ミレーユさんのレビュー一覧
ブロンズ
レビュアー
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なつかしき日々の、忘れ難き宝物
荒れ狂う河のように流れてゆく過去の残骸、打ち壊されたものたちの中に、
かけがえのない思い出の欠片が浮かんでいる。
どうしようもなく捨てることができなかった記憶は、
「わたし」が「あなた」を思い出す道標となる。
人である以上、全てを持って行くことができないのならば、見送る者が必要だ。
終端街の在り方を知るトウカは、人と共に在る人でもある。
彼は誰もを見捨てるものかと、死者の手を取る。
「あなた」がいたことを忘れまいと言うかのように、
まるで星々の輝く夜に空を迷い見上げるように、
いずれ朝の光に溶けゆく彼らの、最期の輝きを憶えている。