あらすじ
「日本人はメルケルを誤解している」。ドイツ国民の多くは、「世界で一番影響力のある女性」アンゲラ・メルケル首相を誇りに思っている。民主主義・人権・環境――彼女は魔法のように、ドイツ人の思考を変えてしまった。しかし、その副作用としてドイツは自由を失いつつある。かつてのライバルCDUとSPDは連立が長期化し過ぎて呉越同舟、野党・緑の党は信条的にメルケルと一番フィーリングが合うという不思議。唯一のコアな野党AfDには極右のレッテルが貼られ、叩くか無視する以外は許されない。ドイツ社会は、異なった意見を受け入れないという危険な水域に入ろうとしている。だが、多くの国民はそれに気づかない。いったい何が起こったのか? メルケル首相とドイツ政治の変容をライフワークとして追い続ける著者が、生い立ちから雌伏の時、豹変と飛翔、君臨への過程を描き切る。日本人がいまこそ知っておくべき、美名の裏に隠れた全体主義化への警鐘。
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Posted by ブクログ
欧州、特にドイツの脱炭素政策に鋭い警鐘を鳴らしてきた著者が綴ったメルケル前首相の半生。
東日本大震災を機に行った反原発への大転換や新型コロナ対応での財政的大盤振る舞いは、実は彼女が内に秘めてきたリベラル的傾向が一気に現れたのではないかとの論考の是非は判断できないが、著者の肌で感じた仮説として説得力がある。
東独出身でありながら国母の地位を築き上げ、保守政党を率いながら国家を意図的にリベラル展開させたのだとすれば、恐ろしい手腕と言わざるを得ない。
Posted by ブクログ
メルケルを通じて、ベルリンの壁崩壊後のドイツを知ることができた。
やはり日本から遠い国。知らないことばかりだ。
日本人のメルケル人気は断片的な情報のみからかもしれない。
Posted by ブクログ
■ Before(本の選定理由)
なんとなく「有能な政治家」という印象のメルケル。
どんな人なのだろう。
■ 気づき
東ドイツのルーツ、党内での駆け引き?など割と波乱万丈。一番感じたのは、著者はメルケル嫌いなんだろうな、ということ。
■ Todo
メルケル自身の著書も機会があれば手を出してみたい。
原発以外のテーマにしたい。
Posted by ブクログ
面白かった。
筆者の想像のところも多かったのでそこには留意が必要だが、事実のみでなく、(想定も含めた)政治家たちや民衆の感情の機微がストーリーを作っていて読みやすかった。