【感想・ネタバレ】彼女は頭が悪いからのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

辛くて読めなくなるかと思ったけど、そんなことはなく、物語の5分の4くらいは事件が起きるまでの被害者、加害者の人生についてだった。面白い話だった。
加害者の行為も意図も最後までわたしは理解できなかったし理解できない側で良かった。最後まで加害者たちが被害者の気持ちを理解できないのが新鮮だったけどそれが意外と人間世界では当たり前のことなのかもしれない。むしろ5人が反省してたら話が綺麗すぎたんだろうな。わたしはこれまで人は話し合うことにより分かり合えると思っていたけど確実に絶対に分かり合えない人間がいるということに哀しいけど安心した。分かり合えないことがあっていいのだという諦念を教えてくれたことは良かった。
思ったのはこの物語は恋愛の話だという印象。というか途中まで、本来なら美咲と翼の一時の甘くて切ない恋の思い出で終わるほろ苦い若かりし頃の経験のはずが何故かどうして彼女にとって一生の傷になる事件につながるのか、全てはダサいバカなプライドの高さのせい。ツルツルピカピカの自信、プライドは他人をバカにすることになんの違和感も抱かないのかと、ここまで潔く自信があることに恐怖を感じた。翼が美咲に感じた可愛いという感情、好きという感情は消えることはあっても完全に忘れてしまうなんてこんな哀しいことはあるのかと思った。今回自信の象徴は“東大”だけど、これはどの界隈、業界、コミュニティでも一定数、何かステータスをアイデンティティとして自分は多くの人より優れ、モテる、他の人はこれがないからダメ、という偏った思想になり得るのだと感じた。気持ち悪いのは嘲笑の相手が女だという点。加害者たちは女に酷い恨みがあるというわけではないのに「ナチュラルに偏差値の低い女」は「バカにしていい」と誰に教えられたわけでもないのにひどい扱いができる。分かり合えなくて良かった。
意外と前科一犯て人生に大ダメージを与えない?日本は性犯罪の刑が軽いというけど彼女に一生消えない傷をつけた5人がのうのうと幸せに生きる社会に違和感は拭えない。

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際の事件をモデルに書かれた本ということは承知の上で読み始めわいせつ行為が行われている描写は分厚い本の中のほんのわずかなページなのにも関わらず言葉に表しづらい気味の悪さで意図的に読むスピードを落として読んだ。(“意図して”ではないとページを捲る手が止まらなくなってしまうのはこの小説最大の魅力だろう)
被害者と加害者といったそれぞれの登場人物の目線だけではなくたまに書かれる登場人物の行動に至るまでの筆者の考察⁇で冷静になって読める箸休め的な記述もあり私としては1つの行動にもそれぞれの思考の齟齬の解説をされている気持ちになるため好きなポイントの1つだ。
被害者が提示した和解内容や起訴された加害者学生たちの判決に割の合わなさを感じたが、これが今の日本のわいせつ事件に対する現実的な対応なのだろうと胸が痛くなる。変にハッピーエンドにもバッドエンドにもならないため実際の事件をモデルにしていても違和感のない終わり方であるように思う。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これ文章が端正で細かいのにわかりやすくて表現もよかった。本編に出てくる「恋が生じた」っていう言い回しがとても好きだけど、東大生っぽいなと今気づいた。文体は素敵だけど、若干胸糞。でも、私は周りに言われているほど胸糞ではないなと思った。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想像力がある人ほど、その場の雰囲気を汲み取って道化を演じないとその場の雰囲気が凍ったり止まる時がある。頭のいい人ほど、自分を無能に見せる力を持っている。そんな人間かっこいい

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2024年02月25日

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