【感想・ネタバレ】30年の物語のレビュー

あらすじ

私の心にパリが刻んだ光と影――国際派女優・岸惠子。映画監督イヴ・シャンピとの結婚のために、20代で単身フランスに渡って以来、激動のヨーロッパで暮らした歳月は、筆者の心に何を刻み込んだのか……。チェコ人青年との淡い恋物語「栗毛色の髪の青年」、アパルトマンの煙をめぐる大騒動「女のはったり」ほか、12の珠玉のエッセイを収録。

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Posted by ブクログ

エスプリの効きすぎた比喩や装飾がふんだんに盛り込まれた文体や会話に、最初のうちこそやや表層的という印象を受けた。もう少しシンプルな伝え方の方が好きだなと思った。けれど読み進めていくとどんどん癖になっていくし、ぐいぐいと引き込まれていく。単に教養豊かな国際派女優がおしゃれに知的な言葉遊びを楽しんでいる本などでは決してなく、彼女が出会ったひとりひとりの人達を深く観察し、向き合って対話をし、その中から思考を深めていった、その過程がいっぱい詰まっていると思う。

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2011年09月19日

Posted by ブクログ

岸惠子さんの文章をきちんと読んだのは初めてだった。少々技巧に傾きすぎる感があって、格段に上手い文章とは思わない。が、書かれている内容はかなり重い。一部の人からは、「日本を捨てた」と批判的に見られている人間が、それでも真摯に社会のことを見て、考えて、論理化しようと悪戦苦闘している様子は十分理解できる。フランスと日本と、どちらにも一体化できない人間になってしまった日本人女性の生き方は、多数派の日本人には共感されないだろうと思うと、私も少し暗い気分になってしまう。

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2016年01月27日

Posted by ブクログ

この本を読んで私の心の奥底に潜む偏見に気づきました。「俳優」を「作家」の下に置き、俳優は一流の感性を持ってはいても、それを文字で表現するだけの知性を持っていないと思っていました。本を読み終えたとき、私はなんとおろかな偏見に囚われていたのかと自らの浅はかさに恥じ入りました。多彩な語彙をあやつり、激動の時代の光と影、そしてそこに生きる人間の微妙な心の襞を描き出す岸さんの筆力に畏敬の念を禁じ得ません。

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2010年09月28日

Posted by ブクログ

20代で単身渡仏し、激動のヨーロッパで過ごした日々。
強い女性だなーと思います。
エッセイというよりも自伝というほうがしっくりきます。
難しい話もたくさんありましたが、もう一度じっくりと
読み返したい、そんな一冊です。

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2010年05月15日

Posted by ブクログ

岸恵子は女優である、ということだけは知っていたけれども、エッセイを書く人だとは知らなかった。日本に帰国した際に、何気なく手にしたエッセイだったけれども、かなり面白く読んだ。表紙の写真をみてもらえば分かるけれども、かなりの美人だ。僕よりも2まわり以上年上の方なので、僕自身はかなり年をとってからの岸恵子しか知らない(それでもかなりの美人だったけれども)が、若い頃は本当にきれいな人だったのだな。エッセイは鋭く固い。感受性が強く相当に頭の良い人だな、ということを強く感じる。個性的で我が強い感じも受ける。男にとっては、非常に魅力的な人だろうけれども、なかなか手に負える人ではない、という印象だ。

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2011年07月25日

Posted by ブクログ

労働者のほとんどが多民族で、恵まれない国々からやって来る出稼ぎ人。ヨーロッパの富める国は、みんな似たような事情。そんなフランスでの暮らしの大変さを教えてくれるエッセイ集。巻末の最後のエッセイ、「ホームレスと大統領」がいちばん面白いと思った。

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2020年04月18日

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