあるか、二人の温度差がある、ということも、しばしば起きることである。男は、故郷の町に女を連れて行って、この女でいいかどうか、確かめたい。女は、彼の故郷に行くのだから、きっと結婚は間近だ、と思う。このあやうい落差を解消するために呼び出されるのが、男の友人である小説家。彼はいったい、どんな役割を期待されているのか? 相当に身勝手な男の計画に、彼は従ってやることにする。なぜならそれはそれで、筋の通ったことだから。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • ベーゴマの小説を書く
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    今まで知らなかった何事かを、小説に書くことについて ベーゴマ、というものがある。ある日突然、朝食を食べている時に、ベーゴマ、という一語が何の脈絡もなく小説家の頭に点滅する。現実にそんなことがありうるだろうか? といえば、おそらくはそういうこともありうるのが現実だろう。そもそも、ベーゴマのベーとは何かも知らない彼は何事も万能の姉を呼び出し、ベーゴマの回し方を伝授してもらう。そしてさっそく、短篇小説のプロットを作成する。まったく知らなかったものに少しだけ触れてそれを小説という、普段から付き合っている器に入れる瞬間の物語だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • グッド・デザイン
    完結
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    全1巻275円 (税込)
    きみはグッド・デザイン 好きだし、一緒にいたいが、ずっとは困る。なぜか。「良すぎるからだ」というのが彼の答えだ。彼女は良すぎるから、彼女といることだけで人生の全部になってしまう。他人が聞いたら鼻白むもいいところだが、これは小説であり、二人しか出てこない。「良い」とはすなわち、彼女がグッド・デザインだということでありこれ以上、彼にとって明白な事実は他にない。一組の男女が、互いになぜ好きなのか? を突き詰め、半ば議論のような会話を交わす。片岡義男以外の作家にはなかなか書けない短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
  • 幸福の限界
    完結
    -
    全1巻275円 (税込)
    彼女はそこにいる、いない、いる…… 静かで、淡々と進んでいくが、いささか狂いが見えるような小説。雑誌の仕事で広島を訪れた作家がきまぐれに街を散策し、古びた映画館を見つけ、入ってみる。ある意味では荒廃した、そして別の意味では非常に貴重な昔日の映画館で、まずはそのことに心を奪われるが徐々に、そこで観た映画へ、そして映画に出ていた女優へと関心が移っていく。やがて、その映画は作家としての決定的な方向転換を促し、そこから突き詰めた方向に向かって動いていく。まさに「限界」まで向かう奇妙な作品である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/

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