あらすじ
馬場vs猪木vs大木の20年戦争
「力道山の後継者」は誰だ?
「アメリカマット界のレスリングウォー」、「極秘裏に行われた力道山の渡韓」、「3大世界王座連続挑戦」、「ヒューストンの惨劇」、「最初の目玉くり抜きマッチ」、「日韓国交正常化」、「大熊元司リンチ事件」、「グレート東郷殴打事件」、「日本プロレスのクーデター未遂騒動」、「韓国大統領・朴正煕の暗殺」――複雑に絡み合う物語を紐解きながら、隠された史実を読み解く
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Posted by ブクログ
プロレス史探求家として高名な
小泉悦次氏の著書。G SPIRITSでそれぞれ短期集中連載
された「ショーヘイ・ババのアメリカ武者修行」「カ
ンジ・イノキのアメリカ武者修行」「キンタロウ・オ
オキのアメリカ武者修行」の3篇の記事を大幅加筆した
上、プロローグとエピローグを足して構成されたもの。
僕が「プロレス史」に大きな興味を持つようになった
のは、かつてネット上でJoe Hooker Sr.氏のウェブサ
イト「プロシタン通信」に出会ったから。そこで読め
た文章は正しく宝で、貪るように全文を読破。その後
はJoeさんにメールまでしてしまい、Joeさんの発行す
るファンジンの読者にまでなった。
小泉さんの文章からはその流れ(?)を大いに感じる。
事実は事実として整然と並べた上に、絶妙のタイミン
グで仮説をインサートし、最後にはしっかりした文章
で意見を述べる、という説得力に溢れる展開。プロレ
スで言えば間違いなくストロングスタイル。それも、
人を惹き付けまくって止まない、全盛期の猪木のファ
イトに酷似したスタイルだと思う。このスタイルはプ
ロレスだけでなく、全てのドキュメント作品に有効な
気がする。
この本では力道山道場若手三羽烏と呼ばれた猪木・馬
場・大木の海外武者修行時代にスポットを当て、その
動向を詳細に解説。3人を均等に扱っているのだが、
この作品の主役は金一(キム・イル)こと大木金太郎
である、という気がしてならない。そこに狙いがある
気がするのだが・・・。
G SPIRITSでの連載時も夢中になったのだが、こうやっ
て一冊にまとまると更におもしろくなるのが不思議。
意外だったのは小泉悦次氏の著作が、やや特殊な大作
である「プロ格闘技年表事典」に次いで2作目である
こと。これまでの文章をまとめて貰っても良いし、書
き下ろしでもかまわない。もっと大量に、果てしなく
著作を発表してくれることを強く願う。
堪能させていただきました!
玉稿、まことにありがとうございます!