あらすじ
乃木坂46に1期生として加入した中元日芽香さんは、「ひめたん」の愛称で多くのファンに愛された人気絶頂の中、アイドルとしての活動を停止します。
実はこの5年ほど前、アンダーメンバーの頃から、彼女には異変が起きていました。摂食障害(過食症)を経験したのです。選抜入りどころか、なかなかアンダーの最後列から前に行けないストレスが、彼女を食べ物に向かわせたのです。
ようやく選抜メンバーに上がり、今度は1列目を目指す、という時期に彼女は、仕事を楽しめていないボロボロの自分に気づいたのです。家から出られない、涙が止まらない、リハーサルに行けない、笑えない、喋れない、伏し目がち……。ついには休業を余儀なくされました。医師の診断は「適応障害」でした。
それからの彼女の大きな支えとなったのは、カウンセラーの言葉でした。
「(カウンセリングで)あなたは秀でたものが何もないと言ったけれど、五年間も頑張り続けてきたことがすごいことだと思うよ。誰もができることじゃないんじゃないかな」
「今まで自分が泣けなかったから、代わりに身体が泣いてくれていたんだね。辛かったでしょう。頑張ったね」……
日芽香さんは心身が回復していくにつれ、カウンセリングに魅力を感じはじめます。そしてカウンセラー養成スクールに入り、カウンセラーとして、自分の辛かった経験を生かす道を歩みはじめました。
アイドルとして何を感じ、いかにして適応障害を乗り越え、人の悩みを受け止める立場になったのか――。日芽香さんのこれまでの思いを余すところなく綴る、初の書下ろし作品です。
乃木坂46樋口日奈さん推薦!
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Posted by ブクログ
乃木坂46に在籍していた頃を見ていましたが「そんなに選抜にこだわらなくてもいいんじゃないか」と思っていたメンバーの一人。本人もこだわり過ぎていたようで、当時のリアルな苦悩を知れたのは貴重でした。
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2022年の夏ごろ、ふとYouTubeで「乃木坂工事中」のアーカイブ動画を見つけ、暇だしバナナマンが好きだからと見始め、気付けば乃木坂46のファンになっていた。
それからいろいろ知っていくうちにかつての1期生「ひめたん」を知って、さらにそのひめたんは適応障害によって卒業されたと知った。
そして、たまたまそんな中元日芽香さんが本を出したというインタビュー動画を見つけ、ひめたんではなく中元日芽香さんにも興味を持った。
そんな流れでこの本を手に取ってみた。
アイドル時代を振り返る内容が比較的長いので、ファンになったからこそ楽しめた内容でもあるのかなって思う。「あの時こういうことがあったんだ」「そんなことを感じていたんだ」など。
そして、インタビュー動画を見て声やしゃべり方を知っているからこそ、読みやすかったのもあると思う。文章が自然と声になって聞こえてきたから。
でも、なんていうか、乃木坂46とかアイドルとかよく知らないしって人にもたくさん読んでみてほしいなって感じた。
自分は大学時代に一度ひきこもりになり、その後社会不安障害・鬱などの診断をされ、大学を中退。それから10年以上ずっと通院を続け、カウンセリングも受けている。だけど、とある事件があったから、大学の保健センターに相談に行けて、そしてそこから通院へとつなげられただけで、正直自分は運がよかったと思ってる。それくらい精神科や心療内科へ行くこと、カウンセリングを受けることってハードルが高いと思う。自分にはものすごく高かった。
でも、この本を読んだら、きっとそのハードルはぐんと低くなってくれると思う。
もし「ちょっと疲れちゃったな…」って感じる人がいたら、自分だけじゃなく周りにそんな人がいたら、この本を手に取ってみてほしい。
もしかしたら、ちょっとだけ世界の見え方が変わるかもしれないし、病院に行ってみる勇気をもらえるかもしれないから。
そういう本だったと思う。
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ライブにも握手会にも行ったことはないけれど、かつて憂鬱な日曜日の深夜に観ていた深夜番組での「ひめたん」のキャラと笑顔が好きだったので読んでみた。
アイドル時代はやはりかなりの頑張り屋でどこにも吐き出さず取り組み続けた結果、オーバーヒートしてしまったようだ。
夢に向かって頑張っている人の頑張りすぎを止めるのは難しいとは思うけど、10代20代の子達のエンターテイメントの残酷性を売りにして商売してるのなら会社の大人はもうちょっとちゃんとケアしてあげてほしいなぁと思った。頑張っても頑張っても報われず、目指すべき次の目標がわからないのは辛いと思う。
