個人的に
個人的に、ヒロインとヒーローが好きになれませんでした。
政略結婚で、ほぼ押しきられる形でヒーローと結婚する事になったヒロイン。政略結婚で愛などないはずなのに、夜頻繁に部屋を訪れるヒーローにヒロインはうんざりしています。しかも行為は一方的で、まったく気持ちよくないらしい。
何度行為を重ねても子宝に恵まれず、苦手な社交の場から逃れる為に、ヒロインはヒーローに黙って側室を立ててしまいます。それに大激怒するヒーローですが、結局それを受け入れてしまう。
社交の場は全て側室に押し付け、夜の行為は嫌々参加し、ヒーローが帰宅する度に溜息をつくヒロイン。こんな状況が2年間続きます。序盤はヒロイン視点で進むので、永遠と内心グチグチ言っているヒロインにかなり苛々しました。
作中ヒロインは「自分はこんな性格じゃなかった。もっと楽観的でお喋りが大好きで、大口を開けて笑う明るい性格だった…」と語っていましたが、ただ格上の完璧ヒーローに萎縮してるだけ。社交の場から逃たのも「田舎者」と馬鹿にされて惨めな思いをするのが嫌なだけ。夜の行為が嫌なのは、まぁヒーローが悪いんだけど…。いくら押しきられる形とは言え、ヒーローから直接プロポーズされて「はい」と言ったのはヒロイン。実家に借金がある訳でも、脅された訳でもない。結果的に結婚する形になったとしても、嫌なら内心で思ってるんじゃなくて、ちゃんと口にしてほしかった。楽観的で明るい性格と言うのなら、陰口からも逃げないでほしかったし、自分はヒーローの正室に相応しくないと思うなら、理由や経緯はどうあれ、相応しくなれるよう前向きに努力してほしかった。そんな後ろ向きで、現実と向き合おうとしないから、ヒーローと距離はまったく縮まらず、最後の最後までヒロインがヒーローに対して愛情が目覚めたのか謎のまま。なので、物語が全く盛り上がらず、ベッドシーンもヒロインが感じる描写は終盤までありません。何せ、ヒロインがヒーローを迷惑がってますから。あと、ヒロインの性格が物語を通して安定してないのも読みづらかった。
更に残念なのは、ヒーローがヒロインを正妻にした理由。一目惚れなのでしょうが、私は全く共感できませんでした。あんずを丸かじりして、幼馴染みの青年に「まったくしょうがないわね」と言ってあんずをあげた姿に惹かれたっぽいけど…何で?