あらすじ
アベノミクスで女性活躍が重要政策として掲げられたにもかかわらず、日本のジェンダーギャップ指数は先進国で最下位のまま、他の先進国にますます遅れを取っている。
なぜこの国にはダイバーシティが根付かないのか、どうすればこの硬直した社会を変えることができるのか?
MeToo、ポテサラ論争、ゲス不倫、五輪組織委、男性育休、逃げ恥、♯わきまえない女、女性入試差別など、近年話題をよんだキーワードをもとに、日本における多様性の問題を、女性活躍、結婚、子育て、男性問題とさまざまな視点から掘り下げる。
日本経済新聞女性面連載コラムに大幅な加筆を加え書籍化。
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Posted by ブクログ
タイトルの問いの答えが知りたくて読む。
主に女性活躍推進について日経新聞に掲載された記事の総集編。
女性活躍推進って2012年の話なの!?
しかも2020年になっても全く改善していないうえ、日本でこの基準達成は無理だと、目標が下方修正されたという…。
マジですか。。。。知らなかった。。。
まぁうちの会社の女性役員比率も1%だしね…。
筆者は女性活躍推進関連政策を「日本女性超人化計画」と読んだそうです。
「成長戦略としての女性の活躍推進」
①労働力人口の増加
②優秀な人材の確保
③新たな財・サービスの創造
「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」
→この基準は1990年からずっと言っているが、30年たっても改善していない
(日本の男女平等ランキングは年々下がり続けて、2020年 120/120ワースト国)
筆者の言う活躍推進の政策にはいくつもの落とし穴があるという。
◆問題1 女性を指導的役割に、というわりに…
①待機児童問題が解消していない
②賃金格差も是正していない
③男性側の意識改革は何も議論されていない
男性側にとって面倒に感じる改革には手を付けておらず、環境が改善していない。
↓
結局周りのサポートを受けられる人や、親の地位が高いお嬢様、結婚出産をせずに死に物狂いで立ち向かった鉄の女性だけが指導者に立てる
↓
対多数の一般女性の環境は改善しないので、
ワーキングマザーの指導的女性が増えるわけない
(血のにじむような思いをしてまで上に立ちたいと思わないし、立てる見込み希望もない)
平和と平等の祭典であるオリンピックで、森元首相が女性蔑視発言で日本の恥を海外に晒したうえ、男女平等格差ワーストを達成したわけだが、
海外メディアにめちゃくちゃ批判されて、やっと外務省以外の政府の人間が、あ、あれ一般社会では言っちゃアカン発言なんだと気づいたんだろう…。
グローバルな大企業はいち早く抗議文を出したけど、焦っただろうな。足元しか見ておらず、国内すら見えていないようなのに、みんな投票するんだよねぇ。
◆問題2 高度成長期が忘れられなくて…
バブルを経験している役員世代は、今の仕組みを変える気概も体力もない
「合理性」とは、ある一定の一時代的な条件の下での最適解で、条件が変わればおのずと時代遅れになり、たちどころに非合理・非効率になる(p44)
→IT化とグローバル化は進み、超高齢化・少子化で不景気、地球温暖化による資源枯渇・自然災害は増えてるのに、まだ40年前のやり方を踏襲しようとしているからひずみが生まれる。
あと10年程度で、現役世代に高度成長の恩恵を受けた人はいなくなる。そうなるとおそらく一気に変わるのだろうなぁ。政治も経済も。
定年が遅くなるにつれて、やり方についていけなくなる高齢者の雇用問題も増えるだろうし、定年後が第二の人生ではなく、仕事とプライベートを両立し続けて常に収入口を複数持つ働き方がスタンダードになりつつある。
◆問題3 イクメンの実態 言うほど行動伴わず
6歳未満の子持ち家庭の夫の家事育児参加率
2011年:父 1時間7分 母 7時間41分
2016年:父 1時間23分 母 7時間34分
※※調査方法変更「男性の家事・育児参画状況実態調査」を追加確認
2018年:父 3時間33分 母 8時間34分
2021年:父 3時間34分 母 8時間54分
別調査で勤務時間は1時間ほど平均で短くなっており、残業は減っているし、コロナで在宅率が増えたはずなのに、男性の家事育児参加に伴う負担が女性のみ明らかに増えている。また、男性の育休取得が義務化されたけど、最低限の連続5日間しか取らない人がほとんどだった。
実際に男性1か月育休を取得した人がいるが、現場別メンバーの残業が増えたという。
一人抜けて崩壊するほどゆとりが一切ないプロジェクトをマネジメントをしなければならないなら、リーダーも取得するのを渋るよねそりゃ。
筆者は、「妻が忙しい時、体調が悪い時にクリーンヒットを飛ばせるかが肝心である」という。
俺はよくやっている方だという主観的なコメントは意味がなく、妻が一週間不在でも対応できるかどうかが基準となる。また、第一子の時の家事育児の協力度合いと第二子の出生率が正比例しているという。
つまり男性の家事育児参加は少子化にも直結しているということである。
調査報告を読んで少し救われるのは、家事だけだが20代の場合格差が割と低めであるということ。
(20代は3:2、30代以上は2:1の比率)
残業規制で長時間労働の抑制があり、共働きが当たり前の感覚で、サービスや家電を使うことに抵抗がないからだと思う。
でもそれでもそれっぽっちしか変わってないのかぁ…。