あらすじ
ハーバードに学び、イェール大学で教鞭を執る新進気鋭の歴史学者が、明治維新を「水戸」の視点から読み解く! 江戸幕府を倒し、近代日本を創り上げたのは「薩長土肥」と言われるが、水戸藩なくして、維新は成し遂げられなかったといっても過言ではない。それは、水戸脱藩浪士らが桜田門外の変で、幕末への扉を開いただけではない。維新回天を成した志士たちは「水戸学」を学び、倒幕活動へ邁進している。長州の吉田松陰も、薩摩の西郷隆盛も、水戸学の影響を受けていたのだ。では、水戸学とはいかなるものだったのか――。それを知るには、江戸時代前半、水戸黄門として知られる徳川光圀が始めた、『大日本史』編纂に遡らなければならない。本書では、徳川光圀、立原翠軒、会沢正志斎、藤田東湖、徳川斉昭、徳川慶喜の、水戸藩を代表する六人を取り上げ、水戸学が如何に生まれ、育まれ、政治に活かされていったのかを解説していく。そして、彼らが水戸藩において行なったことは、近代日本が創られる際のロールモデルとなっていくだけでなく、渋沢栄一、松下幸之助ら財界人や、新渡戸稲造、内村鑑三ら海外でも活躍する人びとにも、大きな影響を与えていった……。「この国を変えた」水戸藩の六人を軸に見ていくことで、明治維新、そして近代日本誕生の実相がよくわかる一冊。――環境問題が深刻化し、強大国のパワーバランスが崩れ、感染症が襲い……と、世界は現在、多くの問題を抱えている。それらを解消するには、世界は、そしてそこに生きるわれわれも変わらなくてはならないだろう。だが、世界を本当の意味で変えるのは、「力」ではない。それは、日本を変革する原動力となった水戸が証明している。世界を変えるのは、人の想いであり、それが昇華した思想であるはずだ。(本文より)
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Posted by ブクログ
ハーバード大学で学び、イェール大学で教鞭を執る歴史学者のアメリカ人の著者が
水戸に興味を持ち、水戸の歴史である、江戸時代の水戸藩視点から幕末・明治初期
にかけて紐解く一冊。
水戸藩2代目藩主で、徳川家康の孫にあたる徳川光圀を前半に据え、
水戸藩の成り立ちや、弘道館や大日本史などを綴り、
後半は、幕末の江戸水戸藩での藤田東湖や徳川斉昭に徳川慶喜など、
歴史好き、江戸幕末好きには聴き馴染みのある面々と水戸、主に茨城県の
県央地域を主とした、現代につながる明治時代、天皇主権復活までが書かれている。
水戸藩士による桜田門外の変なんてのも有名かと思う。
藤田東湖の息子が属していた天狗党の墓が茨城県鹿行地域にあるのは、
有名じゃないかもしれませんが、歴史好きには知っておいてほしいですね。
歴史好き=幕末の江戸幕府や維新志士 とか、
歴史好き=戦国時代 っていう人が大半を占める中で、現代につながる歴史に
大きくかかわったのが、水戸藩であることをこの本を通じて知ることができるし、
知ってほしい。
個人的に、この本を読んだ人には、手塚治虫の「陽だまりの樹」という漫画および
アニメ作品をオススメしたい。
主人公は、あくまで架空の人物であり、手塚治虫の先祖を
登場させていますが、歴史の流れや登場する人物たちが史実を描き、
フィクションとノンフィクションを織り交ぜた、幕末の物語になっています。