藤堂志津子 - 集英社作品一覧

  • 秋の猫
    3.4
    【第16回柴田錬三郎賞受賞作】男はもうこりごりと思った私は、ついに念願の猫を飼うことにした。が、二匹のうちの一匹がどうしてもなつかない。表題作「秋の猫」。夫婦で犬を飼い始めたとたん、仕事は順調、夫は女をつくった。いざ離婚というときに、夫も私も犬の親権を主張して譲らない。「幸運の犬」ほか、犬や猫との交流をとおして、心を癒され、孤独の寂しさを埋めてゆく男女を描く、心温まる短編集。
  • 夫の火遊び
    3.5
    『桜ハウス』と名づけた家でハウスシェアをしていた女たち。蝶子36歳・遠望子31歳・綾音26歳・真咲21歳。あれから十数年の月日が経ち……。今明かされる真咲の離婚の真相。婚約破棄を繰り返していた綾音が、選んだ男。遠望子のもとを訪れた女の目的は? そして、蝶子に新しい男が!? 一生懸命に生きるからこそ、どこかコミカルになってしまう30~40代の女たち4人を小気味よく描く傑作連作集。
  • かそけき音の
    -
    53歳の男との安らぎある関係に満たされながらも、19歳の青年に心ひかれていく省子。二人の男を隔てる歳月の切なさに揺れる少女のような想いを描く表題作「かそけき音の」。見合いを薦めながら週の半分は部屋にやって来る独身主義者の男を保護者のように受け入れてしまう亜由子、「合鍵」。はぐれ、寄り添い、憎みあう男と女の、どこかあやうくて微妙な8つのラブストーリー。
  • きままな娘 わがままな母
    3.7
    インテリアデザイナーの沙良、36歳は、母の駒子61歳とふたり暮らし。「あなたが心配だから」という名目のもと、チャンスさえあれば、娘を支配したくてたまらない母。善意がベースとわかってはいるものの、母の言葉に、嫉妬心やライバル心を感じることがある。家賃はなし、家事もすべてお任せという夢のような環境と干渉を天秤にかける娘。結婚のこと、老後のこと、娘と母の思惑は錯綜する。
  • 銀の朝、金の午後
    5.0
    浮気な夫と死別してお楽しみはこれからの初代・67歳、如才ない話術で世渡り上手の未亡人トヨノ・70歳、定年まで独身をつらぬいて働いてきた春子・65歳。ひとり暮らしの女たち三人が集まれば、噂話に花が咲く。老いらくの恋、他人の遺産の行方、健康のこと……。本音を出したり隠したり、好奇心旺盛な彼女たちの行くところ、話題と事件にはことかかず。コミカルで、ちょっぴり切ない女の友情物語。
  • 昔の恋人
    3.0
    忘れてしまいたい恋もある。胸にしまっておきたい愛もある。なつかしさと、ほろ苦さと、悔いと、いとおしさ、すべてがない交ぜの「昔の恋人」十数年ぶりの電話をきっかけに、かつての恋人との再会をはたす表題作の他、著者自身の体験を色濃く反映した傑作全4編。通り過ぎてきた季節を振りかえれば、甘く美しいだけではない思い出が多くて。苦みのきいた大人の恋物語。
  • 娘と嫁と孫とわたし
    3.4
    65歳の玉子は、亡き息子の嫁、里子と孫の春子との三人暮らし。お互いをいたわりあっての平穏な日々。そこに嫁にいった38歳の娘、葉絵がしょっちゅう帰ってきては、子供のころに心理的虐待を受けた、と身に覚えのない難癖をつけてからむ。実の娘よりも他人である嫁のほうがわかりあえるのか、いや、いざとなればやはり実の娘がたよりになるのか、玉子の心は複雑に揺れ動く。傑作連作短篇集。

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