あらすじ
私たち死ぬの、生まれるの
少女御供を捧げる邪宗の村。ヒトの肉と思考を蝕む猟奇ホラー!
出版社の小説大賞に送られてきた一篇の小説原稿。
それは失踪した昆虫学専攻の大学院生から著者の元に送られてきた“奇怪な手記”だった――。
森奉教という土着の宗教が根づく山村、犬啼村。
村の神事を司る狗神家の次女・阿字蓮華は、死んだ姉に代わり急遽村に戻って家督を継ぐ。
大学院での研究も半ばに窮屈な村に囚われて生きることになった親友の身を案じ、
手記の綴り手である「私」はお盆休みの間、フィールドワークを兼ね犬啼村を訪れる。
おりしも村は二十年に一度の大祭前夜。
祭りの取材にきていた大学准教授・鵜飼とともに奉森教の歴史を調べるうち、「私」は村に隠された恐ろしい秘密を知ってしまう……。
第二回最恐小説大賞受賞、原始の恐怖に震撼するファウンドフッテージホラー!
◎最恐小説大賞とは
小説投稿サイト〈エブリスタ〉と竹書房がノールール、ノータブーで募るホラー小説コンテスト。
ジャンル不問、純粋にいちばん怖い作品を大賞とします。
第2回受賞作
「森が呼ぶ」宇津木健太郎(長編部門)
「視える彼女は教育係」ラグト(短編連作部門)
第1回受賞作
「ヴンダーカンマー」星月渉(長編部門)
「怪奇現象という名の病気」沖光峰津(短編連作部門)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
失踪した大学院生から著者に送られてきた
日記や記録を小説化したモキュメンタリー。
日記には土着信仰が根付くとある村での
奇怪な出来事が記されていた。
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「村」「宗教」のワードで
読む前から良い意味で嫌な予感。
洒落怖が好きな方にとてもおすすめ。
モキュメンタリーといいつつ、
どこか真実が紛れてるのではないかと思わされる。
Posted by ブクログ
出版社に公募原稿として届いたある「記録」。それは、隔絶された村落に深く根付く奇妙な土着宗教「奉森教」の継承者となった親友を訪ねた女性が遺したものだった……。
隔絶された環境、奇妙な土着信仰、独自の慣習に従って生きる人々、旧家に纏わる因習とそれに抗う者、徐々に起こる惨劇、そして怪物……いわゆる“田舎ホラー”に頻出のガジェットはほぼフルラインナップ。ないのは村人による新参者イジメくらい(よしなさいって)。
前半部は淡々、時に心霊系な脚色も入れつつじわじわと正調田舎ホラーの雰囲気を盛り上げていくが、半分を過ぎた辺りで突如弾け、一挙に阿鼻叫喚の地獄絵図な展開へ。そして明かされる惨劇の真犯人と、「奉森教」の真相……。
序盤過ぎで語られる奉森教の成り立ちや当主阿字家の屋号、仮面等で著者は怪異の正体など軽くミスリードを狙ったんじゃないか、と勝手に勘繰りもしたんだが、考えてみると表紙カバーで盛大にネタバレしとりゃせんか、これ。
とにかく中盤までの盛り上げ方、そこから驚愕のラストまで一気に読ませるページターナーっぷりは凄い。終盤のある演出はWeb小説などでよく見かけたアレなので、個人的にはやや興を削がれてしまったところはあるが、和風田舎ホラー小説の、怪作ならぬ快作、野心作かと。