【感想・ネタバレ】アフリカの神話的世界のレビュー

あらすじ

アフリカ各地での実地調査をもとに,文化人類学の神話研究の成果をとり入れて描き出されたアフリカの神話的世界.異なった地域の原住民に伝わる神話を比較・分析し,神話の「伝播」と「変身」,さらに,その「構造」を考察する.原住民の世界を内側から理解することを通して,私たちの世界との関係,「第三世界」の真の意味を明らかにする.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アフリカの神話における「いたずら者(トリックスター)」を題材として、彼らの神話の構造と意義を解説した書。著者がフィールドワークで収集したものも含めた様々な部族の「いたずら者」の物語を紹介しつつ、それらを構造主義の視点から比較・分析する。
本書は、アフリカ大陸で語り継がれる神話――その中でも最も大きなウェイトを占める「いたずら者」の神話を扱ったものである。東はエチオピアのアニュアック族から西のコードジボワールのアニー族まで、アフリカの諸部族で語られる「いたずら者」の神話を文字通り東西横断して収集し、構造主義的分析を行っている。なお、本書の内容は著者の過去論文「道化と民俗学」中「(六)アフリカ文化と道化」((一)~(六)『文学』1969年1月~8月)を発展させたものとなっている。
アフリカ神話における「いたずら者」は口伝にて語られる物語の花形であり、それ故にアフリカ世界の精神の内奥を体現する存在である。ザンデ族のトゥレ、マンジャ族のセト、ヨルバ族のエシュ、アシャンティ族のアナンシ……。彼らは時に秩序を破壊し嘲笑するピカロとして立ち現われ、またある時には恵みや文明を人にもたらす文化英雄として世に出でる。部族間で伝播と変身とを繰り返す彼らの神話が体現するものは、善悪両義を兼ね備える力の存在、異なる二極を結び付け統合する媒介の思想、そしてそれらを通して呼び覚まされる世界への内的・統一的な理解である。そのアフリカ的精神は奴隷貿易を通じてアメリカ大陸にも及んでいる。
本書を読んで印象に残ったのは一つ。著者が語る神話の意義である。本書Ⅶ章にて著者は、神話の属性が『荒唐無稽』という言葉で説明されがちなことに言及する。神話の中において事物は(地理的・時代的・思想的距離を差し引いても)我々の日常的感覚では結びつかない形で現れる。だが、神話の意義とはまさにそこにある。事物間の効用性"のみ"を問題とする日常的感覚では見えない「現実」、意識の表層のみに留まらずより深い世界との統一感覚を呼び覚ますものとして神話はある。故に著者は、「神話及び昔話を素材として何事かを語ろうとする場合、そういった素材に接する者に必要とされるのは、話の中に埋没する想像力と同時に醒めた精神である」(p92)と説くのである。その意味では、日常の秩序を飛び越え、矛盾する二極を媒介・内包し、縦横無尽に活躍する「いたずら者」の姿はある意味この神話の本質を如実に体現するものと言えるかもしれない。

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2021年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アフリカは南アフリカしか行ったことがないので、
アフリカの神話を聞いても、ピンと来ないところがあります。

アフリカの神話と他の地方の神話との比較をする際のきっかけになればと思いました。

日本でアフリカを調べることは難しく、アフリカに行く機会も少ない。

一度は、エジプトは行ってみたいと思っていましたが、
本書で紹介のある地方へは、行ってもいいかなという気になりました。

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2012年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

民話に興味があり読んでみました。
国が違うからこそ文化が違う部分もあれば
日本に通ずるところもあり興味深かったです。

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2019年04月23日

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