願兼於業さんのレビュー一覧
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ネタバレ
幸せな主人公
読む人によって誰が主人公になるかは、変わってくるのだろう。
タイトルを見る限りそれは直樹ではないような気がするが。
社会と親族の荒波を乗り越えてきた直樹の実力と人を見抜く力は凄いのだが、平岩によってこの登場人物の多くは、幸せと成功を掴む。なんという大きな人間であろうか。
そして、それによって奇しくも自分自身か最高の人生へと昇華されていく。
彼にとっては幼くして亡くなった息子の分身でもある佑樹と2人で歩く至高のひととき。
自身が生涯をかけて取り組んだ仕事を、はからずも1番認めてくれた佑樹との会話。そのシーンがしっかりと読者には見えたのではないだろうか。
それにしても、直樹はなんと幸せな人なの -
ネタバレ
あり得ないほど豪華な誕生日会
徳子お祖母ちゃんを見ていたら、教師が崇高な仕事だった頃を思い出す。
いつの間に、教師は何を言っても許される不満の捌け口へと化していったのだろう。
そして、その原因は……?
ここに登場する幾人もの教え子たちは、徳子先生への恩を決して忘れない。
生命の奥底で、感謝の念が静かに時を待っていたのだ。
時や場所を隔てても、お互いを思う美しすぎる愛が、まるで千穐楽のような90歳の誕生日会(晩餐会)へと螺旋のように絡み合いながら集まっていく。
そして、玉木シェフの読み上げる手紙は、私は何度も読み返し、何度も嗚咽した。
嗚呼、人に励ましと勇気を送る教師という仕事のなんと誇り高きことか!
そして、その愛情に応