あらすじ
「革新」的経済学の全貌
MMT(現代貨幣理論)が現代経済学のパラダイム・シフトを推し進める状況下、その鍵を握る重要人物としてハイマン・ミンスキーへの注目がかつてないほど高まっている。
ミンスキーと言えば、これまで「金融不安定性仮説」を中心に理解されてきた。先の金融危機でも「ミンスキー・モーメント」ないし「ミンスキー・クライシス」という言葉が金融関係者の間で囁かれた。
ミンスキー自身、金融的ケインジアンと呼ばれることを好んだものの、それは壮大なミンスキー理論の一端にすぎない。本書では、ミンスキーを「不均衡」「不安定性」という観点から読み解く。
とりわけ「安定性が不安定性を生み出す(Stability is destabilizing)」という彼自身が残した印象的な言葉を繰り返し省みる。これにより、「均衡」をベースに構築された正統派経済学に対する「異端派」としてのミンスキーの立ち位置が鮮やかに浮かび上がる。
さらに、従来、全く見落とされてきた「最後の雇い手」という、貧困と失業に対するミンスキーのアプローチを本書ではしっかりと位置付けている。ミンスキーの弟子かつMMTの旗手がその源流に向かった最良の入門!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
実は今までよく知らなかったミンスキーなる経済学者の考えをまとめたもの。MMTの源流とも言われているよう。
ミンスキーはアカデミックな世界と実際の金融市場の両方に深い知見を持っていた。貨幣は誰でも創造できる。金融機関は景気循環を増幅し、不安定性へと押しやる力を強めるとする金融不安定性仮説。最低賃金で望む労働者を全て雇用すべしという最後の雇い手。異端の経済学者であった。
Posted by ブクログ
難解なミンスキーの思想を弟子のランダル・レイがまとめた書物。数式は使われておらず、平易に書かれている。
・安定性が不安定性を生み出す
・貨幣とは借用書である
・貨幣にはヒエラルキーがある
・失業は労働者の欠点のせいではなく、経済システムの問題
等々、示唆に富む内容が満載である。MMTに興味のある方には特にお勧めしたい。
Posted by ブクログ
世の著名なノーベル経済学者が提唱する経済学は中央銀行や金融機関の存在をおまけ程度な位置づけにする『非現実的』な学問なのに対して、ミンスキーの考える経済学は、古くから中央銀行や記入機関の存在を中心においていた。まさにMMTの源流である。リーマンショック以降、ミンスキーの経済学が見直されたのが事実であり、それが現在の米国における経済学の転換点となっているでしょう。この流れが米国の積極的な財政政策などに繋がっているという、歴史的な事実が知れました。
んがしかし、現状の経済情勢を読み解く新たなレンズは転がってませんでした。
なもんで、途中で読むのは止めました。面白い本ですけど、翻訳が難しいですね