密室トリックのデパート
密室トリックが目白押し!
密室、密室、密室、密室、密室、密室。
密室好きにはたまらない密室ミステリィ!
多彩な密室のオンパレードで、最後まで飽きさせないとは、なんとも贅沢な一品です。
密室トリックの可能性について、前向きな姿勢が随所から感じられ、前途有望な作家さんとして今後の活躍に期待が持てます。
登場人物のミステリィに対する思いが、これまた魅力的で、キャラクターの掛け合いが楽しい。西尾維新先生の物語シリーズなどのノリが楽しめる人には刺さるはず。
ふと、駄洒落で人物名を憶える夜月を見て、剣崎比留子がパッと浮かび、『屍人荘の殺人』がお好きな作家さんなのかな? と思っておりましたら、解説にて好きなミステリィとして挙がっており、ああやっぱり! と膝を打ちました次第。
それにつけてもミステリィは密室。(おやつはカールの呼吸)
密室トリックが見破られなければ、無罪! とは。
このなんとも思い切った斬新な世界設定は、清涼院流水先生が生み出したJDCシリーズにも通じる面白さがありますが、これって、ちゃんと読者が推理できる本格ミステリィとして楽しめる作品なの? と言う疑問も浮かびはしましたが、心配は全くの杞憂に終わりました。
島田荘司先生が本格ミステリー宣言で掲げた「幻想的な謎が論理的に解決すればそれは本格ミステリだ」と言う条件を十分に満たしています。
綾辻行人先生のように超常現象、西澤保彦先生のように超能力、森博嗣先生のようにSF、今村昌弘先生のようにゾンビ、辻村深月先生のようにファンタジィ、と言ったミステリーとは異なるジャンルの設定を、謎を紐解くための手掛かりとして組み込んでいるわけでは無いため、所謂、そう言うたぐいの特殊設定ミステリではありませんが、間違いなく特殊な設定の本格ミステリィ小説であることは確かです。
密室にこだわった、こだわりの密室ミステリィ。
次回作は、本当の意味での特殊設定ミステリが執筆されるのでしょうか?
わたし、気になります。笑