あらすじ
野生動物と人間との間に,深刻なあつれきが起きている.シカの農林業被害,クマの人身事故,トキの絶滅──.野生動物と共存するためには,野外調査の成果に裏打ちされた,科学的で計画的な保護管理が必要である.外国の事例や過去の失敗に学びながら,著者が実践してきた事例を通して,日本に合った科学的な保護管理の手法を考える.
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Posted by ブクログ
ワイルドライフマネジメントという言葉が意味する基本的なコンセプトはこの書を読むことによって分かるが、それを実行することによって展開していく三次元的な広がりのようなものはあまり感じ取ることができなかった。
シカやクマを扱った具体的な事例もいくつか紹介されてはいるものの、表面的な事象のみをなぞっているような印象から抜け得ない。
このあたりは、職業作家と比べるのはちょっとアンフェアかもしれないが、日本語として若干の読みづらさがあることもひょっとしたら影響しているか。
あるいは、日本においてはまだ1冊の本を存分に編めるほどにワイルドライフマネジメントそのものが浸透しておらず、根付いてもいない、という証左なのかもしれない。
科学的見地に立って客観的に野生動物をマネジメントしていく、という行為は理屈としては正しいのであろうが、どうしてもそこにすら"人間の作為"が大きく介在している、という違和感は禁じ得ない。
どこまでいっても、人が恣意的に環境をコントロールしようとしていることには違いないから。
いつも思うのはやっぱり、"自然って何だろう?"という問いかけ。