ブロンズ
レビュアー
  • 終端街の昇降機守(1)
    ネタバレ 購入済み

    なつかしき日々の、忘れ難き宝物

    荒れ狂う河のように流れてゆく過去の残骸、打ち壊されたものたちの中に、
    かけがえのない思い出の欠片が浮かんでいる。
    どうしようもなく捨てることができなかった記憶は、
    「わたし」が「あなた」を思い出す道標となる。
    人である以上、全てを持って行くことができないのならば、見送る者が必要だ。
    終端街の在り方を知るトウカは、人と共に在る人でもある。
    彼は誰もを見捨てるものかと、死者の手を取る。
    「あなた」がいたことを忘れまいと言うかのように、
    まるで星々の輝く夜に空を迷い見上げるように、
    いずれ朝の光に溶けゆく彼らの、最期の輝きを憶えている。

    #アツい #切ない #ダーク

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    2024年11月29日