第2章、第3章で過去の自分やトラウマに向き合って一歩前に踏み出した様子が読めて良かった。努力を人に見せないタイプの努力家の若い人が葛藤や苦しみを文章にしてくれる本はあまりないので、今色々なことで悩んでいる人が読むと等身大の自分を受け入れて一歩踏み出すきっかけになるかもしれない。
あの頃の日曜日に笑いと癒しをくれてありがとう、と伝えたい。
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私は乃木坂46のファンで、特に一期生の皆さんが大好きです。今は一期生の皆さんの殆どが卒業されてしまったため、少し離れてしまいましたが、「乃木坂って、どこ?」や「乃木坂工事中」は欠かさず見ていました。
その中でひめたん(ここでは親しみを込めて「ひめたん」と呼ばせていただきます。)はアイドルとして人一倍頑張っている姿が印象的でした。一方で、本書にもあるように、他のメンバーと比べても頑張り過ぎているように見えたり、バナナマンのお二人からの咄嗟のフリにご自身としてはうまく答えられていないと感じ、落ち込んでいるような姿も見受けられました。
本書を見て努力家で感受性が高い分、自分自身を許せなかったのだと、改めてひめたんの思いを感じとりました。私自身も自分の本当の感情を人にさらけ出すのは得意ではなく、空気を読んでしまうタイプなので、ひめたんほどの努力はできていないものの、気持ちは痛いほど良くわかりました。
頑張り過ぎて自分を褒めることのできない方におすすめしたい、温かい気持ちになれる一冊です。
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「ひめたん」こと中元日芽香さんがアイドルになってから乃木坂46を卒業、芸能界を引退し、心理カウンセラーになるまでのことを振り返り、これまでに感じ考えてきたことを綴ったエッセイ。
中元日芽香さんは適応障害になった経験があり、書かれている内容は、元アイドルのエッセイから連想されるような、明るく軽いものでは決してありません。
選抜メンバーに落選し続け、ようやく選ばれてもすぐにアンダー降格、再び選抜チーム入りした時も3列目で、さらに前に行ける自信がなくなり、目標を失うといった挫折体験、心の葛藤が赤裸々に綴られていて、結構重い内容です。
この本が書かれた理由は、作者が悩んだようなことは、どの環境・立場にいても根っこにある部分は似ているのではないか、悩んでいる誰かの心に実体験という形でそっと寄り添えたらいいな、という思いだったとあとがきに書かれています。
読んでいて印象的だったというか、ハッとしたことが2つあります。
1つ目は、中元日芽香さんは、「ひめたん」は自分とは別の人格であり、「ひめたん」という役を演じていたのだと客観的に見ていることです。心身の調子を崩したのは、「ひめたん」をコントロールしきれなくなったからだと語っています。
2つ目は、中元日芽香さんは卒業してからしばらくの間、「乃木坂に触れると胸がザワザワする」と感じ、乃木坂に関するものに接することを避けていたという話です。その理由が「わたしにとって乃木坂はトラウマになっている」ということに気づきます。トラウマが解消される過程は第3章に書かれています。
他人の苦しみに寄り添う心理カウンセラーという仕事は、中元日芽香さんにぴったりだと感じました。
中元日芽香さんのファンだけでなく、多くのアイドルファンの方、現役アイドルの方、アイドルを目指している方、日常生活に生きづらさを感じている方など、大勢の人に読んでほしいと思います。
Posted by ブクログ
たった今読み終わったばかりの感想を。
アイドル時代には語られなかったような心境が語られていて、物凄く心が動かされた。
僕自身も過去に心を病んで環境を変えた経験があり、共感する部分も多く(ちょっとまだ頭の中まとまってなくて言語化難しい)。
主題からは少し外れるけど、ここからは言語化しやすい部分をつらつらと。
文章全体に、彼女の人となりというか癖が表れてるのが大好きで。ああこれは彼女が書いた文章なんだなと。
例えば、「選抜に選ばれる」という言葉遣いは「頭痛が痛い」とは違うと説明したり、自分の書いたブログで「芸人」ではなく「コメディアン」と書くべきだったと反省してたり。
あるいは自分の性格について、こういうところは「嫌な性格」と語っていて、読み手からすると人間的だしそんなに嫌でもないけどなあという部分でも、本人はそう言わずにはいられないんだろうなあという感じが伝わってくるのとか。それを言ってしまうことについても更にもう一歩俯瞰して説明してたり。
僕もそういう説明をしたがるタイプなので、なんかそういうところも共感してしまった。
こういう「丁寧さ」が彼女が辛い想いをしてしまった要因かもしれないし、それは僕自身もそうだなと。
加えて言うなら、物語のオチの綺麗な感じも、なんというか僕が書きそうな文章に思えて共感しちゃう。
