江古田さんさんのレビュー一覧
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義妹生活12【電子特典付き】
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購入済み
ネタバレ 購入済み見事、としか言い様がない。
題材としては決して目新しくもない、親の再婚を機に家族となった兄妹、から始まる物語は、大方の予想に反して実に淡々としたものだ。よくも悪くも、如何にもラノベ的な急転直下の展開の一切を排しつつも、揺れ動く兄妹の心の機微に触れる度、読者の共感を否応なしに浚う文章の巧みさに唸らされる。二人が廻る日常に説得力を持たせるだけの伏線に驚き、物語の流れが自然体で紡がれる様に、よくよく練り上げられた著者のストーリーテラーとしての手腕には脱帽するしかない。
読み進めていくと、必ずはっとさせられる文章に出逢える数少ない作家の一人で、華美な表現は寧ろ少ないにも関わらず、それでも心に刻まれるのは、実に的を得た文が過不足なく記されている為だ。
科白一つをとってみても、それは発せられる登場人物の「らしさ」であり、その時々の感情と乖離しない言葉の羅列は妙に生々しく聞こえて、物語の分岐点に複数ある筈の選択肢の中でも、二人にとっての正解を揺るぎなく辿っているのだと感じさせてくれる。
ラノベ作家の特許とも云える自由な文体に、見た目以上に骨太な展開、僕は正直ずるいと思えてしまう。紡がれる二人の成長記録が瑞々しく感じられらることを狙って、あまり畏まらない雰囲気のラノベ界隈に照準を絞っての業だとしたら、筆者の深謀は極まれり、という処か。
生ハムの原木、が説得力を帯びて引用されることになるとは想像の斜め上をいくどころではない。感服。 -