【感想・ネタバレ】アンチレイシストであるためにはのレビュー

あらすじ

全米130万部ベストセラー!
《米Amazon第1位》《NYタイムズ・ベストセラー第1位》
“2020年最も影響力のある100人”に選ばれた世界が注目する歴史学者による
世界に蔓延るレイシズム(人種主義)を解き明かすためのガイドブック。


アンチレイシストとは
人種だけでなく、民族、文化、階級、ジェンダー、セクシャリティなどの違いを平等に扱う人のこと。

世界に蔓延るレイシズム(人種主義)の構造や本質をみずからの体験を織り交ぜながら解き明かし、制度としてのレイシズムを変え、「アンチレイシスト」としての態度をとりつづけることがその解決策だと訴える。

レイシズムが深く浸透した社会では、自身をふくむほとんどの人の心にレイシズム的な考え方が潜んでいる。
レイシストの権利者たちがつくりだす「ポリシー(政策、制度、ルール)」を変えない限りレイシズムは解決できず、「レイシストではない」と発言する人も、そのポリシーを容認する限り仮面を被ったレイシストなのだと厳しい目を向ける。
だからこそ、「アンチレイシスト」でありつづけるためには、レイシズムを生物学、民族、身体、文化、行動、肌の色、空間、階級に基づいてよく理解し、レイシズム的な考え方を見つけるたびに取り除いていく必要がある。
問題の根源が「人々」ではなく「権力」に、「人々の集団」ではなく「ポリシー」にあることに目を向ければ、アンチレイシズムの世界が実現可能となる。

ぼくたちはレイシストであるための方法を知っている。
レイシストでないふりをする方法も知っている。
だからいま、アンチレイシストであるための方法を学び始めよう。


【著者】
イブラム・X・ケンディ Ibram X. Kendi
歴史学者、作家。ボストン大学〈反人種主義研究・政策センター〉の創設者であり所長をつとめる。本書は2019年にアメリカで刊行され、大ベストセラーとなった。アメリカの人種差別の歴史を描いた『Stamped from the Begining』は2016年全米図書賞(ノンフィクション部門)を受賞。

児島修 こじま・おさむ
英日翻訳者。立命館大学文学部卒。主な訳書に、パーキンス『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)、リトル『ハーバードの心理学講義』(大和書房)、フィネガン『バーバリアンデイズ』(エイアンドエフ)などノンフィクションを中心に多数。

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Posted by ブクログ


この本はとても面白い。
レイシストそしてアンチレイシスト。

自分はレイシストではないと思いつつ、心のどこかで集団の行動として避難する。
そういったことがレイシストに値するのだ。

日本ではほとんど日本人でレイシストというより階級による差別や年齢による決めつけとかが当てはまるかなと思った。

そしてそういうのはポリシーによって人々を差別し、遮断している。

問題はそういう観点では資本主義が大きな役割を果たしているし、だからといって共産主義を支持するわけではない。
みんなが幸せに暮らすことや、偏見のない世界というのは難しいなと感じた。

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2024年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

その人はどのような人種的集団も代表していないので、その人自身を見ようっていう本。

最初は人種主義=レイシストってさすがに言い過ぎじゃない?と思いつつ、読んでいくと、なるほどある人種を褒めてようが貶してようが「〇〇人種って…」と言うのは、カテゴリーがデカ過ぎて結局「地球人って…」と言ってるのと変わらないのかもと考えが変わってきた。

そして、過激な急進的な言葉というのはどれくらい人の心を変えられたかで測り、保守的な言葉というのは人の心をどれくらい現状に維持させたかで測るという考え方は、とても納得が出来た。


p. 320

ぼくは黒人全体の代表ではなく、自分自身を代表しているだけだ。
もし”裁判官たち”がぼくの行動に基づいてその他おおぜいの黒人の評価を決めるのならば、問題はぼくではなく、黒人全体でもなく、彼ら自身にある。彼らがレイシズム思想をもつ責任は彼らにあり、ぼくにはない。ぼくにレイシズム思想があるとしたら、その責任はぼくにあり、彼らにはない。アンチレイシストであろうとすることは、ぼくがぼくであり、自分自身であり、不完全な自分であるのを認めることだ。

p. 331

大地を焼きつくさんばかりのぼくの激しい言葉が黒人学生連合の集会や会合から参加者を遠ざけ、大地を焼きつくさんばかりのぼくの激しい文章が読者を遠ざけたとき、ぼくはたしかに過激だった。
でも実際には、ぼくの言葉が単に過激(ラディカル)に聞こえるだけなら、その言葉はまったく急進的(ラディカル)ではなかった。
言論の過激さは、それが聞く耳をもつ人たちの心をどれだけ急進的に変えられるか、どれだけアンチレイシズムの力を解き放つことができるかで測られるのだとしたら?
言論の保守性は、それがどれだけ強く人々に現状を維持させ、そのレイシズム思想や恐れによって人々の心を奴隷化し、不公平な社会を保ちつづけるかによって測られるのだとしたら?
あのときぼくは自分がだれよりも急進肪だと思っていた。でも実際にはだれよりも保守的だった。

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2024年07月05日

Posted by ブクログ

本当に本当に良い本
筆者が人生を通してレイシズムへの誤解や偏見に気づいていき、「レイシズム」というものへの本質に辿り着く過程を見せてくれている。

すなわち、レイシズムは個人の思想や道徳の問題ではなく、私利私欲を起点にポリシーを作ることによって生み出されるということ。

自分がジェンダー・クィアアンチレイシストとして生きること、ジェンダーやセクシャリティ、人種や民族、その他あらゆるアイデンティティによって差別されず、公平な世界を目指すための希望と指針をくれた本。

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2023年03月25日

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