原作は面白いが漫画はひどい
原作小説のファンで、漫画も表紙が良かったので期待して読み始めたが、全体的に低品質で、商業印刷として出すレベルではないと感じた。
原作は面白いので興味を持った人には小説版をお勧めしたい。
大雑把に言えば、原作ファンが勝手に、自分が好きなシーンだけ前後の文脈を考慮せず抜き出してつなぎ合わせた同人誌、といった感じ。
まず絵が下手。お手本のような表紙詐欺。
特に主要キャラ含め男性陣とモブ、背景や小物があからさまに手抜き。
細部にこだわって読む方ではないが、いくらなんでも雑すぎて話に集中できなくなるほどの差が主人公との間にある。
主人公クラスもしばしば絵柄が不安定で気になるが主人公と主要女子キャラの立ち絵だけは比較的まとも。
頑張って練習したのかもしれない。
アクションシーンになると主人公であってもてんでダメ。
一番ひどいのは話の構成。
原作ではまず普通の学校に入り、そこからいろいろあって別の学校に入り、という流れになっている。
が、漫画ではいきなり2つ目の学校に入ったところまで話が飛ぶ。
1つ目の学校では普通の学園モノでアクションシーンなどの見せ場が遠いからか?とも思ったが、画力的にそういうのは難しそうなのでなぜ飛ばしたのかよくわからない。
2つ目の学校に入り、同室の者と自己紹介を済ませ打ち解け始めたかと思いきやすぐに回想シーンで1つ目の学校に逆戻りし、以後ずっと1つ目の学校の話をかなり飛び飛びにしてダイジェストで描いてく。
すぐに回想に入るのであれば何のために時間を飛ばしたのだろうか?2つ目の学校のキャラが突然出てきたかと思ったら消えたよくわからない人になってしまっている。
1つ目の学校の話も非常に大きく端折られて飛び飛びの状態で、仲良くなったと思ったら次の話でもういなくなってたといった状態。
原作で面白かったギャグや日常シーンが9割がたカットされ、残ったストーリーラインをただ追っかけていっているだけの面白みがない漫画になっているように感じた。
原作を読んでいれば名場面集として多少は楽しめるかもしれないが、漫画だけ読んでも説明や関係性の描写が不足していてキャラに何の思い入れも残らないだろう。
下手に改変しようとせず原作そのまま1から10までやっておけばまだマシなものが出来ただろうに。