乃木坂ファンとしては、実際に1メンバーが選抜アンダーという枠組みの中で感じる苦しみだとか、あるいはファンの中で囁かれるような指標や言説を気にしている(例えば、アンダーセンターの2作次は選抜に入るなど)というのを知れて興味深かった。
近年は選抜-アンダーという対立構造によるエンタメは少なくなってきているが、彼女たちのパーソナリティを消費している構造に変わりはなく、考えさせられる部分もある。
エンタメとして成立させてくれているのは有り難いし僕はそれを楽しんじゃっているんだけど、でもまずは彼女たちに負担がかかりすぎないことを第一に思っていたいなと。
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ひめたんが闘い続けた6年間は、キラキラした華やかな世界だけではなかった。
「その場に適した猫をかぶるようなイメージ」で生きてきた彼女が創り出した姿が、アイドルの「ひめたん」だったと。
彼女の「猫をかぶる」話に、かなりの共感を感じた。
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元乃木坂46の中元日芽香さんのエッセイ。
アイドル時代から現在のカウンセラーという職に至るまでの経歴が書かれています。
乃木坂に所属しているひめたんを見ていて、辛そうだな…と感じることもあり休養期間も心配だったけど、ここまでダメージを受けていたことを知らず驚きました。
そして私たちファンはアイドルから元気をもらい、アイドルの言葉に一喜一憂し、大きな影響を受けて生きていますが、逆もまた然りということが語られていることが印象深かったです。ファンのひとつひとつの言葉がアイドルに影響を与えていて、それが良かれと思って発した前向きな言葉でも相手の負担になることがある……忘れられがちだけどファンとアイドルという関係性も、なんてことない普通の人間関係なんだな、ということを実感しました。
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アイドルという職業の大変さ面白さを実体験を通して感じることのできる本です。
アイドルを続けられなくなって引退し、その後、カウンセラーの道に進む過程に感動しました。
一見、精神的に病んでしまうかわいそうなアイドルという見方もできますが、ひめたんは、とてとクールで強い人間だと思います。
ここまで、素直な気持ちが書いてある本を初めて読みました。
芸能界という特別な場所を知れる興味深さや、赤裸々に語っている部分が特に面白いです。
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乃木坂46の大ファンで中元日芽香さんが在籍していた時から応援していましたが、適応障害であったことは知らなくて、この本が出版されると聞いてからずっと読みたいと思っていた。私も過食ぎみの傾向があり、日芽香さんの丁寧な表現一つ一つにとても共感できた。過去を受け入れて前を向き、休みながら少しずつ進むことが大切なのだと気付かせてくれた。また、私自身も心理カウンセラーにお世話になって救われた部分が多くあったのでカウンセラーさんに気軽に相談出来る環境整備が必要であると感じた。
Posted by ブクログ
適応障害という病気は身近にあり、わたしもなりうる病気なんだ。いくら頑張って仕事場へ行こうとしてもいけないというところが共感できました。そんな中、引退を決めて、自分の時間を作り、この体験を心理カウンセラーとして、そんな人たちを助けたい、と、行動に移すことは、ひめかちゃんしか出来ないことだと思いました。
Posted by ブクログ
2024.12.23
乃木坂を好きになって初めて行ったライブはまりっかとひめたんが卒業する日だった。だからひめたんのアイドルの姿を見ていたわけではないので、この本でアイドル時代の苦悩を知れた。
1期生に合格したとともにアンダー所属が決まった喜べない気持ち、選抜できない現実、段々と心が壊れている様子がつらかった。
アイドルって若い時にしかできない職業だけど、思春期の多感な時期に荒波に揉まれるのは厳しい世界だな。
ひめたんが適応障害、過食症を乗り越えて経験を活かしてカウンセラーとしての仕事を楽しんでいることにホッとした。
Posted by ブクログ
人の心に寄り添える人ってなんでこんなにも魅力的なんだろうか。どれは誰よりも傷ついて誰よりも人生について考えてきたからなのだろう。明るくて疲れを一切見せないアイドルとしての姿しか見てこなかったから、当時こんな苦労があったなんて思いもしなかった。「活動休止します」って、アイドル推しなら一度は見たことある言葉の中にどれほどの苦悩と決断が詰め込まれているのだろうか。そうした無限に続く苦しみを超えた先でここまでよく頑張った、えらい、ありがとう、生まれてきてくれてありがとう自分ってどれだけの人が言えるのだろうか。そんな芯の強い方が書いた本。ぜひ読んでほしい。