あらすじ
新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)によって先進国は、財政赤字の削減と景気刺激策の実施という二律背反の経済政策が求められています。世界は、日本がこの数十年直面している危機的状況=日本化に直面しているのです。本書は、ヴォーゲル、エモット、バーナンキ、クルーグマンなどの識者たちによる、日本化の登場から現在までの40年におよぶ日本観の変遷を追い、ゾンビ化など海外の最新の議論を紹介し、ポストコロナ時代に向けて日本がとるべき対策を明らかにします。
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Posted by ブクログ
世界は今、「日本化」しつつある。コロナ禍によって、景気後退、財政悪化など、この数十年、日本が陥っている状況が世界に広がりつつある。その実態と、日本の現状について説く書籍。
2020年の欧米経済界の大きなテーマは、「日本化」だった。
巨額の財政赤字を抱えつつ、ゼロ金利と量的緩和で経済を維持する。この日本化のリスクは、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、より強く意識されるようになった。
コロナ禍による世界の日本化。それは、次のようなものだ。
・2020年の世界の経済成長率はマイナス4.4%と、厳しい落ち込みが予想されている。
・コロナ対策の景気刺激策などで、各国の財政が大幅に悪化。
・将来不安から出生数が減り、少子高齢化が進む恐れがある。
コロナ危機は、短期間で欧米経済を「失われた10年」を経た日本と似た状況に追い込んだ。有効な対策を打ち出せなければ、欧米は長期停滞に陥った日本の二の舞いになりかねない。
新興国でも、景気後退と財政悪化が進んでいる。
国だけでなく、企業でもデフォルトが増加する見通しで、企業も絡む新しい債務危機が懸念されている。
日本では、財政破綻など最悪の事態は回避されている。だが、状況は悪化している。2019年のドル建てGDP(国内総生産)は四半世紀前とほぼ同水準で、2017年の1人当たりの国民所得はG7の中で6位と、国民は貧しくなりつつある。
日本の危機認識にはズレがある。
東日本大震災後に実施した異次元金融緩和を、危機が去った後も続けたため、経済構造改革の先送りや財政規律の低下など、経済の劣化が進んだ。安易な危機対応のツケが、今後、経済に跳ね返る恐れがある。