あらすじ
近代化によって日本の農村生活は大きく変わった。農村社会が瓦解すれば日本社会そのものが瓦解するとの危機感を抱いた農村社会学者は、20世紀初めからその移り変わりを長く記録してきた。本書はその記録を読み解くことで、日本の各地域の農村のあり方、農村における「家」と「村」の歴史を再構成する。「同族団」と「自然村」のあり方、農村のタイプによる地域差など、ともすれば現在の我々が忘れ去ってしまいそうな農家・農村の姿を見いだしていく。日本農村社会学の総括。
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Posted by ブクログ
日本の農村の成り立ちを切り口に歴史を紐解く一冊。内容が深いために予備知識を持っているか、興味がよほどあるかでない限り全て理解することは難しいが、著者の解説が丁寧。たとえば各種文献からの引用の後に平易な言葉で説明してくれたり、前述の内容を繰り返して記述してくれていたり、読者のことをちょくちょく振り返りながら前に進んでくれている感isある。
農家って親戚関係や人付き合いをめちゃめちゃ大切にするよね。勿論今でもよ。サラリーマン家庭で育った私から見ればそれはもう極端なほど。祖父母4人の兄弟姉妹がそれぞれ何人でみんなどこに住んでるとか分かります?分からなくない?まとめて「じーちゃんばあちゃんの親戚」だろそんなの。ただこの本を読んで思ったけれども、専業農家であればそれは美徳なんかでなくそうせざるを得ない利害関係が働いてたんだよな。本文にあった水利や入会地もそうだけど、人とのつながりを大切にしないと持ちつ持たれつ仕事や設備をやりくりなんかできない。農家が落ちぶれずに今にまで受け継がれてきたのは、その付き合い方が徹底できたからなんだろう。揉め事なんか絶対起こせないように遺伝子レベルで陶冶されてきたのだろうなーと思いました。