あらすじ
染め直したり、仕立て直したり、そういう工夫も楽しいわ
リフォームから晴れ着まで、裁縫名人の姫君が遭遇する平安ラブロマンス
藤大納言家の中の君・謹子は内親王だった母を喪い、継母から一族の裁縫仕事を押しつけられている。乳母たちは嘆くものの、当の本人は縫物や染物を楽しみ、結婚にも興味なし。そんな謹子が侘住まいする染殿に今をときめく若公達・藤原真幸が! 賀茂祭で謹子を見初めたという真幸と運命的に結ばれるも、謹子は世間から忘れられた身。実は真幸の本命は異母妹の慈子だった!? 創る喜びと恋の成就を色鮮やかに描く物語。
藤ヶ咲・装画
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
話としてはとても地味ながらも、丁寧に描かれているので、その地味さが堅実さとなって好みでした。
ハラハラドキドキではないねですが、慎ましい謹子の手仕事と相まってしみじみといいなぁと噛み締める物語でした。
が、このお話の山は謹子と真幸のすれ違いと、実家を出し抜いて結婚を成就させることのふたつなのですが、すれ違いは丁寧に丁寧に書かれているのに対し、結婚はあっけない!
あと3倍のボリュームは欲しかった!
染め物の描写も細やかで、物語自体も突飛なところがなく進んできていたので、終盤が少し呆気ない。予定調和であっさり着地してしまったのが本当にもったいない。
前半が良かっただけに惜しいという気持ちが強い物語でした。
Posted by ブクログ
外見ではなく内面の美しさを正しく見抜く真幸様なのに、どうも謹子とすれ違っているなと思ったら、謹子の継母が非常に面倒だったという。
衣装づくりを押し付けてくるし(その衣装づくりを謹子はあまり苦なくこなしてしまうあたりがより厄介)人の手紙は勝手に読むし。
後半の異母妹への求婚話は、上記から大体想像ついたが……謹子のファインプレーで何とかすれ違いを是正できて本当によかった。
しかも、真幸様は現状を把握したうえで、彼女のために当時としては異例の対応を見せてくれた。
その愛、間違いなく本物である。
継母と異母妹はさぞ悔しがったことだろう(申し訳ないが、ざまあとしか言いようがない)
巻末には真幸様視点の妻語り(という名の惚気話)も掲載。
聞いていた人たちが謹子たちに好意的でよかった。
そうした純愛ものとして広めて、彼らの結婚を是非祝福してほしいと思う。