あらすじ
世界中の豊富な事例をもとに解説する、デザインのベストセラー書の翻訳書
私たちはビジュアルデザインに取り囲まれています。広告、コンピュータのインターフェイス、本の表紙、ミュージックビデオなどにビジュアルデザインが使われていることは多くの人が知っているでしょう。ですが、美的な作品や明らかな情報伝達の領域だけでなく、たとえば鉄道の時刻表、銀行口座の明細書、下着のタグにまで、ビジュアルデザインは入り込んでいます。2センチ幅に収まるように織られた洗濯表示も誰かがデザインし、あらゆる条件や目的のもと適切な選択を経て完成されたグラフィックのプロジェクトなのです。
本書の目的は、私たちが住んでいる視覚世界を理解するための適切なツールを提供することです。まず、視覚性のあるものに批評的である必要性があります。そして特定の目的で作成されていることに気づく必要があります。「その目的は何ですか?」 「ターゲットは誰ですか?」「それが作られた社会的文脈はどれですか?」「どのテクノロジーが使用されていますか?」本書ではこういった気づきをうながし、デザインの本質を紐解いていきます。モノづくりに関わるすべての人必読の一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「ビジュアルデザイン論 グーテンベルクからSNSまで」
「ビジュアルデザイン」と聞くと何を想像しますか?私はこの本を読むまで、美的で芸術的で視覚的な要素のみを想像していました。しかし、技術的なもの、すなわち著作権をクリア出来るか、今その商品に存在する問題をいかに解決できるかも、ビジュアルデザインのひとつです。
例えばスーパーのレシートや、洗濯のタグ、量産されているお菓子のパッケージもデザイナーがいて、ビジュアルデザイン論を用いてデザインされています。
この本を読んだ感想としては、デザインに関して知識があまりなくても大変読みやすい本だと感じました。ビジュアルデザインの本だけあって、300を超える図版が掲載されていて、視覚的にとても楽しめます。作者が何の事例の話をしているのか、大変わかりやすく、専門的な話であっても、理解が深まりました。
また、この本はイタリア語の翻訳ですが、訳がとても丁寧で、本国でないとわからない店の名前、TV番組の名前も説明がされているのも読みやすいと感じた理由の一つです。
内容として考えさせられたことは、売り手側はデザインの歴史、人間の行動心理、配色などあらゆる知識を持ってデザインしています が、受け手側はそのデザインのバックグラウンドを知らずに消費していく社会がなぜ成り立っているのかと思いました。
もし、国民の全員がこの本を読んだら、受け手側の嗜好や、考え方も変わるのかなと。
デザインに興味がなくても、この本を読むと日々デザインに触れる時に、感じることが変わるかもしれません。