あらすじ
すべての棋士にはドラマがある。
盤上で魂を削りあっている棋士のストイックな佇まいを描きたい、
技術はわからなくても、その筋書きのないドラマを伝えたい。
そんな思いから生まれた、将棋の魅力が詰まった
すべての将棋ファンに送る1冊!
一章 「藤井聡太と若き才能」
棋士18人が証言する「藤井聡太、進化の過程」
「教授」勝又清和七段の<王位戦と藤井聡太>回想録
佐々木大地五段 将棋は生きる希望だった
西山朋佳女流三冠 三段リーグの藤井聡太戦
斎藤慎太郎八段 名人挑戦への道「4強に五分以上で」
広瀬章人八段 対局で感じた藤井聡太二冠の進化と成長
野原未蘭女流1級 秘伝の将棋「英春流」
東大将棋部と藤井聡太ほか
二章 羽生世代と見果てぬ夢
藤井猛と行方尚史、二人は戦友
さよなら、八王子将棋クラブ
深浦康市九段 諦めない「粘りの棋士」
桐山清澄九段 73歳現役最高齢棋士「幕を閉じた順位戦」
豊川孝弘七段 こうしてできたオヤジギャグ
山崎隆之八段 初のA級へ「齢40にして強くなる」など
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
文春オンライン「観る将棋、読む将棋」の記事に加え、新たな書き下ろしの読み物などをまとめたムック本。自ら負けを認めることで終局する将棋。厳しい世界で戦う棋士の話はなぜこんなにも心惹かれ、魅了されるのか。
「すべての棋士にドラマがある」
Posted by ブクログ
週刊文春に、将棋だけを扱ったオンラインサイトがあり、その中の記事を編集したMOOK。副題に「棋士が語る 藤井聡太と羽生世代」とあるが、MOOK全体を貫くストーリー的なものがあるわけではなく、また、藤井聡太とも羽生世代とも関係のない記事も多い。だからと言って、面白くないわけではない。一つ一つの記事の中には、面白いものも多い。Numberが、Web版を作っているが、ちょうどそれの将棋バージョンといった趣きのもの。
もう一つの特徴は、棋譜が掲載されていないこと、というよりも、実際の将棋の指し手に関する記述がほとんどないことである。インタビュー記事も多いのであるが、指し手に関する質問は、ほとんどない。従い、記事の中身の多くは、棋士の人間的な側面にフォーカスしている。私の知らない若い棋士に関する記事も多いのであるが、それでも、全ての記事を読んでみる気にさせるくらいの面白さはある。将棋の将棋的側面のない本でも、面白く読ませる事が出来るのだな、と感心した。
Posted by ブクログ
将棋のファンというよりは棋士のファンである私にとって、ずばりストライクの企画。惜しむらくは藤井聡太君関連に偏っていることだけど、これはまあ仕方がないか。
一番良かったのは、「藤井猛と行方尚志 二人は親友」というルポ。ほぼ同年代の二人の軌跡、現在の姿が生き生きととらえられていて、添えられた写真もとてもいい。どちらも好きな棋士だけど、これを読んでもっと好きになった。年齢と共に棋力の衰えは容赦なくやって来る。そこにどう身を処していくか。棋戦に全力は尽くすが、タイトルや優勝が唯一の目標ではなくなったという藤井九段が、「戦いの螺旋から降りられない」行方九段について、「なめちゃんは一度タイトルをとらないと…。でも現実は厳しくなりましたよね」と語っているのが胸にしみた。「なめちゃん(失礼ながらウチでもそう呼んでる)」は今期順位戦で降級が決まっている。
「東大将棋部と藤井聡太」では、三人の将棋部主将が登場する。うち二人は奨励会経験者で、それぞれにドラマがある。将棋にうちこんだ人の話って、プロアマ問わずどうしてこんなに心惹かれるものがあるのか、あらためて不思議に思う。インタビューでは、最近その歴史に幕を閉じた八王子将棋クラブ席主、現役最年長桐山九段、高野秀行六段のものが印象に残った。
漫画が三本載っていて、これも良かった。「観る将」の複雑なファン心理を描いた四コマ。とよぴー(これまたウチでもそう呼んでる豊島竜王)の初戴冠時、大喜びしつつも、「ああっ!!でもなんだか世代交代が本格化したみたいでさみしい!!」「羽生先生、また取り返しに来てくれ!!」と叫んでる気持ち、よーくわかります。