• メルロ=ポンティ入門
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    コースで言うところの前菜

    入門書としてはあまり評価できない、というのが第一印象であろう。
    これは著者のエッセイである。いつまで経ってもメルロ=ポンティについての解説や解釈などは登場せず、著者の実体験に基づいた様々な「出来事」を淡々と記述し、その支えのためにメルロ=ポンティがたびたび顔を出す。
    だから入門書としてはあまりお勧めできない、と言うのが正直な意見である。
    だが、メルロ=ポンティの思想を「コース」と例えるなら、この書物は非常に上品な「前菜」だと言えるであろう。
    食欲を刺激させられ、まるでこれからくるスープやメインを取りたくなるかのような、そんな書物。
    そうしてはたと気付かされるのだ。
    そうだ「学問」とは、ただ受動的に知を受け取ることではない。
    自らの興味や好奇心を刺激され、そこから自らの意志で向かおうとする、それが「学問」に対する、あるべき姿勢ではないのだろうか、と。
    「人生とは何か」と言う根源的かつ原始的な問いに、我々は船木氏に誘われる。もっと学ばなければ、いや、もっと学びたい、と言う意欲に駆り立てられる。
    「知覚の現象学」や「意味と無意味」をただ機械的に消化し、「知識を蓄えた」などと傲慢になるだけでは「意味」がないのだ。
    この意欲、コースを平らげてもなお食べ続けようとするあくなき意志、本書は、そんな思いを十二分に焚き付けてくれるのだ。
    だから入門書としてはお勧めできないかもしれないが、自らの背中を押し、メルロ=ポンティ、そしてそこから派生する数多の「学問」への冒険心を駆り立てる、素晴らしい一冊である。


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    2022年01月19日