あらすじ
環境社会学とはどのような学問なのか。近年、「持続可能な未来」が国際社会の最重要課題となるなかで、この学問はいったいどんな道筋を私たちに示してくれるのか。本書では、日本における環境社会学の立ち上げに大きく寄与し、その研究を長年牽引してきた第一人者が、みずからの研究史を振り返りつつ、この学問がもつ魅力とその可能性を浮き彫りにしていく。他人事でなく自分事として環境問題を受け止め、よりよい未来を模索しようとするすべての人のための導きの書。
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Posted by ブクログ
戦後、公害がまだ公害と見なされていなかった時代まで遡って、日本の環境問題の歴史を知ることができる一冊。環境社会学は、環境問題を前景化させた点で、従来の社会学とは異なる。日本でも市民運動が盛んだった時代だったからこそ、環境社会学は市民の視点から、フィールドワークを行い、開発が生み出す環境破壊の解決を目指す学問である。
社会学に馴染みがないが、環境社会学と親和性が高い研究を行う私にとって、環境社会学の歴史を知ることができたのは大きい。特に、読むべき本や知っておくべき研究者、環境社会学が何を対象にしてきたか、をおさえておくことができたので、何度か読み直したいと思う。
一方で、再生可能エネルギーのネガティブな側面については、あまり触れられておらず、著者自身が何を目指しているのかは記述されていなかった。
Posted by ブクログ
環境社会学について歴史から今後の展望台、弱みや強みなど基本的な概要を理解するのに役立った。環境社会学は法や経済の視点から環境問題を捉えるよりも、コアとなる学問的理論が弱いものの、分野を幅広く横断して問題の本質に迫る姿勢は、環境問題という複雑な課題の本質を捉え、解決に導くために欠かせない学問だと思った。海外の情報がまだ導入できてなかったり、逆に発信できていないことや、社会学との理論との結びつきがまだ弱いなど、課題も理解できて良かった。公共政策と市民運動が結びついていることも改めて認識できてよかった。