小説 - 福永武彦 - 小学館作品一覧

  • P+D BOOKS 海市
    4.0
    1巻990円 (税込)
    親友の妻に溺れる画家の退廃と絶望を描く。 妻子ある画家・渋太吉は、伊豆の海村で蜃気楼のように現れた若き女性・安見子との道ならぬ恋に溺れていく。 渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、妻とは離婚寸前の状況にあった。やがて、安見子は親友の妻であることが判明するが、彼女への思慕は変わらず、肉体関係を続けていく。 恋愛の幾つかの相を捉え、著者が得意とするカットバック手法で、それぞれの愛憎劇が複層的に展開されていく。 福永武彦が、退廃と絶望の中の愛の運命を描いた佳作の復刊に、著者の長男・池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。
  • P+D BOOKS 加田伶太郎 作品集
    3.0
    1巻990円 (税込)
    福永武彦が加田伶太郎名で描いた探偵小説集。 純文学作家である福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した「完全犯罪」「失踪事件」「赤い靴」などの探偵小説10編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せた異色の一巻。 大学助教授で自ら“安楽椅子探偵”を自認する伊丹英典は、助手・久木進を伴い、得意の分析力、想像力、論理力を駆使して、迷宮入りかと思われた難事件を次々と解決していく。 また、船田学名義で書かれた未完のSF作品「地球を遠く離れて」も併録した、福永武彦の意外な一面が垣間見える異色作品集。
  • P+D BOOKS 廃市
    3.0
    1巻770円 (税込)
    退廃的な田舎町で過ごした“青年のひと夏”。 誇り高い姉と、快活な妹――いま、この2人の女性の前に横たわっているのは、一人の青年の棺だった。 美しい姉妹に愛されていながら、彼はなぜこの世を去らねばならなかったのか? 卒業論文を書くために「廃墟のような寂しさのある、ひっそりした田舎の町」にやってきた大学生の「僕」は、地所の夫婦、妻の妹の三角関係に巻き込まれる。 古き日本の風情を残しながらも、どこか享楽的な田舎町での青年のひと夏の経験から、人の心をよぎる孤独と悔恨の影を清冽な筆致で描いた表題作「廃市」は、後に大林宣彦監督によって映画化された。ほかに「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」「沼」の全6編を併録。
  • P+D BOOKS 風土
    -
    1巻990円 (税込)
    芸術家の苦悩を描いた著者の処女長編小説。 関東大震災と第二次世界大戦という二つの歴史的大事件に挟まれた16年間――画家・桂が片時も忘れえなかった昔の恋人・三枝夫人との再会と、すれ違った愛の行方を追い求め描いた作品。 世界が激しく揺れ動いた時代、日本という風土に生まれ育った芸術家の思索、苦悩、そして愛の悲劇を通して人生の深淵に迫った力作である。完成までに十年の歳月を費やした福永武彦の文学的出発点ともいえる。 解説は芥川賞作家であり、福永武彦の長男でもある池澤夏樹氏。
  • P+D BOOKS 夢見る少年の昼と夜
    -
    1巻990円 (税込)
    珠玉の“ロマネスクな短編”14作を収録! 帰りの遅い父を待ちながら優しく甘い夢を紡ぐ孤独な少年の内面を、ロマネスクな文体で描いた表題作「夢見る少年の昼と夜」。 不可思議な死を遂げた兄の秘密が自分の運命にも繋がっている事実を知った女性の生を見つめる「秋の嘆き」ほか、「死神の叡者」、「鏡の中の少女」、「夜の寂しい顔」「未来都市」、「鬼」など、意識の深い底に横たわる揺らぎを凝視した福永ワールドの短編14作。 初版単行本『心の中を流れる河』、『世界の終り』より編纂した一冊。
  • P+D BOOKS 夜の三部作
    5.0
    1巻990円 (税込)
    人間の“暗黒意識”を主題にした三部作。 人間の奥深い内部で不気味に蠢き、内側からその人を突き動かそうとする“暗黒意識”を主題に書かれた『冥府』『深淵』『夜の時間』の三部作。 作家・福永武彦の死生観が滲み出た作品群だが、各ストーリーにつながりはない。 「僕は既に死んだ人間だ。これは比喩的にいうのでも、寓意的にいうのでもない。僕は既に死んだ」という書き出しで始まる『冥府』は、死後の世界を舞台にした幻想的な作品。 『深淵』は敬虔なクリスチャンの女性と、野獣のごとき本能むきだしの男との奇妙な愛を描いた物語。二人それぞれが一人称の告白体で、サスペンス的な要素も色濃い作品。 『夜の時間』は、男女の三角関係を、過去と現在の二重時間軸構造で描くロマンあふれる作品。
  • 福永武彦 電子全集1 「草の花」体験、福永武彦の出発
    -
    福永の出世作『草の花』を中心に、初めて単行本化された短篇集『塔』、学生時代に書かれた書簡など、作家・福永武彦の出発点とも言える、貴重な初期作品を完全収録。 第一高等学校3年、18歳の福永が「校友會雑誌」第355号に発表した「かにかくに」、肺病治療のため入院していた清瀬の療養所で、1949~1950年にかけて書かれた「慰霊歌」の収録2篇は、戦後に書かれた最も美しい青春小説のひとつ『草の花』(初刊版と決定版2種を収録)の原型となった作品。 収録した関連作品の中で、詩篇「戸田の春」と冊子「平野和夫君を偲びて」収録の俳句2句は、単行本、全集等未収録の貴重なもので、随筆「病者の心」は、療入所中に自身の心の推理変転を具体的に描き、『草の花』冒頭の章「冬」に繋がっていく重要作品である。 また、『草の花』「冬」の章と同じ精神的風土を表出し、福永自ら「小品」と呼ぶ4作「晩春記」、「旅への誘い」、「鴉のいる風景」、「夕焼雲」も併録。 一方、1948年に福永初の単行本と初刊が発売された『塔』からは、詩の精神を小説に定着させようとした実験的小説「塔」、「雨」、「めたもるふぉおず」を、初刊版と決定版の2種を収録。 作家・福永武彦の“文学の嚆矢”を理解する上で絶対欠かせない、ファンはもちろん、研究者も必見の第1巻である。 この作品の容量は、32.7MB(校正データ時の数値)です。 ※この作品はカラー写真が含まれます。

最近チェックした本