あらすじ
人命か、企業論理か? 夢の特効薬は毒薬なのか? 新薬開発の裏に渦巻く野心と葛藤。医療・企業の権力闘争を描く長編。製薬業界の裏側を抉る! ――大協製薬が社運をかけて開発した、脳梗塞の画期的新薬「DKー777」は、すでに臨床試験に入っていた。だが治療中の患者が死亡し、開発本部の野口は、新薬の重大な欠陥を発見してしまう。折しも社内では、創業者派と天下り社員派の権力闘争が激化していた。綿密な取材で新薬開発の裏側を描く、医療・企業小説。
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Posted by ブクログ
製薬系の企業小説が読んでみたくてチョイス。
ちょっと時代設定が古いのですが、
古き良き時代?の製薬業界のドロドロが書かれていてとても面白いです。
今は、こんな営業をMRがしていたら、逮捕ものですが、
昔はこんな感じだったんだなぁ…とか、
お医者さん(特に大学病院の)も倫理的に素晴らしい人もいたんだろうけど、
権力におぼれた人多かったんだろうな…とか(まさに白い巨塔の世界!)、
色々と感じるところがありました。
薬を世に出すプロセス(臨床試験)も結構細かくも分かりやすく書かれていて、
とても参考になりました。
僕は専門家や業界の人ではないので、ちゃんと理解しているわけではないですが、
このプロセスは今も大きくは変わっていないはず。
小説を通じて、大まかな流れが理解できたのは、
僕にとってはとても良かったです。
江波戸さんの企業小説は、過去ちょっとだけ読んだことがあるような気がしていて、
その時はそこまでハマらなかったのですが、この小説は結構面白かったです。
最後のオチがやや無理があるな…とも感じつつ、
でも一定の面白さを担保してくれていて、
純粋な小説としても楽しめるのではないかと思います。